2012年7月のロンドンオリンピック開幕まで、あと半年となりました。
ナンチャン司会「Get Sports」。日本代表候補を紹介する「G-London2012」というコーナーがあるんですが、ハンマー投げの室伏広治さんがついに登場。ナンチャンとの対談で出てくる室伏さんの言葉は、もう他のアスリートとは次元が違いすぎてて、私はひたすら唸ってばかりでした。
室伏広治×南原清隆対談
2012年1月29日放送「Get Sports」(テレビ朝日)
司会は南原清隆。
ゲストは室伏広治。
37歳で4度目のオリンピックに挑む室伏さん。いまだ世界のトップに君臨し続けている理由について、ナンチャンが迫ります。
その前に、室伏広治さんのこれまでの成績を簡単な表に。対談では各大会の写真パネルが後ろにあって、それを指差しながら会話していく場面もありました。
西暦 | 大会 | 結果 | 補足 |
---|---|---|---|
2000 | シドニー五輪 | 9位 | 26歳で五輪初出場 |
2004 | アテネ五輪 | 1位 | 陸上・投てき種目でアジア初の金メダル |
2011 | テグ世界陸上 | 1位 | 36歳325日の金メダルは世界選手権史上最年長 |
筋力的なピークはアテネ五輪
筋力的なピークはアテネ五輪あたり、と答える室伏さんに対して、
南原「やっぱり体は変わってきてしまう?」
室伏「うん、そうですね、やはり筋力は衰えてきますね、同じやり方をしててもやっぱりこう……あとはまあ、体が慣れてきちゃうってのがあるんです、もう何年も何年も同じ動きをしていることで」
南原「うん」
室伏「体が飽きて、筋肉を総動員しなくなってくるんです、だからトレーニングを変化させたりとか、工夫して今、変わった投網をやったりとか」
南原「はい」
室伏「あの、うちわ投げをしたりとか、そういうのは全部意味があって」
南原「はい」
室伏「あの~、南原さんもなんか、狂言をされるってことで」
南原「あっ、そうですそうです」
室伏「まあその、僕もハンマーの、芸の幅を広げるじゃないですけども」
南原「はい、はい、はい」
室伏「そういう意味で、いろんなことにこう、チャレンジしてやってるのもあるんです」
バーベルの両脇にハンマーをぶら下げる意味
南原「これ面白いですね~、人間っていうのはやっぱりどうしても、なんでも日常生活でも慣れてしまう動物ですよね」
室伏「そうなんです」
南原「で、やっぱり投てきやっても慣れてて、『あっ、この筋肉使うんだろ?オッケーオッケー』って感じで、もう慣れてんのが分かるんですか?」
室伏「慣れてきちゃうんでしょうね」
南原「ということは、使ってない筋肉も出てくる」
室伏「出てきますね、それで負荷を掛ければもちろん……まあ集中力も散漫になってきますから、そうすると怪我をしやすい、ですからこう即興的な、すぐにその場で対応しなきゃいけないようなモノ、なんかはいいですよね」
南原「は~、即興的に、今まで使ってない筋肉をパッと使う」
室伏「使うような、うん、だからハンマーをこうバーベルにぶら下げたりして、揺れてる中でスクワットしたり、するとこう揺れに対応しながらしゃがむとか、そういうようなこともトレーニングでは考えていたりはしてますね」
筋力の衰えを独自のトレーニングによってカバーしてきた室伏さん。さらにこう言います。
感覚を鍛えるのは無限
室伏「特に感覚を鍛えるってことに関しては無限だと思うんですよね、筋力には限界があっても」
南原「うん」
室伏「ですからこう投網をしたりとか、そういうのもそうですよね、感覚を鍛えるのは無限じゃないですか」
深すぎる。
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世界選手権史上最年長36歳325日で金メダルを獲得できた理由
その努力の結果、世界選手権史上最年長での金メダル。この快挙の裏にはさらなる室伏理論があったのでした。
室伏「なんで勝てたかって言うと、やはりこれは戦術があって」
南原「うん」
室伏「あの~、80メートルをコンスタントに確実に、投げる練習をしてたんですね」
南原「は~」
室伏「若い選手は、え~、僕よりも力のある選手もいるけども、コンスタントに確実に80メートル近く今回(テグ世界陸上)投げた」
南原「うん」
室伏「それによって、やはりあの~、プレッシャーを与えることができる」
南原「うん」
室伏「そうすると自分が、試合をリードできる、相手に投げさせなかったんです、これは」
(唸る南原)
室伏「僕が投げたっていうよりは、最後まで相手に投げさせずに勝てたんです、この試合」
南原「室伏選手が投げているから、あれ以上投げなきゃいけない!っていう、ちょっと余計な力が入ったり、プレッシャーがかかったり」
室伏「そうです、それだけ安定していることは武器なんです、遠くに投げるだけでは勝てない」
そして今は、ロンドンオリンピックにピークを持ってくることに集中している、と語る室伏さん。
室伏広治と同じ時代を生きていることに感謝です。こんな感覚は、マイケル・ジョーダン以来かもしれません。収録後の雑談でちょっと匂わせていましたが、ハンマー投げ競技者として最後のオリンピックになるかもしれないロンドン。半年後、その姿をこの目でしっかりと見届けます!