笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

不自由さの中で工夫することの重要性を語るダイノジ大谷

先日、あるラジオ番組で、ダイノジ大谷さんが子育てについて熱く語っていました。

実際に子育て中の身である大谷さんは、「子供には専用の子供部屋を与えるべきか?」という質問に対して、どちらかと言えば「必要ない」と答えます。その根拠として、「不自由さ」の重要性を挙げていました。

ダイノジ大谷「子供に好かれることを期待しない」

2011年7月9日放送「鈴木おさむ考えるラジオ」(TBSラジオ)

パーソナリティは鈴木おさむ(放送作家)。
アシスタントは出水麻衣(TBSアナウンサー)。
電話ゲストはダイノジ大谷ノブ彦。

今回のテーマは「子供には専用の子供部屋を与えるべきか?」。

リスナーから様々な意見が寄せられたあと、ダイノジ大谷さんに電話を繋ぎます。

鈴木「大谷君は、お子さん今何歳ですか?」
大谷「今4歳で、再来月5歳になりますね」
鈴木「男の子」
大谷「はい、男の子です」
鈴木「かなり育児してますよね」
大谷「ん~、まあでも、やっぱこの仕事なんで、やれることは限界ありますけど、なるたけ一緒にいるようにはしたいな、と思いつつやってますけどね」
鈴木「ポリシーはなんですか?子育てのポリシー、こだわり」
大谷「ポリシーですか……」
鈴木「うん、なんかこだわってることとか」
大谷「まあ、要するに期待しないってことですね」
鈴木「期待しない?」
大谷「はい、子供のことは全然期待しないってことですね」
鈴木「えっ、なんでなんで?」
大谷「だから、あれですよ、期待しないって、子供の将来を期待しないじゃなくて、子供に好かれる好かれないってことを期待しないようにしてますね
鈴木「え~!だって、好かれるかどうかって気になるとこじゃないですか」
大谷「でも、どっちかが叱ったりしたら、僕が叱る立場になんないと……だからどっちかだと思うんですよね、逃げ場は母親にしておいて、僕が叱ったら母親に逃げるみたいな、母親がちょっと女性ですから感情が高ぶってしまったときは、うちに逃げはしますけど、基本的には俺、子供に好かれなくてもいいからしっかり叱ろうって気持ちのが強いですね

今回のテーマである「子供部屋を与えるかどうか」について話題が移ると、大谷さんはある本を紹介します。

天才を作った親たちに共通すること

鈴木「そんな大谷君に聞きたいんですけど、子供部屋っていうのを……今現在、子供部屋はまだないでしょ?」
大谷「今ないですね、はい」
鈴木「これからどうします?」
大谷「あの~、おさむさん、吉井妙子さんという方の本で、『天才は親が作る』って本があるんですよ」
鈴木「はいはい」
大谷「すっごい面白くて、これは、金メダル獲った清水選手とか、イチローさんとか、あと大リーグ行った松坂さんとか、ああいうアスリートの人達全員に、要するに天才を作ってきた親にインタビューしたっていう本なんですよ」
鈴木「ほぉ」
大谷「で、これ、実はこの天才たちに共通項が2つだけあって」
鈴木「なんすか?」
大谷「ひとつは小学校のとき必ず裸足で運動してると、で、もうひとつは、必ず父親と家族そろって食事してるんですよね
鈴木「へぇ~」
大谷「それを必ず徹底してるんですよ」
鈴木「うん」
大谷「だから松坂投手とかは、友達の家泊まりに行ったときに、友達が親と一緒に食事をとってないことに、『えっ!こんなことあっていいの?』みたいな感じのリアクションとかしてるんですって」

そんな前置きをした上で、子供部屋について大谷さんなり考えを披露します。ここからさらに熱さが増す大谷さん。

天才は親が作る (文春文庫)

天才は親が作る (文春文庫)

ダイノジ大谷が考える子供部屋の必要性

大谷「僕は、だからもちろん、子供が欲しいと言ったとき考えるとは思うんですけど」
鈴木「うん」
大谷「基本的には僕、必要ないと思ってるんですよね」
出水「はい」
大谷「だからその、いわゆる自由とかを、曖昧になにか与えてるのって、ちょっと親として」
鈴木「うん」
大谷「親がよく言うじゃないですか、なんかその、子供を自由に育てたい、子供の思うように育てたい、もちろん!それは大事なことで、これは言っちゃいけないけど、僕本当の意味で、親の所有物でいいと思うんです」
鈴木「ふ~ん、子供は」
大谷「ただそれは、逆に言えば、自分が必ず責任を持って育てるんだっていう、気概の表れでもあるんですね」

「子供は親の所有物でいい」は、いかにも大谷さんらしい表現です。

大谷「たとえば僕、10代のときパソコンがあったら、自分の部屋にあったら、絶対2ちゃんねるやってたと思うんですよ」
鈴木「うん」
大谷「で、2ちゃんねるが悪いとか言うんじゃなくて、2ちゃんねるって捌け口じゃないですか、捌け口を、その思春期の人間に与えるのがイヤなんですよ、僕は溜まってるモノは溜めてほしいんですよね」
鈴木「うんうん」
大谷「悶々として欲しいんです、だから不自由さの中で何かを工夫するってことはすごい大事なことで
鈴木「やっぱさ、俺らの頃って、大谷君なんかも田舎じゃないですか」
大谷「そうです、そうです」
鈴木「映画もね、ちゃんと観れなかったりだとか、テレビが映らない、多いじゃないですか」
大谷「そうそう」
鈴木「でも、その不自由なことの中から見つけてきたら……やっぱり子供部屋があって自由すぎると、逆に考えなくなってしまうんじゃないかって」
大谷「そうなんですよ、だから見つけたときの喜びってありましたよね、僕らのときって」
鈴木「うんうん」
大谷「オタクの人って大好きなんですよ、僕全然それでもいいと思ってますし、だけど、さっきも言いましたけどすごいシンプルなことですよね、家族と食事をとるとか、コミュニケーションをとらないで、どんどん自分の世界に引きこもっていくのは、俺はやっぱりあんまり好きじゃないですね」
鈴木「そうだね~」
出水「そうですね」

子育てに対して語る大谷さんも前のめりでした。聞けば、札幌のススキノを歩きながらホテルに向かっている最中の電話だったそうです。^^;

鈴木おさむさんはこのあと「大谷さんには反対だという意見も送ってください」と呼びかけ、「子供部屋は与えるべきだ、子供にもプライバシーはある」という意見もきちんと紹介していました。

余談ですが、大谷さんの「子供に好かれることを期待しない」という発言を聞いて、爆笑問題の年末特番で放送された家田荘子さんのコメントをなんか思い出しました。

家田荘子「子供に嫌われたくない親が増えてきた」

2008年12月27日放送「平成ニッポン20年史!」(TBS)

司会は爆笑問題(太田光・田中裕二)、安住紳一郎。

平成に起こった少年犯罪を映像で一気に振り返った後、数々の少年少女を取材している作家の家田荘子さんが、そういった少年犯罪の変質について次のような分析していました。

痛みが分からない子供たちが多くなっていると思いますが、でもその子供たちの背景に親たちの問題がある、と私は思います

つまり親との関係性が密接にリンクしている。

かつては子供を怖がっていた時代もあったんですね、親が
その後、今度は子供と仲良くしようとする親が増えたんですね
それから子供に嫌われたくないと思う親が増えてきて
かつてのような親が怖いとか、親が怒るとか、叱ったり褒めたりする、そういう教育が出来にくくなってきたんではないかと思います

まさに「考えるラジオ」の名の通り、私も考えさせられました。