笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

ダイノジ大谷を変えたタカ(タカアンドトシ)の言葉

「人との出会い」について考えることがたまにあります。

そしてそうなったときは、ダイノジが紹介していた本の話を思い出すんです。

ダイノジが推薦する『人生は勉強より「世渡り力」だ!』

2009年1月配信「よしもとオンライン」(GYAO!)

出演者はダイノジ(大地洋輔・大谷ノブ彦)。

番組の後半、お互いの社交性について話題が及んだとき、

大地(以下、おおち)「大谷さんのほうが本当は、なんか陰にこもってるイメージあるけど、全然アウトドアな」
大谷「去年あたりから、どこでも顔を出すようにしていますからね、はい、パーティ野郎ですよ」
おおち「ねえ」
大谷「で、ここでお話なんですけど、なぜそういう風になったかは、この本に全部詰まってますので、是非とも」
(本を掲げる大谷)
大谷「コレ、今一番僕が読んでて面白い、『人生は勉強より「世渡り力」だ!』っていう、ふふっ、タイトルはちょっとどうかな?って思うんですけど、岡野雅行さんというですね、世界最高峰の金型を作る、要するに技術者ですね」
おおち「はいはい」
大谷「で、元々でっかいサイズの本も出してたんですけど、それは帯はビートたけしさんが、『今の時代、絶対この人の言葉を聞いとけ』っていう人なんです」
おおち「ほぉほぉ」
大谷「でコレ(文庫サイズ)は、村上龍さんが書いてるんですけど、テニスボーイね、元祖テニスボーイ」
おおち「テニスボーイ、ははははっ」

テニスボーイがツボに入る大地さん。

なぜ、この本がオススメなのか?

大谷「これは芸人だけじゃなく、俺は芸人は特にそうだと思うんですよ」
おおち「うんうん」
大谷「あの、俺がなんでこんなにおしゃべりで、押し付けがましくしゃべるかって、実はこの場を借りてトレーニングしてるんですよね」
おおち「うん」
大谷「ずっとそれが出来なかったから」
おおち「はいはい」
大谷「面白いヤツってのは様子を伺って、じっと見て、なんか興味ないですよってところで、ボソッとしゃべるヤツが」
おおち「その一言が面白いという」
大谷「絶対そうじゃないんですよね」
おおち「うん」
大谷「そういうヤツって本当に一握りの天才だし、そういう天才の人だって、裏ではものすごく行動的にいろんな人と会ったりだとか」
おおち「うんうん」
大谷「コレ(『人生は勉強より「世渡り力」だ!』)ってのはやっぱ、人と会うことで得る情報が一番大事だ、会ってまず入っていく事が大事だと」
おおち「(深く感心しながら)ほお」
大谷「で、義理とか人情とか、そういうことが大事だと、まあ当たり前のこと書いてんだけど、それをものすごい漫談として、すごい面白い状態で書いてるわけ」
おおち「へぇ~」
大谷「仕事とか学校とかでも、ちょっとこれから夢とか持っている人に、すごいオススメしたい」

昔の自分たちは殻に閉じこもっていて勘違いしていたと語るダイノジ。

でも、それを変えてくれたのがタカアンドトシのタカだったそうです。

人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書インテリジェンス)

人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書インテリジェンス)

バカ騒ぎできるヤツが一番偉い

大谷「俺も……要するにそれが出来なかったのね、で、大地さんも実は出来ないじゃないですか」
おおち「そう、俺ら2人ともそうなんだよね」
大谷「でも本当はやっぱいけないなと思って、一昨年ぐらいから、顔を出す、面倒くさくても、で、それはなんでかって言うと、当時タカアンドトシのタカがね、言ってくれたんですよ、それを」
おおち「うん」
大谷「俺がね、なんかこの……(ペナルティ)ヒデさんの結婚式のパーティーがあって」
おおち「はいはい」
大谷「俺、ヒデさんとそんなめちゃくちゃ遊んだことないけど、招待状が来たんすよ」
おおち「うん」
大谷「だから俺、こういう面倒くさい性格だから、悩んじゃったんですよね、俺なんかが行っていいのかな……」
おおち「祝福出来んのかなってね」
大谷「したら、そのときに、タカが『行ってくださいよ』と、後輩のタカが言ったんですよ、それは『普段そういうトコに行かない人が来て、喜び、祝福してやることが、一番人を喜ばせることなんですよ』みたいな、要するに顔を出しただけで、おめでとうと言うだけで、そして、そこで騒いでやることで、それが何よりも一番相手が喜ぶことだと」
おおち「うん」
大谷「今までの俺は、敢えて行って、その人との関係性を考えて、影で面白い一言、みんなが言わないような一言言ったら、格好いいんじゃねえかと思っていたけど、違うんだ、ああいうとこでバカ騒ぎするヤツが一番偉いんだ」

