前回の記事「バカルディに抜かれてプライドを捨てた爆笑問題」の続きです。
本気と冗談のバランス
2012年2月3日放送「よんぱち 48hours」(TOKYO FM)
パーソナリティは鈴木おさむ。
アシスタントは柴田幸子。
ゲストは爆笑問題の太田光。
今日のメールテーマ「最近これにヤラれました!」について、太田さんに尋ねます。
鈴木「今日はあの、私これにハマりました、これにヤラれましたっていうことなんですけども」
太田「はい」
鈴木「これにヤラれたっていう映画とか、ありますか?小説とか」
太田「やっぱ『芸人交換日記』は……」
鈴木「へへへっ、いやいや」
太田「あれはヤラれたな~(しみじみ)」
鈴木「いいですよ、ふふっ、その話は」
太田「ははははっ」
柴田「ふふっ、サービスしていただきまして」
鈴木「いやもう、サービスしていただかなくて大丈夫ですよ~」
最後まで『芸人交換日記』イジリ。これで3回目。^^;
ここからモードを切り替える太田さん。
小松左京の慧眼
太田「あとね、小松左京さんの『日本沈没』、これを読み返したんですよ」
鈴木「はい」
太田「当時はあんまり面白くねえな~と思って、ドラマや映画のほうが面白かったでしょ?」
鈴木「はい」
太田「で、パニック物っていうイメージがあるでしょ?」
鈴木「はい」
太田「今読むとね、学術書みたいなの」
鈴木「あっ、そうなんですか?」
柴田「ほ~」
だんだん熱さが増していきます。
太田「要するに、太平洋プレートのどこのっていうのは、あの当時最先端のことで、で、日本が沈没するからどうやって日本人を世界に移民させてくかっていうのを」
鈴木「うん」
太田「政府が秘密裏に進めていく計画の話なんだけど、圧倒的な!シミュレーションなんですよ」
鈴木「へぇ~」
太田「で、それでびっくりしたのが日本が最終的に、日本列島が沈んでいくときに米軍やなんかが救助に来るんだけど、日本人が落ち着いてるの」
柴田「はい」
太田「あの~、パニックにならないの、日本人が」
柴田「(何かに気付いたように)はっ!」
太田「それを米軍の兵士が見て、なんで日本人はこんな状態なのに……」
鈴木「あ、すごい……」
太田「こんなに秩序があって」
柴田「冷静に」
太田「冷静でっていうのは、つい最近の福島のアレと、本当にオーバーラップして」
鈴木「へぇ~!」
太田「小松左京ってスゲーなって思った」
今回の小説『文明の子』は小松左京の影響を受けている、と太田さんは語ります。
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否定じゃなくて肯定したい
太田「それでその、日本人ってものを捉える力っていうのが、日本っていうのはその、災害やなにかでさらに強くなってきた国だ、っていうことが書いてあって」
鈴木「(感心するように)ふ~ん」
太田「その~、なんて言うのかな?日本人っていうものを信じてる小松左京のなんか、その文体がね、今読むとすごい勇気付けられるし」
鈴木「へぇ~」
太田「小松さんも……小松さんって小松の親分みたいな言い方しちゃってけど」
(スタジオ笑)
太田「ね、去年亡くなったときに、やっぱ最後に、『日本人は絶対大丈夫!』って言って亡くなってるんですよね、福島の直後だったけど……」
鈴木「うん」
太田「そういうのは勇気付けられるな~と思うし、そういうのが影響した部分がありますね、今回の『文明の子』に」
鈴木「ああ~」
太田「否定じゃないっていうか、肯定したいなっていうね、なんか」
次のゲストで登場するNEWSの加藤シゲアキさんに、「おい、加藤!お前の本、売れすぎなんだよ」と言い残して、太田さんは去っていきました。そうすることで本気と冗談のバランスを取るかのように。