笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

SHELLYの師匠は坂東英二

先週のTOKYO FM「よんぱち」に、SHELLY(シェリー)が登場しました。
SHELLYさんはTOKYO MXの「U・LA・LA」という情報番組で毎朝司会を務めたり、今年の4月からはTBS「A-Studio」アシスタントに抜擢されるなど、今勢いに乗っている女性ハーフタレントです。SHELLY(シェリー)と言われてもピンと来ない人でもブログで写真を見れば、「あっ、この人知ってる」と思われた方も多いのではないでしょうか。
そんな彼女が「よんぱち」で語ったデビューしてから今に至るまでの芸能生活の中で、「お笑い芸人かっ!」とツッコみたくなるほどの苦節時代があったのが、正直驚きました。今回はこちらを紹介させて下さい。

天然 板東英二のゆでたまご伝説

天然 板東英二のゆでたまご伝説

SHELLYは今年来る、鈴木おさむが太鼓判

2011年5月13日放送のTOKYO FM「よんぱち 48hours」。

パーソナリティは放送作家の鈴木おさむ、柴田幸子。ゲストはSHELLY(シェリー)。

鈴木「さあ、TOKYO FM『よんぱち』、この時間のゲストは、もう今ね、2011年かなり来る、もうかなりノッてます、タレントのSHELLYです」
SHELLY「こんにちは〜、よろしくお願いしま〜す」
鈴木「もう本当に、テレビで見ない日はないんじゃないですか?」
SHELLY「いやいやいや、そんなことないですよ〜」
鈴木「急に来ましたね」
SHELLY「ハッハッハッハッ、そんなことないですよ」
鈴木「いやいや、ホントホント、マジであの〜、結構2011年なかなかタレント不足でしたから、女性タレント、これSHELLY来ましたよ〜」
SHELLY「うわっ、ありがとうございます〜」
鈴木「いろんなところで、会議で名前が出てますけど」
SHELLY「ホントですか!?」
鈴木「だって、すっごい忙しくなったでしょ?最近、正直」
SHELLY「あっ、ありがとうございます〜」

TBS「A-Studio」アシスタントでもあるSHELLYさん。実は、この番組の構成作家をしているのが鈴木おさむさん。なので最初から、和気藹々な雰囲気でトークは展開していきます。

SHELLYってナンだ!?

とは言え、まだSHELLYをよく知らない人もいるだろうってことで、デビューから順番にひとつずつ聞いていきます。

鈴木「そんなSHELLY、すごいいっぱい出てますけど、SHELLYのことまだね、ちゃんと知らないって人結構多いと思いますので」
SHELLY「はい、ほとんどだと思います」
鈴木「SHELLY講座をね、ちょっとね、したいと思いますけど」
SHELLY「おっ」
鈴木「今おいくつですか?」
SHELLY「27になりました」
鈴木「そうなんです、意外とね、年いってるんです」
SHELLY「アッハッハッハッ」
鈴木「僕が言うのも失礼ですけど」
SHELLY「いえいえ」
鈴木「ごめんなさいね、ちょっと失礼なことなんとなく聞きますけど、そのほうが分かりやすいと思いますので」
SHELLY「はい、ありがとうごいます」

SHELLYさんの生い立ちから聞いていくと、お父さんがアメリカ人のハーフ。生まれたときからずっと日本で、横浜で暮らす。そして14歳のとき、姉のインタナショナルスクールの文化祭に行ったその場でスカウトされて、いざ芸能界へ。

14歳のときモデルでスカウトされて、スターダストへ

鈴木「で、スカウトされて、あれ、その頃からスターダストですか?」
SHELLY「そうです、ずっとスターダストです」
鈴木「そう、スターダスト、これね〜、スターダストにはいろんな女優さんがいます、常盤貴子さんから北川景子さんまで、僕もいろいろお世話になってますけど」
SHELLY「ヘッヘッヘッヘッ」
鈴木「いろんなもうあの、女優さんがいて、なぜか、女優軍団の中に野々村真さんがいるっていう不思議な・・・」
SHELLY「そうですね、なんなら一番の大御所というか、一番の先輩ですね、え〜、森尾由美さんの次の・・・」
鈴木「坂東英二さんもスターダストですもんね」
SHELLY「そうです、ええ」
鈴木「坂東英二さんがスターダストって聞いたとき、何回も名刺見直したもんね!
(SHELLY笑)
鈴木「そんなスターダストでいよいよ、この女優がたくさんいる中で、このSHELLYが出てきたってことで」
SHELLY「はい、フッフッフッ」
鈴木「これはスターダストプロモーションはかなり大事に、育ててると僕は思ってますけど」
SHELLY「(照れながら)いや〜どうでしょうかね?フッフッフッ」
鈴木「ももいろクローバーと」
SHELLY「アッハッハッハッ、よくご存知ですね〜」
鈴木「よく知ってるでしょ」
SHELLY「うわ〜、素晴らしい」