大谷さんの鼻の調子が悪くて一旦退室すると、代わりに大地さんが大いに語り出す、という意外な展開に突入していきます。

たかがお前のことなんて世の中誰も見ちゃいない

大谷「それで、ヒデさんのときに、もう後ろに昔の(銀座)7丁目劇場の人達がいっぱい居たんだけど、それがやっぱ……ちょっと鼻かんでいいですか?」
おおち「ははははっ」
大谷「ちょっと大地(おおち)さん、しゃべってて」
(大谷退出)
おおち「いやでも確かにそうよ、前、誰かの結婚パーティーのときも、大谷さんが来てスッゲー騒いでたの、そんときに、ある芸人さんは騒いでる俺達をこういう(片肘をついて一歩下がってる)感じで見てたのかな……なんかそれが腹立って、後輩なんだけど、後で『なんでお前、ああいうとき騒がねえの?』って、そこで騒いでこそ主役が喜ぶのに、大体、誰もお前がこんなの(片肘姿勢)やってるの見てねえよ、1人こうやってるだけで……なんか満足してんのお前だけだから
(大谷戻る)
大谷「そう、お前なんかね、誰も見てないんだよ」
おおち「誰も見てねえ!」
大谷「お前が格好つけてね、後ろでこうやってる(片肘ついてる)ことなんかね、誰もなんとも思ってない」
おおち「誰も思ってねえ」
大谷「これはね、昔の俺達に言いたかったよ」
おおち「そう、本当そう」

この話に関連して、ナイナイの矢部さんから言われた言葉について。

ナインティナイン矢部の一言で楽になれたダイノジ

大谷「俺、1回、TBSの番組でさ」
おおち「あれな」
大谷「どうやって出ていいか分かんないでさ、無理から出たんだよな」
おおち「うん」
大谷「これでウケなくて、『ウケなくてすみません』って、そんとき司会のナインティナインの矢部さんに言ったんだよ」
おおち「はい」
大谷「矢部さんが一言言ってくれたんです、『誰もお前らのことなんか見てへんで』って
おおち「うん」
大谷「でもそれが、スッゲーそんとき、ありがたかったんですよね、『あっ、そうなんだ』と、俺は今まで、みんな俺を見てる」
おおち「そう」
大谷「違うんですよ」
おおち「だから絶対スベっちゃダメだとかね」
大谷「もうね、そういうヤツがね、世の中で一番つまんないですよね」
おおち「うん」
大谷「ってときに、これは今まで俺は行かなかったけど、全部行こう!と、例えばフェスの打ち上げとかも、呼ばれてないのに俺達2人で行って」
おおち「うん」
大谷「一番前でね、社長を『よっ!社長!』」
おおち「『よっ!社長!』、でもそれが出来るようになったのはすごいよ」

人と会う積極性だけでなく、人に可愛がられるようにもなれと。

可愛がられる人間になれ

大谷「俺達は可愛がられない理由があるんですよ、要はコレ(『人生は勉強より「世渡り力」だ!』)にもそれが書いてあるんですけど、人に可愛がられるようになれよと」
おおち「うん」
大谷「その中に入っていって、ぶつかって、例えば、厳しい人から『二度と来んじゃねえ!』と言われるかもしれない、でも関係性をちゃんと築いていけば、『二度と来んじゃねえ!』と言われても次の日、『また来たのかお前、しつこいな、今日面白い話があるんだよ』という風になるのが人間だってことを、岡野さんは言ってるんですよ」
おおち「うん」
大谷「って言ったときに、俺はやっぱりその……20代のときにそれが本当に出来ない、欠けてた人間で、30になっても出来なくて、良くなかったな~と思うよね」

私自身も人との出会いには積極的でないからでしょうか、この話は本当にしっくりきちゃったわけです。

あと、COMPLEX「RAMBLING MAN」が人生ベスト10に入るぐらい好きな曲なんですが、それも思い出しちゃって。この話聞いて。「誰も見ちゃいない」ってことは、「やりたいようにやれる」ってことですもんね。

ビートたけしの「人生に期待するな」のように人生のハードルを下げてくれる言葉のほうが、私の心に突き刺さり、とどまり続け、そして、前を向けるんです。