笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

負け顔を見せることの大切さを「しくじり先生」から学んだ

「人から信頼されたいなら負け顔を見せなさい」。

これはバラエティ番組「しくじり先生」から学んだ教訓です。もしかしたら最も感銘を受けた教訓かもしれません。なぜならファッションデザイナーのドン小西、実業家の堀江貴文、メンタリストのDaiGo、この番組に登場した講師3人が揃って同じ内容を語っていたからです。

まずはドン小西さん。

上に立つ人間は負け顔を見せる度量が必要

2017年1月23日放送「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日)

担任はオードリー若林。
生徒は平成ノブシコブシ吉村・内山信二・他。
講師はドン小西(ファッションデザイナー)。

ドン小西さんが立ち上げたファッションブランド「FICCE(フィッチェ)」。特徴はド派手なデザイン。ビートたけしさんが一時期よく着ていたカラフルなセーター、と言えば想像がしやすいでしょうか。たけしさん以外にも多くの有名人が愛用したことで人気に火が付き、ドン小西さんのブランドは急成長を遂げます。気がつけば資産は60億円になっていました。

ところが、このまま順風満帆かと思いきや逆風が吹き始めます。バブルが崩壊し、ユニクロの登場によって「シンプルファッションブーム」が到来したのです。「FICCE」とは真逆の価値観です。

このとき横暴なワンマン社長だったドン小西さんは、社員から路線変更を相談されても一切聞く耳を持ちませんでした。自分のセンスを信じて疑わずにド派手な服を作り続けた結果、負債は15億円まで膨らみ、全ブランドショップを閉店せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。

そして、優秀な社員たちは次々と去っていきました。

ドン小西「横暴にしていたしっぺ返しが来たんでしょうね、当時、経験を経て僕が学んだ教訓ですが、人の上に立つ人間というのは、こういう要素が必要だったんだと思います」

生徒たちに教科書のページをめくるよう促します。

ドン小西「この人に『ついていこう』ではなく、この人を『支えよう』と思える人間かどうか
(深くうなずく生徒たち)
ドン小西「自分の強いところばかり見せて、(社員に)ついて来いと思うのではなく、弱い部分もさらけ出して、負け顔も見せて、そして、『支えてあげたい』と思われるだけの……度量が必要なんですね」

続いて実業家の堀江貴文さん。

ずっと活躍している人は適度に負け顔を見せている

2015年4月20日放送「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日)

担任はオードリー若林。
生徒は平成ノブシコブシ吉村・ハライチ澤部・他。
講師は堀江貴文(実業家)。

大学在学中に起業した堀江さんは、2002年にライブドアを買収してIT長者になります。

2004年に大阪近鉄バファローズの買収を目指しますが、多くの関係者から反対されて失敗に終わります。そのあとすぐに「買えぬなら作ってしまえ」とばかりに新球団を東北に作ろうと粉骨砕身したのですが、最終的に参入が認められたのは楽天でした。

2005年、今度はニッポン放送に買収を仕掛けます。しかしこちらも激しい反発を招いてしまい、上手くいきませんでした。この買収騒動のあと衆議院選挙に出馬するも、亀井静香に敗れて落選。

そして2006年1月、証券取引法違反の容疑で逮捕されてしまいます。時代の寵児ともてはやされてから2年後に逮捕という、ジェットコースターのような人生を過ごしてきた堀江さんは、獄中で何を思ったのでしょうか。

堀江「長い獄中生活のなかですね、人から支持されるために、僕なりの理論を見出しました、次のページをご覧ください」
(ページをめくる生徒たち)
堀江「え~、『Me We Now理論』」

オバマ大統領が選挙の演説で使った戦略で、まず自分の話をして距離を縮める(Me)、次にあなたと私の共通点を見出して連帯感を作る(We)、そして最後に自分のやりたいことを説明する(Now)、この順序で人と話すことを提唱している理論なのだそうです。

