笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

話が面白くないやつは余計な個性をぶつけてくる

ダイノジについて触れることが最近無いなと、ふと気がついたので、今回はダイノジ大谷さんのお話を紹介したいです。今までいろんなお話を紹介してきましたが、今回のは一番私の中ではハッとさせられました。

個性を捨てろ! 型にはまれ! (だいわ文庫)

個性を捨てろ! 型にはまれ! (だいわ文庫)

今のテレビは理由を聞いてくれない

2008年5月8日の「ヨシモト∞」。ダイノジの60分「大谷のいい話ベスト10」。

トーク中にいきなり大谷さん、面白いトークをするやつの法則を見つけた、まだきちんと固まってはいないけど話してみたいと切り出します。

大谷「合っているかどうか分かりませんよ、間違っている可能性もありますけど」
おおち「まあ、大谷さんなりの考えね」
大谷「勝手な持論です、これはテレビですよ、テレビタレントとしてトークが面白いか、つまんないかっていうのは、俺思ったんです、俺やっぱつまんない側にいたんです」
おおち「おお」
大谷「それはなんでかって言うと、例えばですね、あの〜『B級グルメが好きです』みたいな、若い子で言ってくるやつがいるんです、後輩芸人で」
おおち「うん」
大谷「で、『B級グルメ好きなんだ?』って僕としゃべるじゃないですか、もう芸暦1年ぐらいの子ですよ、『じゃあ、牛丼はどこが一番好き?』って僕が聞くじゃないですか」
おおち「うん」
大谷「そうしたら、『あ、すいません、僕牛丼は無いんだよな〜』って言うやつが、やっぱり世の中で一番面白くないんです、これはもう間違いない」
おおち「う〜ん」
大谷「例えば、B級グルメが好きだって言ったら、B級グルメの情報以外テレビで流すことは出来ないんです」
おおち「うん・・・」
大谷「言っている意味分かります?このあとの話でちょっと例を出しますと、さっきの『僕は牛丼苦手です』って言ったやつが実際に、男だけで集まったときに、『じゃあ、一人だけ芸能人と付き合えるなら誰と付き合う?』って話をみんなとしたんです」
おおち「うん」
大谷「いいですか、話をしたときに、まず一番最初の若手の子が『僕は広末です、なぜなら15歳のとき初めて広末を好きになって、今も広末がどんなスキャンダルがあったとしてもあの頃の僕に戻れるんです、だから広末が好きなんです』、これ納得いくでしょ?いい話だなって思うじゃないですか」
おおち「うんうん」
大谷「その次にそいつが周ってきたんです、そいつは某清涼飲料水のCMの端っこに映っているアイドルの名前を言ったんです、『え、誰?』ってなったんですよ、『いやいや、ナントカって子で、僕の中ですごい注目株で・・・』みたいなことを言うんですけど、その説明がすごい長くて説得力が無いんです」
おおち「うん」
大谷「もう全然、場がしらけるんです、分かります?そのときに例えば、黒木瞳さんとかって言うやついますよね、そうすると『あ〜、分かる分かる、なんか忘れてたけど分かる』みたいな絵に出来るし、こっちも共通の話題で、『そこをえぐって来たか』みたいな話が出来るわけですよ」
おおち「ふんふん」
大谷「話が広がっていくんですよ、ところが知らなくて想像できないやつの場合、理由が主になるんですよね」
おおち「うん」
大谷「ところが、この理由を流すテレビ局は今無いんです、間違いなく」
おおち「うん」

糸井重里の活動に見るテレビとネットの世界

大谷「分かります?糸井重里さんだけだと思います、出来てるの」
(会場爆笑)
おおち「(気が付いて納得したように)おぉ、おぉ」
大谷「糸井さんは、例えば『B級グルメの中で牛丼だけはダメだ、なぜならナニナニナニ』ってしゃべれると思うんですよ、ところが糸井さんって10年前はめちゃめちゃテレビに出ていたけど、今全然出ないでしょ?」
おおち「うん」
大谷「ネットなんですよ!ネットだけはその説明聞いてくれるんです、ブログとかで、ところがテレビは絶対そんなの許さないですよ!テレビはB級グルメに詳しいと言ったらB級グルメの情報だけ、『牛丼だったらあそこがいいですよ、なぜならナントカだから』、もう秒数で言ったら5秒ぐらいで結果出さないといけないんです、理由を長くしゃべっても全部カットされるんです」

若い人ほど個性を出さなきゃいけないと思い込んでいる

大谷「で、そのね、面白くないやつ、それタクシーで話になったんです、その誰と付き合うかって話」
おおち「はい」
大谷「タクシー降りた瞬間に、その話がしこたま終わった後に、『そういえばロンドンハーツさんの番組で、そういうのでやって芸人が選ぶのでやって、1位は永作博美さんでしたね』って言った、なんでそれ先に言わねえの!って思ったんですよ」
おおち「あぁ〜」
大谷「そうでしょ?みんなで言う前に、『情報としましては・・・』って言って、言ってから『あ〜、なるほどな〜、でも俺は・・・』とかいう感じの入り方でしょ?」
おおち「そうね」
大谷「話の面白くないやつは、最後にそういう余計なプライドを見せるんですよ、僕は知ってましたけど〜とか、僕はあえて牛丼は嫌いなんですよ〜とか、そういうプライド、ちっちゃな、ちっちゃ〜いプライド、ちっちゃい個性を、ものすごいぶつけてくるんですよ」
おおち「なるほどね」
大谷「つまりちっちゃい個性が、今ほんとに求められてないんですよ、だけど多分、ネットの中では、倍そっちが有ったほうがいいじゃないかなって、僕は最近思いますね」
おおち「ほぉ〜」
(会場から拍手)
大谷「いや〜、こんな気持ちいい番組ないですね、でもこれちょっとあると思いません?」
おおち「分かる、分かる」
大谷「すっごい多いんですよ、で、若い人に限ってすっごい多いんですよ」
おおち「出すよね、それ」
大谷「ともかく個性を出さなきゃいけないっていう、でもそんなにこっちは求めてないんです、どっちかって言うと『え、牛丼は?』って聞いた俺が、話を広げようとしてるんです」
おおち「うん」
大谷「それを拒絶されてるから、『いや〜無いっすわ』って言った瞬間に話が広がっていかないんです、お前は本当にそうかもしれないけど、本当は多分乗っかっていかないといけないんでしょうね」
おおち「アニメの話してても、ちょっとよく分かんないアニメとか出されてもね」
大谷「そう!分かるんですよ、お前の個性とか世界観は分かるんだけど、話を広げるってそういうことじゃないと」
おおち「なるほどな〜」
大谷「それ、すっごい最近思いますね、良いか悪いか別にしてね」

糸井重里を例に出してのテレビとネットの比較は、私はなるほどなーって素直に思っちゃいました。あとネットだけじゃなくラジオもそういう側面があるのかも。テレビがそうであればあるほど、ネット、ラジオ、書籍、舞台等の価値は高まっていくんじゃないでしょうか?どうだろ?^^;

インターネット的 (PHP新書)

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