笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

奇跡が生んだお笑いトリオ・パンサー

少し前のTOKYO FM「よんぱち」に、パンサーが登場しました。

パンサーは、ボケの尾形貴弘(おがたたかひろ)、ツッコミの向井慧(むかいさとし)、そして、ボケでネタを作っている菅良太郎(かんりょうたろう)の3人で結成された吉本所属のお笑いトリオ。「女子中高生の出待ち率No.1トリオ」と紹介されるぐらい人気があります。

そんな彼らのトリオ結成の経緯がとても興味深かったので、今回はこちらを紹介させて下さい。

TOKYO FM「よんぱち 48hours」にパンサー登場

2012年12月7日放送「よんぱち 48hours」(TOKYO FM)

パーソナリティは鈴木おさむ、柴田幸子。
ゲストはパンサー。

初登場ってことで、まずは自己紹介から。

鈴木「さあ、『よんぱち』この時間のゲストは、お笑いトリオのパンサーです、よろしくお願いします」
向井・菅「よろしくお願いしま~す!」
尾形「サンキュー!!」
(スタジオ笑)
鈴木「ラジオなので、自己紹介お願いします」
向井「はい、僕がですね、パンサーの向井と言います、お願いします」
菅「僕がパンサーの菅と言います、お願いします」
尾形「そして、僕がパンサーの尾形貴弘です!お願いします」
鈴木「え~、パンサーの向井君ね、センターに立ってますけど、ツッコミ、イケメンですね」
向井「ホントですか?」
尾形「そうですか!?」
向井「ふふふっ」
鈴木「甘いマスクですよ」
尾形「そうでもないと思いますけど」
向井「尾形がなかなか認めてくれないですけど」
尾形「雰囲気だけ、雰囲気だけだと思うんですよね~」
鈴木「尾形君はね、もう本当に、これから人生何回ドッキリに掛かるんだろう?っていうね」
(スタジオ笑)
鈴木「そして、菅君」
菅「はい」
鈴木「菅君は、ネタ作りが中心ですか?」
菅「そうです、まずネタ作りですね」

そして、芸歴を尋ねます。

鈴木「なんと、3人が珍しく、トリオで言うと大体みんな同期で組みますけど、バラバラなんですよね
向井「そうなんです」
鈴木「向井君が何期ですか?」
向井「僕が東京NSCの11期生」
鈴木「一番若い、歳は?」
向井「今、26(歳)です」
鈴木「え~、菅君は?」
菅「僕は9期生で、30歳です」
鈴木「あっ、30歳、ちょっと上なんですね、で、尾形君が?」
尾形「僕が8期生で、歳がサンキュー5歳です(35歳の意)」
(スタジオ沈黙)
鈴木「ふふっ、なんすか?」
向井「ホントすみません」
(スタジオ笑)
鈴木「これは尾形君を、どういつも処理してるんですか?」
向井「え~とですね、事故ったときはほぼ処理せずに」
鈴木「ははははっ」
菅「乗り捨てるっていう形で」
尾形「すみません!」

パンサーの3人は、東京NSC(吉本の芸人養成学校)に入った時期も違えば、年齢もバラバラ。

鈴木「いいですね、キャラクターがあれですね、尾形君がトリオの系譜で言うと、ニブンノゴ!の大川君みたいなね」
尾形「あっ、嬉しいですね」
向井「そうかもしれないですね」
鈴木「え~、そして、ホリケンさん(ネプチューン堀内)」
菅「ほぉ」
鈴木「良く言えばよ」
(スタジオ笑)
尾形「相当良く言っていただいてる感じですね」

どうやら尾形さんのキャラクターを気に入った様子の鈴木おさむさん。

パンサー結成の経緯

このように芸暦や年齢が全く違うパンサーの3人。簡単な表にしてみました。

  菅良太郎
(かんりょうたろう)
向井慧
(むかいさとし)
尾形貴弘
(おがたたかひろ)
東京NSC 9期 11期 8期
年齢(放送時) 30歳 26歳 35歳
担当 ボケ&ネタ作り ツッコミ ボケ
同期の芸人 ハリセンボン
しずる
エド・はるみ
チョコレートプラネット
スリムクラブ
ジョイマン

そんな3人がどうやって出会い、お笑いトリオ「パンサー」を結成するに至ったのか?