堀江「つまり、『あなたこうしたほうがいいですよ』って僕に突然言われたとして、『え、なんで?』『なんで押しつけるの?』って思う人も多いわけです」
若林「はい」
堀江「あるいは、『いや、堀江さんと僕は違うから……』っていう話になっちゃうわけです、『あなたは特別な人でしょ?』って言った瞬間に、言葉は伝わらなくなるんです」
(うなずく生徒たち)
堀江「あらかじめ自分から、自分の弱いところを、まずさらけ出す、例えば『私も田舎出身で、苦労して大学に入って……』という話をしなきゃいけなかったんです、してないから、いきなり球団買収でバーンッと出てきて」
若林「あ~」
堀江「どう思われてるかっていうと、『上場して巨万の富を得た、いけ好かないIT社長で、ネクタイもしねえしロン毛だし、何なんだアイツは?』と、自分とは全然違う人間だし、いけ好かないムカつくヤツって思われてたんです」

しくじりの原因は「Me We Now理論」が実行できてなかったこと。そう分析する堀江さん。

堀江「そんなしくじった僕から、新しいことをやろうとしてる人に、伝えたいこと(まとめの一句)があります、え~、『話すとき まずは負け顔 見せなさい』」
(まとめの一句を復唱する生徒たち)
堀江「だから、ずっと活躍してる人っていうのは、適度に負け顔を見せてますよね」
澤部「あ~」
吉村「なるほど!」
若林「それはあるなぁ」

ひざを叩く芸人たちの姿が印象的でした。

最後はメンタリストのDaiGoさん。

しくじり先生 俺みたいになるな! ! DVD特別版 <教科書付> 第7巻(2枚組)

しくじり先生 俺みたいになるな! ! DVD特別版 <教科書付> 第7巻(2枚組)

弱さを見せると人が近づいてきてくれる

2015年4月20日放送「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日)

担任はオードリー若林。
生徒は平成ノブシコブシ吉村・ハライチ澤部・伊集院光・他。
講師はDaiGo(メンタリスト)。

メンタリストとは、科学や心理学を駆使して人の心を操るスペシャリストだと解説するDaiGoさん。超能力ではないので、パフォーマンスをする際には「100パーセント成功するとは限らない」と前置きしているのですが、テレビは絶対に失敗を許してくれません。

だから忙しくなればなるほど「失敗できないプレッシャー」が増していきます。

DaiGo「その状態が続いた結果、僕はこう思うようになったんです、それが次のページです」
(ページをめくる生徒たち)
DaiGo「『今の自分は本当の自分じゃない』、という風に思うようになったんですね、それは自分のメンタルが弱いから辛くなってるんではなくて、ここは自分の居場所じゃない」
吉村「あ~」
DaiGo「っていう風に思うようになったんですね、自分を正当化するために、そしてその結果、もっと他にやりたいことがあるんじゃないかと思うようになって、引退しようかな……という考えに続いていったんですね」
(納得する生徒たち)
DaiGo「だからちょっとズレてるんです、僕の考え方が」

ここで若林さんが質問します。

若林「でも、めっちゃ忙しくて、プレッシャー毎日のなかで、弱い自分を認めてたら、そのまま仕事できました?」
DaiGo「弱い自分を認めているとどうなるかというと、例えば、自分の弱さを見せれる人と見せれない人がいますよね」
若林「はい」
DaiGo「弱さを見せない人はね、弱いんです、めちゃくちゃ
若林「は~、じゃあ一見強そうに見える人が、もしかしたら弱いかもしれない」
DaiGo「そうですね、なぜかというと、弱さを見せると人が近づいてきてくれるんです、人間味が出ますから」
若林「あ~」
DaiGo「そうすると、自分の弱さがどうしようもなく大きくなったときに、誰かが近くに寄り添ってくれるんです、助けてくれるんです、見せているからそれは」
(うなずく生徒たち)
DaiGo「でも弱さを見せない人っていうのは、自分の弱さがどうしようもなく膨らんだときに、誰も寄ってきてくれないんです、だからそのままつぶれちゃうんです」

そもそも「しくじり先生」に出て授業をすること、それ自体が、「負け顔を見せること」になっているのではないでしょうか。