笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

賞レース

千鳥の漫才が目指すもの

「声に出して笑っていなくても、頭の中は笑っているような、この雰囲気の感じ完璧でした」。2017年10月29日放送の「にちようチャップリン」。審査員として客席に座っていたアンガールズ田中さんが、ジェラードンのコントについて感想を求められたときにこう…

漫才とリズムネタと手拍子

「M-1グランプリ2017」を観ました。そして存分に堪能しました。もし「今大会で一番好きな漫才を挙げろ」と言われたら、迷うことなく、さや香の「歌のお兄さん」を選びます。正直に言うと、漫才における歌ネタがあまり好みではありません。でも、さや香がやっ…

鳥居みゆきがリズムネタをやったのは単独ライブを続けるため

前回は「ネタ中に観覧席から悲鳴が上がる現象を芸人たちはどう受け止めているのか」について書きました。「M-1グランプリ」や「キングオブコント」などの賞レースにおいて、準決勝から決勝に進むと、戦いの場が「お笑いライブ」から「テレビ番組」に移ります…

ネタ中に観覧席から悲鳴が上がる現象を芸人たちはどう受け止めているのか

ネタ中に観覧席から悲鳴が上がる。「M-1グランプリ」や「キングオブコント」といった賞レースの決勝でも、たまに見かける光景です。観覧席から悲鳴が上がれば、そのせいで笑いが失速してしまいます。賞レースみたいな真剣勝負の場だと、下手すれば審査にも影…

東京ダイナマイトによる円満退社のススメ

以前、『ウェブはバカと暇人のもの』の著書などで知られる中川淳一郎さんが、ツイッターでこんなつぶやきをしていました。おい、会社を辞めようと思っている皆様方。これからの人生を考え、何が一番大事かといえば、「円満退社」だ。会社とケンカ別れをして…

売れかけている芸人ほどお金がない

「売れかけている芸人ほどお金がない」という話をよく聞きます。もしこれが「売れている芸人」との比較ならば当たり前のことです。両者の収入差に疑問を持つ人はいないでしょう。ところが、この話の比較対象は「売れている芸人」ではありません。自分たちよ…

南原プロデュース

ウッチャンナンチャンの内村光良は、数多くの若手芸人をブレイクさせてきました。代表的な例を挙げると、「気分は上々」で改名した海砂利水魚(くりぃむしちゅー)とバカルディ(さまぁ~ず)、「内村プロデュース」に出ていた有吉弘行、さらには「世界の果…

オードリーとバイきんぐの売れるまでの過程における共通点

オードリーとバイきんぐの売れるまでの過程を追っていくと、いくつか共通点が見つかります。そしてその共通点から、彼らがテレビで活躍し続けている理由が浮かび上がってくるのではないか。そう思ったわけです。まず誰もが分かる共通点として、売れるきっか…

テツandトモの心の師匠は立川談志

「なんでだろう~」で一世を風靡したお笑いコンビ、テツandトモ。赤いジャージを着たテツが舞台狭しと動き回る。それに合わせて、青いジャージのトモがアコースティックギターをかき鳴らす。日常のふとした疑問を並べたて、最後は2人そろって「なんでだろう…

ビートたけしが無法松にした粋な計らい

「もう完全にそいつの運」。ビートたけしは、迷うことなく答えました。弟子にする条件を問われた際に。 7か月間出待ちして、たけし軍団に入った水道橋博士 2014年8月28日放送「大谷ノブ彦キキマス!」(ニッポン放送) パーソナリティはダイノジ大谷ノブ彦。…

小説でいろんな自由が許されるのは読んでいる人が少ないから

又吉直樹と羽田圭介。今年7月に芥川賞を受賞した2人は、間違いなく2015年を代表する人物でしょう。最初は又吉フィーバーの影に隠れて「又吉じゃないほう」なんて呼ばれたりした羽田さんも、明け透けなキャラクターが徐々に浸透していき、今ではテレビに引っ…

バナナマン設楽「コントの人は二度売れなきゃいけない」

賞レースで活躍した勢いを、そのままバラエティ番組で発揮することが難しくなってきました。もはや「お笑いブーム」に頼れる時代ではありません。そもそも競技が違うとも言われます。そんな状況をさらに細かく見ていくと、漫才かコントの違いで難易度がだい…

ビートたけしの分厚さ

11月下旬あたりから、お笑いコンビ解散のニュースをやたらと耳にします。この時期にコンビ解散が相次ぐ原因について、ウーマンラッシュアワー村本さんがラジオで解説していました。結論を先に言ってしまうと、賞レース(今の時期ならば「THE MANZAI」)の結…

どんな人生を背負った人がその作品を作ったのか

「作品の価値」とは一体どのようにして決まるものなのでしょうか?お笑いの世界なら「ネタの面白さ」と言い換えられるかもしれません。露骨に言ってしまえば、作品の何に対して、客はお金を落としていくのか。 ラーメンズ片桐仁、ロサンゼルスに行く 2014年5…

「キングオブコント」の伝統を守ったラブレターズ

2014年の「キングオブコント」は、シソンヌの優勝で幕を閉じました。TBSが主催するコント日本一を決める大会「キングオブコント」。2008年から始まって今年で7回目となるこの大会は、優勝者だけでなく「8位(最下位)のコント師」にも大きな注目が集まります…

