笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

爆笑問題が漫才なのはウッチャンナンチャンの影響

今ではほぼお目にかかれないウッチャンナンチャンと爆笑問題が共演した番組があります。

その番組は、日本テレビの深夜にやっていた「いろもん」。ゲストにお笑い芸人を呼んでトークをするものでしたが、ここに爆笑問題がゲストで出演。オープニングトークで、長野オリンピックの話が出ていたので、放送は1998年ということになりますね。

爆笑問題が最初に知り合った芸能人がウンナン

1998年3月4日放送「いろもん」(日本テレビ)

司会はウッチャンナンチャン(内村光良・南原清隆)、笑福亭鶴瓶。
ゲストは爆笑問題(太田光・田中裕二)。

デビューの頃から知っているウンナンを前に照れる太田さん。

太田「今日は照れくさいですよね」
鶴瓶「何で照れくさい?」
太田「ウッチャンナンチャンは、もう僕ら、最初のときに見られているから」
鶴瓶「あ、そう」
太田「一番デビューのときに」
田中「そうです、僕ら最初に知り合ったというか、まあ知り合いになった芸能人がウッチャンナンチャン
太田「ウッチャンナンチャンですから」
鶴瓶「えー、あ、そう」
南原「ラ・ママでね」
田中「ラ・ママで」
太田「南原さんのオシリとかふいてたんですよ」
(スタジオ笑)

そして、デビューした当時は漫才ではなくコントをしていたと言います。

デビュー当時の爆笑問題はコントをやっていた

鶴瓶「大体、ほな、やっぱ意識するでしょ?なんか爆笑がだんだん出てきたな、っていうのは嬉しいというか、同期で」
南原「そうですね、だから僕ら爆笑とずっと一緒でした、まあ大体一緒なんです、デビューしたのが2年ぐらい前ぐらいで」
太田「いや、もっとですよね」
田中「え、だって、18、19(歳)で一応もうデビュー?」
内村「いや20歳」
田中「20歳でデビューですか」
内村「うん」
太田「じゃあサバ読んでたんだ」
(スタジオ笑)
田中「サバ読んでないよ、別に」
鶴瓶「なんのためにサバ読むねん」
田中「3年ぐらい……僕らね、大学を中退して何年か経ってからデビューしたんですよ」
内村「そうだよね、うちらが23ぐらいのときに」
田中「そうですね」
太田「そうだと思う」
鶴瓶「大学中退してブラブラしてたわけ?この2人は」
田中「ええ、あの~ブラブラしてましたよ、ほんとに、街を歩いたりだとか」
鶴瓶「大学中退して街歩いて、それで仕事、ご飯食べられへんやんか、どないしたん?」
田中「2人とも自宅だったんですよ」
太田「なんにもやってなかったです」
鶴瓶「なんにもしない?」
太田「ええ、だからテレビ見てました、ウッチャンナンチャンとかほんとに、『あっ、ウッチャンナンチャンだ』ってね」
田中「そうそう」
太田「ラ・ママっていうライブハウスに最初出たんですけど
南原「僕ら覚えてますよ、最初ね、コントやってたんですよ
田中「そうです、そうです」
南原「え~と、なんだっけ?机を挟んで……設定はなんだっけ?」
太田「進路指導と生徒」
内村「あ~」

ラ・ママ時代の思い出

南原「1年ぐらいコントやってたよね?」
田中「やってましたね」
太田「ちょうどそのラ・ママっていうところで、ウッチャンナンチャンがトリだったんです、で、ものすごい人気で」
鶴瓶「うん」
太田「僕らは、そこに初めてオーディションに行って、全然ダメだったんですよ、お客が手を挙げるんですよ」
田中「つまんないと」
南原「あれ?でも手挙げられなかったんじゃないの?」
太田「1回目だけ」
南原「そうでしょ、俺覚えているわ、あの手を挙げるコーナーがあるんですよ、今でもやってるんですけどね、つまんないと5人以上手を挙げたらネタはストップと」
鶴瓶「で、挙がった?」
太田「最初は大丈夫だったんですよ、バカウケだったんですけど、2回目3回目がもう全然だめで、3回目なんか僕が出ないうちに手挙がったんですよ」
(スタジオ笑)
田中「コントで、僕が最初に……」
内村「一人で出て行って」
田中「ニュースキャスターでずっと……」
南原「じゃあ、田中くんがつまんないって帰されたんだ」
(スタジオ笑)
太田「出てった途端に5人手挙がった、ダメだと」
南原「つらいな~」
田中「こいつメイクまでして、ずっと袖(そで)で待ってたんですけど」
太田「出れなかったんです」
鶴瓶「え、そのまま出れないで終わったん?」
太田「出れないで終わった」
鶴瓶「ショックやったやろ、それ」
田中「もう辞めようと思いましたよ」
太田「それで『もう解散だ』って言うんですよ、お前のせいなのになんで解散なんだ」
(スタジオ笑)
南原「え?それはそんとき、リーダーはどっちだったの?」
太田「リーダーはこいつなんですよ」
南原「今でも?」
太田「今でも」
南原「俺初めて知った」
太田「こいつをリーダーだって決めたのは僕なんですけど」
(スタジオ笑)