スターダストに入り、モデルとしてデビューしたSHELLYさん。しかし、その輝かしい時代はあっけなく終わりを迎えます。

18歳になるとモデルの仕事が全く無くなり、アルバイトに精を出す日々

鈴木「そのSHELLYさん、デビューしてからどういう経歴で今に至るわけですか?」
SHELLY「え〜っと、最初はモデルをやらせていただいてたんですね、で、10代のときはずっとやってたんですけど、18(歳のとき)にですね」
鈴木「うん」
SHELLY「あの、ポッキリ売れなくなっちゃいまして」
鈴木「仕事がかなり」
SHELLY「全く来なくなっちゃったんですよ」
鈴木「モデルの仕事っていきなりなくなるもんね、ふっふっふっ」
SHELLY「そうなんですよ、なんか波があったりとか、いろいろあったんですけど」
鈴木「なくなったといっても18歳だよね、やっぱ焦った?」
SHELLY「焦りましたよ〜、まっ、大学を2年間遅らせたんですよ、行くのに、とりあえず日本でお金を稼いで、そのお金で大学に行こうと思ってたんですけど」
鈴木「うん」
SHELLY「まさかの仕事が全くないので、まあ負債はさすがになかったんですけど、その前に仕事をしてたんで、お金はあったんですけど」
鈴木「うん」
SHELLY「まあアルバイトしたり、あの〜、いろんなとこでお仕事したり」
鈴木「あっ、親にはあんまり頼らなかったんですか?」
SHELLY「あっ、まあ、実家には住んでたんですけど、金銭的には自分で全部やってました」
鈴木「そりゃそうだよね、だって働いてなかったら無職だもんね」
SHELLY「そうです、そうです」

いろんなアルバイト経験がある中から、相手に話すと一番びっくりされるというアルバイトについて。

中古車解体業者で働いていたSHELLY

鈴木「どんなバイトしたの?」
SHELLY「いろいろやりましたよ、あの〜、一番ビックリされるのは、バイトというかOLに近いんですけど」
鈴木「うん」
SHELLY「あの〜、中古車解体業者」
(鈴木おさむ笑)
鈴木「それもうバイト超えてるじゃない」
SHELLY「はい」
鈴木「もう職人ですよ」
SHELLY「ホントそうですよ、解体されたパーツを全部磨いて、で、梱包して、どの部分がどういう風に傷ついているかってのを全部メモして、その、大きな棚にしまって、それをパソコンに入力して、で、そのパーツを売るっていう」
鈴木「うん、(深く感心しながら)す〜ごいね〜」
SHELLY「エッヘッヘッヘッ」
鈴木「じゃ、解体できるんですか?」
SHELLY「解体はさすがにしないですよ、解体されたパーツを掃除するところからが、私の仕事でした」
鈴木「そうかそうか、いろんなことやってると思いますけど、まさかワープロ打てたり・・・、それはしないんですか?」
SHELLY「ワープロ普通に、はい、打てます」
鈴木「やっぱそういうバイトもしてたりとか?」
SHELLY「それはあのパソコンで、いろいろ入力したりしてたんで」
鈴木「意外とだってこの業界で、普通にワープロ打てたり、ワード使えたりする人少ないですからね」
SHELLY「あっ、そうなんですか〜」
鈴木「そうです、ふふっ、SHELLY、意外とそういうの役立ちますよ」
SHELLY「ハッハッハッ、ちょっと嬉しいですね」

ウッチャンが台本書くときは、いまだにボールペンと紙なのかな〜?なんて余計なことに思いを馳せていると、アルバイト時代から這い上がったきっかけについて話題は移っていました。