初期の「爆笑オンエアバトル」にあった東西の溝

「大阪芸人は東京がイヤだった」。「爆笑オンエアバトル」の歴史を振り返る番組で、このようにコメントしていた陣内智則さん。それを受けて、ますだおかだ岡田さんも「オンバトの収録だけは気が重かった」と答えています。この2組は初期の「オンバト」で大活…

「THE MANZAI」で南海キャンディーズと戦いたい男達

2013年の「THE MANZAI」は、ウーマンラッシュアワーの優勝で幕を閉じました。大会が終了しても、その余韻をしばらく楽しむことが可能です。と言うのは、出場した芸人が「あのときこうだった」みたいな裏話を、テレビやラジオでしてくれるから。私はそういっ…

くじらがオードリー若林に「エンタの神様」でやる漫才でアドバイス

「THE MANZAI 2013」決勝まであとわずかです。もうワクワクが止まりません。ただし私の楽しみ方は異質かもしれません。と言うのもネタをあんまり見ていないので、ネタそのものを語る言葉を持っていないのです。ネタ見るのはもちろん好きです。でも、そういう…

今年の「キングオブコント」はジグザグジギーを応援したいけど……

真のコント日本一を決める大会「キングオブコント」が、今年も開催されます。先日、赤坂BLITZで準決勝が行われました。そして、厳正な審査の結果、決勝進出を果たした8組が決定しました。 「キングオブコント2013」決勝進出者8組 ネタ順 名前 所属事務所 1 …

すごい技術を持ってても時代が振り向いてくれないと意味が無い

タイトルは、AKB48のプロデューサーである秋元康さんの言葉です。放送作家の鈴木おさむさんとの共著『天職』の中で、実力があるのに世の中に出ていけないお笑い芸人について聞かれたときに、こう言っていました。そして、秋元さんは、成功するには才能よりも…

コントは誰もがやっているベタな設定を誰もやっていない切り口で

先週の「ダイノジ大谷ノブ彦のオールナイトニッポン」に、バイきんぐ小峠さんがやって来ました。自分の好きな曲をエピソード込みで出し合い、どちらが心揺さぶることができるかで勝負する「洋楽じゃんけん 80s編」の対戦相手として。BSで洋楽番組の司会を務…

見事なやられっぷりで笑いを取ったトップリード

BSフジで定期的に放送している「カンニング竹山の恋愛中毒」。私はこの番組が大好きです。特に、オフィス竹山の所属タレントを探す「芸人面接」のコーナーがお気に入り。やって来たタレントに対して、ちょっとイジワルな面接官演じるカンニング竹山さんが、…

ネタ作りとは大きな自分たちのスタイルを作ること

お笑い芸人がネタ作りについて語ることがあります。私はそれを聞くのが大好きです。 さらば青春の光「ぼったくりバーのネタは新ネタライブの1時間前に出来た」 2012年12月26日放送「山里亮太の不毛な議論」ポッドキャスト(TBSラジオ) パーソナリティは南海…

スピードワゴン小沢がキングコング西野に送ったアドバイス

「M-1グランプリ」が懐かしくなって録画を見返すことがあります。特に予選大会の裏側を追った直前番組を。もがき苦しみながらM-1ドリームを目指す漫才師の姿は、今見ても感動を覚えます。2007年の「M-1グランプリ」は、敗者復活から勝ち上がったサンドウィッ…

ネタに自分らしさが出るのを待つ物語

2011年の年末に行われた漫才日本一を決める「THE MANZAI」。この番組でブレイクして、16年の下積み生活から解放されたのが、お笑いコンビHi-Hiです。そんな彼らが初の単行本を発売。芸人生活18年を含む高校時代から成功するまでの23年間を綴ったノンフィクシ…

若手芸人の高齢化について考えるカンニング竹山

ロンドン五輪で卓球女子団体がメダルを賭けて準決勝を戦っている中、「カンニング竹山の恋愛中毒」がBSフジで放送されていました。かつてはインターネット放送だった伝説の番組。「鳥居みゆきを発掘した番組」と言えば、ピンとくる人も多いかもしれませんね…

オードリーのズレ漫才が栄光をつかむまで

デビューしてから約6年間、テレビに全く出られなかったオードリー。当時の自分たちを振り返って、「下積みをこじらせていた」と表現した若林さん。そんな彼らがある発見をきっかけにして、暗黒の下積み時代から抜け出すことに成功します。今回はそのときのエ…

下積み時代を過ごした原宿のクレープ屋に再訪するオードリー春日

2011年10月2日の日曜日。NHKと民放のラジオ局共同のイベント「はじめまして、ラジオです。」が行われ、オードリーがニッポン放送代表として参加しました。日増しに秋も深まっていく中、野外でもタンクトップ姿で乗り切った春日さんは、空き時間を利用して渋…

Hi-Hiが収入ゼロの月があっても芸人を続けてきた理由

今最も勢いがあるお笑いコンビと言えば、Hi-Hiでしょう。2011年の年末に行われた「THE MANZAI」での活躍をきっかけに、メディアへの露出が一気に増えました。私が聞いているラジオにもゲスト出演していましたので、今回はこのときの様子を紹介させて下さい。…

審査員の相方が付ける点数を予想しながら「M-1グランプリ2010」を楽しんだ三村マサカズ

年末には、日本一面白い漫才師を決める「M-1グランプリ」がありました。でも今年はありません。その代わり、ナインティナインが司会の「THE MANZAI 2011」が開催されます。季節が秋から冬へと向かう。気温が段々と下がってくるのに反して、M-1熱はどんどん上…