ウンナンと爆笑問題が最初に会話を交わしたのは「笑いの殿堂」

田中「最初に交わした会話とか覚えてますよ」
南原「何?」
田中「南原さんとだったんですけど、あのね、そのあと『笑いの殿堂』ってね」
内村「うん」
田中「一緒にやってた深夜番組があったんですよ、そのリハーサル室に最初こう集まったときに」
南原「フジテレビのね」
田中「あのウッチャンナンチャン入ってきたんですよ、『あっ、ウッチャンナンチャンだ……』って、で、ほいで僕の隣にたまたま南原さんが座って」
内村「うん」
田中「座るなり『火、貸してくれる?』って、そんときに、『あっ、ナンチャン……』」
太田「『さすが芸能人だな~』って」
田中「いやいや、別に思わないけど」
南原「どこで、なんでだよ」
鶴瓶「火ぐらい借りるわ!」
太田「ホンジャマカの石塚さんも」
南原「あとピンクの電話とか、これビデオ屋行って端っこのほうにありますよ、薄ら汚れているやつが」
田中「ホコリがかなりあると」
太田「おきゃんぴーとかも」
鶴瓶「あ、おきゃんぴーな」
太田「あと、春一番」
田中「野沢直子さんも最初から」
鶴瓶「野沢も最初か、そうか」
太田「あと今田、東野さんも最初から」
南原「一番最初……あん時じゃあ、居たの?」
太田「(驚いた顔で)えっ?」
田中「居ましたよ」
太田「『あんとき居たの?』って」
南原「最初っから居たんだ、じゃあ」
太田「そうですよ」
田中「そうですよ、ちょっと待ってよ」
(スタジオ笑)
内村「居たっちゅうの!居たじゃない」
鶴瓶「それはひどいわ、なあ」
南原「ちょっ、ちょっと待って、したらすごい出世なんですよ、そこって、『笑いの殿堂』行くまでに、割りに何年かやってた人が、じゃあそろそろやろうかっって始めたんですよ」
太田「僕らほんと始めて、数週間で目に留まったんですよ」
南原「そんとき交わして印象的だったのが、田中君が『僕、スターウォーズが大好きなんです』って
(スタジオ笑)
鶴瓶「それ、覚えてる?」
田中「ええ、ええ、ただね……」
太田「小さいでしょ、スケールの大きい世界にすごい憧れが」
内村「なるほどね」
太田「ええ」
南原「『ああ、そうなんだ~』ってやってたら、終わって打ち上げがあるんですよ、それでみんな飲んでて、したら田中君それ覚えてたんでしょうね、隣に来てずっと『スターウォーズ』の話ばっかするんですよ」
(スタジオ笑)
南原「『なんでワンがいいかって言うとね』」
内村「あはははっ」
田中「でも南原さんも酔っ払って、そうすると必ず四国の子供のときの獅子舞の踊りを、ずーっと!
(南原笑いながら崩れ落ちる)

爆笑問題がコントから漫才に変えた理由

南原「いつから漫才に変えたの?」
田中「1年ぐらいずっとコントやってたんですけど、まあ太田がネタ作るんですけど、コントって設定から入るじゃないですか?」
南原「うん」
田中「医者と患者とか、警察官と泥棒みたいに、そういうのがもう無くなって……」
太田「やり尽くしちゃったんです」
南原「いろんな設定が」
太田「で、当時、それこそウンナンさんがショートコントをやって流行らせたじゃないですか、ショートコント
南原「あ~」
太田「そうしたら他がみんなショートコントになったんですよ、みんなウンナンみたいになっちゃったんですよ
鶴瓶「ほぉ」
太田「それが嫌で、僕は絶対ショートコントはやんない、じゃあ何やるかっていうと、漫才にしたんです
南原「珍しかったですよ、その当時はね」
内村「俺ら漫才が出来ない」
鶴瓶「漫才はでけへんの?ふたりは?」
南原「う~ん……」
田中「1回やったじゃないですか」
内村「いや……あれ、途中からコントになったし、うん」
南原「漫才はやっぱ時間掛かりますよ」
内村「すっごい難しい」
南原「2人のその……なんだろうな?ルールを作るまで、しゃべりのルールを作るまでが時間掛かるな~って」
内村「で、どっちがツッコミなのかでまず迷ってるから」
田中「あ、そうですよね、ウッチャンナンチャンの場合は難しいかもしれませんね、それがね」
太田「でもそれは、ショートコントが多分、僕らにとっての漫才と同じことだと思うんです」
南原「あ~」

太田がつまらないと言われるのが嫌

田中「今でもたまにあるんですけど、雑誌の取材があるっていって」
内村「うん」
田中「例えば事務所でやるじゃないですか、で、『おはようございます』って2人で入っていくと、もう待ってらっしゃるんですね、向こうの雑誌の方がね」
鶴瓶「うんうん」
田中「で、2人で行くと、『あっ、田中さんは今日は……』って言われるんですよ」
南原「あははははっ」
田中「『はい?』って言うと、『今日は太田さんのみの取材なんで……』とかっていうときが、たまにあるんですよ」
南原「うん」
田中「そうすると、すっごい気になりますよね、なんの取材なんだろうかって」
鶴瓶「……あっ、気になるだけ?」
(スタジオ爆笑)
鶴瓶「気になる?それでええんや、『何を言ってるんだよ!』と、『爆笑問題は2人だよ!」と」
内村「『ふざけんな!』と」
鶴瓶「『ふざけるな』と」
南原「しかも、たまにすごく気になる」
田中「『こいつがダメだとか、つまんない』とかって言われることのほうが嫌ですね、自分がつまんないって言われるより
(スタジオから感嘆の声)
太田「(照れながら)泣かすな~」

この番組を見て感じたのは、やっぱり爆笑問題は田中さんあっての太田さんなんじゃないかなってことですね。あと、爆笑問題が漫才なのはウッチャンナンチャンの影響が少なからずあったことを知り、とても興味深かったです。

ヒレハレ草 (幻冬舎文庫)

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