20歳で受けたオーディションに合格し、WOWOWの音楽番組の司会に抜擢される

鈴木「そんなバイトをしながら、18歳で、高校ぐらいから?」
SHELLY「えっと、20歳のときに初めて、『テレビの音楽番組のオーディションを受けてみないか?』って言われたんですよ」
鈴木「はいはいはい」
SHELLY「でも音楽は普通に好きだったんで、まっ、人より好きっていう自分では認識はなかったんですけど」
鈴木「うんうん」
SHELLY「オーディションに行ったら『詳しいね〜』って言われて、あっそうなんだ〜と思って、そのオーディションは一応原稿読んだりだとか、あの〜いわゆるMC(司会)としてのお仕事だったんですけど、受かっちゃったんですよ」
鈴木「はい」
SHELLY「WOWOWだったんですけど、で、その番組に受かってからがですね、まあ・・・バシバシやられまして、その女性プロデューサーがすごい厳しい方で」
鈴木「厳しかったんだ、その人が」
SHELLY「ホントに、ええ」
鈴木「あの、なんて言うの、言葉のしゃべり方だとか?」
SHELLY「そうなんですよ〜、イントネーションとか自分では気付かないところで、やっぱりちょっとおかしいしゃべり方をしてたみたいなんですね」
鈴木「うん」
SHELLY「結構、アナウンサーさんがやるような・・・」
鈴木「嫌になんなかったですか?」
SHELLY「ああ、もう嫌になりました、フッフッフッフッ」
鈴木「はっはっはっはっ」
SHELLY「(うなり声のように)ウウ〜!って思ってましたもん」
(鈴木おさむ笑)
SHELLY「でもまあ、その自分でしゃべるってことしなかったんで、モデルはもう写真撮られて終わりなんで、自分で例えばアーティストにインタビューしたり、自分で質問したいことを聞けたりだとか、それはすっごく面白くて、しゃべる仕事って面白い〜と思って、はい、そこからですね」

20歳にしてやっと掴んだテレビのチャンス。しかしそこで待っていたものは、厳しい環境での修行の日々。でもそれがあったおかげで、SHELLYさんのタレント力がアップしていったんでしょうね。

坂東英二との共演が転機

鈴木「そっからやり始めて、でも今、27歳になったばかりですけども、そのやっぱ25、26歳ぐらいから仕事が増えてきている気がするんですね」
SHELLY「そうですね〜」
鈴木「で、MX(東京のローカルテレビ局)やってるでしょ?」
SHELLY「そうなんですよ」
鈴木「毎朝やってますけど〜、バラエティですごい呼ばれるようになったのは、多分この1、2年だと思うんですけど」
SHELLY「そうなんです」
鈴木「この間っていうのは、どういう仕事をしてたんですか?」
SHELLY「ずっとMCだけだったんですよ、あの、TOKYO MXの朝の番組もそうですし、ラジオでも番組をやらせていただいたり、あとイベントの司会をやらせていただいたりとか」
鈴木「でもね、そんな中で、急にこう仕事が増えてきて、SHELLYがスタジオに居ると盛り上がったりだとか、え〜と、すごいリアクションしてくれたりするんだけど、どっかで自分のきっかけあったんですか?この番組とか、この芸人さんと一緒にいたとき勉強になったとか」
SHELLY「あっ、それはいますよ〜」
鈴木「それはなんですか?」
SHELLY「坂東英二さんです」
鈴木「坂東さん!?ゆでたまごですか?」
SHELLY「ウッフッフッフッフッ」
鈴木「なんでですか?」
SHELLY「あの〜、名古屋で坂東さん番組をやられているんですけども、ロケ番組で、もうホントにゆる〜い番組なんですよ、いろんなお店にちょっと立ち寄って」
鈴木「言いますね〜、ゆるいって」
(SHELLY笑)
鈴木「ふっふっふっ、まあ名古屋ですから、大丈夫、大丈夫」
SHELLY「いい意味で!いい意味で!大丈夫ですか?」
鈴木「はっはっはっはっ、いい意味でゆるいんですね」
SHELLY「いい意味でゆるい番組なんですよ、でも、そのゆる〜いということに、すごく慣れてなくて、生放送ばっかりやってたんで」
鈴木「そうか、そうか」
SHELLY「それがあの、その中でどういう風に面白いことを言ったりやったり、坂東さんの邪魔をせずにツッコミを入れたりとか、そういうなんかこう・・・」
鈴木「しゃべるからね、また坂東さん」
SHELLY「そうなんですよ、坂東さんが結構、最初はすごい突き放されたんですけど」
鈴木「おお」
SHELLY「途中から可愛がっていただけるようになって」
鈴木「へぇ〜」
SHELLY「で、なんかちょっと真面目な話をいろいろ教えてくださって、『そういうときは違うやろ、こうするんやろ』みたいなことを教えてくださって
鈴木「うん」
SHELLY「『あっ、なるほど、なるほど』と、で、それでそういうちょっとしたこう、ボケとツッコミじゃないですけど、そういうことが面白くなって」
鈴木「へぇ〜!坂東英二が師匠なんですね、じゃあ」
SHELLY「はい、大師匠です」
鈴木「コレ、いろんなところで言った方がいいですよ」
SHELLY「本当ですか?ハッハッハッハッ」
鈴木「『自分の師匠は坂東英二さんなんです』って、まあ事務所の先輩ですからね、ふっふっふっ、いや、でもそれね、やっぱり坂東英二さんは『マジカル頭脳パワー』とか数々の司会をされてますから〜」
SHELLY「ええ」
鈴木「だからやっぱりそれは思うんだろうね、もしかしたら途中から鍛え甲斐があると思ったかもしんない」
SHELLY「そうですかね〜、どうでしょうかね〜」