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向井が菅にいきなり電話して、初対面でコンビを組みたいと口説く

鈴木「3人はバラバラなのに、どう結成したんですか?」
向井「それぞれが解散組なんですけども」
鈴木「コンビで」
向井「僕はトリオとかもやってたんですけど、やっぱ同期と普通に組んで活動してたんですけど、上手くいかなくて」
鈴木「はい」
向井「で、どうしようかな?と思ったときに、同期を見渡してもみんなそれぞれ活動してて」
鈴木「11期は誰がいるんでしたっけ?エドさん?」
向井「エド・はるみ、タカダ・コーポレーション、で、チョコレートプラネットとかも」
鈴木「ああ、チョコプラ」
向井「とかいるんですけど、やっぱそれぞれ活動してたんで、どうしようかな?と思ったときに、もう……その同期とか関係なく、ちょっと面白い人と組みたいな」
鈴木「ほぉ」
向井「ということで、菅さんがもう芸人をほとんどやってない状態で」
鈴木「へぇ~、解散して?」
菅「はい、そうです」
向井「1年ぐらいほとんどやってない状態だったんで、『そういえば、菅さん面白いコントやってたな……』と思って、全くしゃべったことなかったんですけど、ちょっと菅さんの電話番号聞き出して」
鈴木「うわ~、すごいね」
向井「で、あの~、電話をいきなりかけて」
鈴木「口説きだ」
向井「はい、『初めまして、向井と言うんですけども、ちょっとコンビ組んで欲しいんですけど……』っていうのを菅さんに、僕いきなり」
鈴木「もうほとんどやってなかったんだ、解散して」
菅「はい、そうです、ほとんど僕も同じ状態です、同期と組みたかった、みたいのあるじゃないですか」
鈴木「だってね、菅君の同期と言えば、ハリセンボン」
菅「あと、しずるとか」
向井「はい、いっぱいいますから、9期生は」
菅「で、なかなか組めなくて、まあだから、本当に知らない子から電話かかってきたみたいな状態で」
鈴木「気持ち悪いよね、ちょっと」
菅「そうですね」
(スタジオ笑)
菅「『なんだろう?この子は』って思いました」

一方その頃、尾形は芸人を辞める気だった

鈴木「それで、そっから2人で?だってよかったじゃん、2人でやれば」
向井「そうなんですよ」
尾形「いや、そんなことないです!一方その頃!」
鈴木「要らないんじゃない?」
尾形「ちょっと待ってください!要らなくないですよ、一方その頃」
鈴木「そのカットバック要らないんじゃない?」
尾形「違うんです!一方その頃ですね、僕はサンキュー尾形っていうピン芸人でやってたんですよ」
鈴木「あ、その頃からサンキュー尾形で」
尾形「ずっとやってたんです」

しかしピン芸人として全く芽が出ず、芸人を辞めようとしていた尾形さん。

尾形「全然ダメで、僕辞めようと思ってたんです」
鈴木「うん」
尾形「で、あの~、『ラーメン二郎』を仙台でやろうと思ってたんですよ、でも芸人は続けたいと……」
鈴木「で、一方その頃?」
(スタジオ笑)
尾形「ちょっと待ってくださいよ!まだ終わってないですよ!」
鈴木「1回戻っていい?」
尾形「ギュッと(話を短く)します、戻さないでください!話したいです!」
鈴木「ははははっ、聞くよ、何?」
尾形「僕、菅と前にね、ユニットコントやったことあったんですよ、そんときすごいコイツ面白くて、考えることが、で、菅と組みたいな~と思ってたんですよ」
(尾形の身振り手振りが激しいらしくスタジオ笑)
尾形「菅と組みたいな~と思ってたんですけど、やっぱ後輩ですから」
鈴木「うん」
尾形「やっぱり言えないじゃないですか!先輩として『組もう』なんて、でね、僕ね……」
鈴木「いきなりタメ口に」
(スタジオ笑)
尾形「すみません!」
向井「本当にすみません」