坂東英二師匠から芸を学んだSHELLYさん。

バラエティ番組は壮絶な空気の読み合い

こうしてSHELLYさんのこれまでの芸能生活の歩みについて掘り下げてきたわけですが、それでは「今はどうなのか?」を問う鈴木おさむさん。

鈴木「どうですか?そのすごい忙しい日々だと思いますけど」
SHELLY「いえいえ」
鈴木「仕事しててやりがいはあるだろうけど、大変でしょ?」
SHELLY「いや!でも、まだ大変というか、楽しいですね」
鈴木「あ〜、そう」
SHELLY「はい」
鈴木「でもほら、やっぱテレビに行くと、芸人さんもそうだけど猛者が多いじゃないですか」
SHELLY「猛者(もさ)?」
鈴木「なんていうの、バラエティって見たら楽しいけど、現場に行くと結構芸人さん同士の戦い、激しいでしょ?」
SHELLY「そうですね、でも戦いというか、やっぱり壮絶な空気の読み合い
鈴木「あっはっはっはっ」
SHELLY「なんていうんですかね〜、その、バラエティの素晴らしさって、これ言うとなんか・・・」
鈴木「いいですよ、語って下さい」
SHELLY「いいですか?なんか・・・、私が全然偉そうに言えることじゃないんですけど、ちょっと気付いたというか」
鈴木「うん」

憚りながらバラエティ番組について思うことを語り始めるSHELLYさん。

SHELLY「あの、最初はやっぱり仕事が欲しいんで、自分のアピールをしようとか、どこでしゃべろうとか、どこでこう合間の縫って、発言しようとかばっかり考えるんですけど」
鈴木「うんうん」
SHELLY「あるとき、みんなの壮絶な空気の読み合いに気付いたときに、あっ、これってある意味、みんなで面白いものを作らないと」
鈴木「チームプレイなんですよね」
SHELLY「そうなんですよね、究極のチームプレイなんですよ、バラエティって
鈴木「そう」
SHELLY「で、みんな初対面だったりするんですよ、初対面なのにツッコミを入れたりだとか、すごく失礼なことを言って笑いをとったりするんですよ」
鈴木「うん」
SHELLY「その後にはもちろん、『さっきはすみませんでした』ってことをしたりするんですけど、あの瞬間って、初対面同士でもみんな『よっしゃ、面白いもの作ろうぜ!』っていう一体感が生まれるんですよね」
鈴木「はいはいはい」
SHELLY「あの、上手くその空気に自分が乗っかれたときとか、誰かが言った事に対してスッと答えられたりしたときに、得る快感って」
(鈴木おさむ爆笑)
SHELLY「エッヘッヘッヘッ」
鈴木「いいですね〜!やっぱり!いろんなね、バイト経験されてるから〜、でもそうですよね」
SHELLY「すいません、ほんっと申し訳ありません」

売れている人にはちゃんと理由があるんだと、感心しながら聞いていました。

空気をぶち破る人を見ると鳥肌が立つ

SHELLYさんのバラエティについての語りを受けて、それはそれは数多くのバラエティ番組を手がけてきた放送作家の鈴木おさむさんも語らずにはいられません。

鈴木「すごいのがさ、バラエティって不思議なのが、みんな空気の読み合いじゃない」
SHELLY「そうなんです」
鈴木「で、ホントは、空気読めないヤツはダメなんだよってなるけど、空気を読み合いながら〜、どっかで空気をバーンッ!と、ドリブルしたヤツがすごい目立ったりするでしょ
SHELLY「そうですね」
鈴木「だから、劇団ひとりとかすごいなと思うんですけど、そういうのを見ると鳥肌が立つ感じがして」
SHELLY「そうなんですよね」
鈴木「すごいですよ、27歳でこんなことを語ってるとは、さすが坂東さんが師匠ですよ」
(SHELLY笑)

まるで、お笑い芸人のようです。そして、非常に賢さを感じさせる語りっぷり。それまでSHELLYさんの存在は知ってはいましたが、このラジオのあと一気にファンになりました。

ラジオにもほどがある (小学館文庫)

ラジオにもほどがある (小学館文庫)