ちゃんと説明しようとすればするほど笑いが起こる尾形さん。愛すべきキャラクターの持ち主。

尾形が新宿で菅と遭遇したことに運命を感じて、コンビを組みたいと口説く

尾形「『ラーメン二郎』を……」
鈴木「まだ続く?『ラーメン二郎』のこと」
(スタジオ笑)
尾形「『ラーメン二郎』のことを考えて、もう辞めようと思って新宿歩いてたんですよ」
鈴木「うん」
尾形「したら!あの広い新宿のコングリッ……コンクリートジャングルで」
菅「コングリートで」
鈴木「コングリートジャングルで」
尾形「(ツッコミを無視して)ジャングルで!あんな広いのに!(興奮して立ち上がった様子)」
向井「立たないでください」
菅「マイク、マイク」
鈴木「マイクの前に座ってくれる」
尾形「目の前から!菅が!もう1ミリも狂うことなく、俺の目の前に来て」
鈴木「殺し屋のように」
尾形「殺し屋のように来て!で、もうこれは、もう神様が言ってるんだなと、神様サンキュー!と」
鈴木「うん」
尾形「で、菅に『俺と組みましょう』って言ったんですよ、だから奇跡のトリオなんです」

向井さんと尾形さんが口説いた時期が、ちょうど同じだったそうです。

同じ時期に向井と尾形から口説かれた菅の決断

鈴木「え?だってその頃はもう、2人で組もうとしていたんでしょ?」
向井「それが、同じ時期だったんです」
菅「本当に同じ時期なんです」
鈴木「へぇ~」
菅「僕だから、本当ほぼ同時に『(コンビ)組もう』って言われたんです、2人に」
鈴木「だって、それはだってツッコミ(向井)のほうが欲しいでしょ」
向井「いや、でも……これが本当に知らなかったんで、僕のことを」
鈴木「うん」
向井「だから、ツッコミかどうかも……向井がツッコミっていうのも(菅は知らなかったのでは?)」
鈴木「尾形のことは知ってたの?」
菅「尾形のことは知ってました」
鈴木「そりゃ覚えるよね、1回見たら」
(スタジオ笑)

完全に尾形さんの空気になっているスタジオ。

菅「本当に向井のことは知らなかったので、まあ尾形と……とりあえずはやろうって話になったんですよ
向井「だから尾形を取ったんですよ、最初」
鈴木「最初に?」
向井「はい」
尾形「取られたんですよ、僕」
鈴木「すっごいミスチョイスじゃん」
(向井・菅笑)
尾形「ちょっと待ってくださいよ、ミスじゃないでしょう!まだ分かんないですから」
鈴木「それで?」
菅「それで、向井とも同時にしゃべってたんで、もう本当に僕も嫌われるのもイヤだったんで、向井に『イヤじゃなかったら一緒にやろう』って」
鈴木「あ~、一緒にやろうと」
菅「だからもう『3人で一緒にやろうか?』って、で、『向井はどうする?』って聞いたんです」
向井「僕、尾形さんともしゃべったことなかったので~」
鈴木「知ってはいた?」
向井「一応、知ってはいました、つまんねえ先輩だな、と」
(スタジオ笑)
尾形「いろんな人が聞いてんだぞ!みんな聞いてんだぞ、つまんないって言わないで~」
菅「でも、けっこう吉本興業では有名でしたけど」
鈴木「ははははっ」
尾形「そんなことないですよ!菅さん」
鈴木「だって、そのセーターがつまんないもんね」
向井「あはははっ!」
尾形「セーターつまんないってなんですか!デザイナーに文句言ってくださいよ、俺悪くないでしょ!」
鈴木「で、それで?」
向井「それで、まあ『向井がイヤじゃなかったら、3人でやろうか?』ってなって、やっぱココ逃したら……やっぱりまた時間掛かるなと思って
鈴木「何年前ですか?」
菅「4年前……」
向井「4年ぐらい前ですね」

芸暦や年齢だけでなくキャラクターも異なる3人。奇跡というよりも運命で集まるべくして集まった3人。それがパンサーというトリオなんでしょうね。