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笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

サトミツこと佐藤満春は多彩な才能をもった芸人

有吉「サトミツ、若林の友達のサトミツじゃないか」。

有吉弘行が佐藤満春(どきどきキャンプ)のことを「サトミツ」と呼んでいる場面に遭遇すると、私は心躍ります。ある芸人が出川哲朗を真似て、内村光良に向かって「チェン」と呼んだときに感じる喜びに近いかもしれません。
「サトミツ」というあだ名は、「オードリーのオールナイトニッポン」でしか通用しない呼び方です。佐藤満春との付き合いが長いオードリーだけが使っているので、そう言い切っていいでしょう。つまり出川哲朗にとっての「チェン」が、オードリーの「サトミツ」なのです。

どきどきキャンプ佐藤満春はトイレ好き芸人

2014年11月19日放送の「マツコ&有吉の怒り新党」。

レギュラーは有吉弘行、マツコ・デラックス、夏目三久(アシスタント)。

番組が始まると、白衣を着た黒ぶちメガネの男がしゃがんでいる映像が飛び込んできました。その男は、目の前にある白くて真新しいトイレを青い布巾を使って磨いています。説明はありません。後ろに立っている有吉さんとマツコさんも黙ったままです。スタジオには「シャカシャカッ」とトイレをこする音だけが響いています。
すると、有吉さんが「俺らがやらせてるみたい」と言って沈黙を破ります。笑いに包まれるスタジオ。ここでようやく夏目さんの説明が始まりました。

夏目「本日11月19日は『世界トイレの日』ということで、この方にお越しいただきました、日本トイレ協会会員でもあり、トイレクリーンマイスターの資格をお持ち、どきどきキャンプ佐藤さんです」
有吉「サトミツじゃないか、おい」
(スタジオ笑)

不意をつかれた佐藤さんは思わず笑ってしまい、トイレを磨く手が止まります。

有吉「若林の友達ですよ、若林の友達のサトミツですよ
佐藤「(立ち上がって)ちょっ、ちょっと待ってください」
夏目「サトミツさん……」
マツコ「(有吉のほうを向いて)そういう呼び方になってるの?」
有吉「そうそうそう」
佐藤「そういう呼び方をするのは若林君と有吉さんだけなんですよ
(スタジオ笑)
マツコ「そうなの?」
佐藤「(照れながら)やめて下さい、びっくりしますんで」
有吉「おお、そうだ、トイレ詳しいんだよ、コイツ」
佐藤「僕、トイレがすごい好きで、今やですね、毎週土曜深夜3時半からラジオ日本で、『佐藤満春in休憩室』というトイレの話だけするラジオ番組をやっておりまして」
(スタジオ笑)
有吉「すごいなぁ」
マツコ「ええっ!?」

「トイレのラジオ」に食いつくマツコさん。

佐藤「皆さん、ぜひゲストに来ていただきたい、もう2周年経ちまして、100回を超えまして」
(驚くレギュラー陣)
マツコ「わ~! 長寿番組!」
有吉「すごいね~」
佐藤「30分、僕ひとりがトイレの話を……」
マツコ「30分トイレの話してるの!?」
佐藤「毎週やっております」
有吉「すげ~な~、お前ただの若林の友達じゃねえな」
(スタジオ笑)

ここで佐藤さんは最新トイレを紹介します。全自動おそうじ機能を備えたパナソニック「新型アラウーノ」と、スマートフォンと連動するLIXIL「サティスGタイプ」の2種類が登場。夏目さんは、全自動おそうじ機能に興味津々でした。

有吉「これ、でも、(トイレは)通常サイズですか? マツコさん」
マツコ「残念ながら、大変なのよ、だから」
佐藤「よければラジオにメールもらえればお答えします」
(スタジオ笑)
マツコ「ホントに!? そんなのも答えてくれるの?」
佐藤「掃除も行きますし、いつでも」
マツコ「あらホント? 行くわ、じゃあ今度ラジオに」

果たしてマツコさんがゲストにやってくる日は来るのでしょうか。
最新トイレ事情よりも「トイレのラジオ」の話が多かった佐藤さん。でもこれは爪痕を残してやろうといった野心からではなくて、ある人物との再会が大きく影響していたのです。その話を、まさに「トイレのラジオ」でしていました。

「マツコ&有吉の怒り新党」のプロデューサーは恩人

2015年1月3日放送の「佐藤満春in休憩室」。

パーソナリティは、どきどきキャンプ佐藤満春。
2015年最初の放送らしく、オープニングで今年のトイレ界の展望について語ります。そして、タイトルコールを挟んで「マツコ&有吉の怒り新党」に出たときの話に。

佐藤「冒頭の番組のコーナーでね、呼んでもらったんだけど、まあ有吉さんと言えば、結構あの~、僕のことを若林君の友達として認識してくれてて、いろんな番組で『サトミツが……』つって、ふふっ、僕のことを呼んでくれてる」

この番組の出演が決まってから、ある人物との再会を心待ちにしていたと明かします。

佐藤「あの番組(怒り新党)のプロデューサーの方が、実は、俺らどきどきキャンプのことを最初にテレビに出してくれた人なんですよ、『虎の門』っていう番組と、あと『(関根&優香の)笑う夏休み』っていう特番を、同じスタッフさんがやってたんだけど、俺らが一番最初にテレビでネタをやったのが『笑う夏休み』って番組なんだけど、当時、今の事務所に入る前に、もう本当インディーズだった頃に、テレビ朝日の藤井(智久)さんっていう人のチーム、その藤井さんの部下である人が、ライブかなんかで俺らのことを見つけてくれて」

それから連絡をもらって、「笑う夏休み」のオーディションに行って藤井さんの前でネタをやったら、まさかの合格。事務所にも所属していない、テレビにも出たことない無名の芸人なのに。その後、ケイダッシュという事務所(オードリーも所属)に入ってからも、「虎の門」のネタコーナーに呼んでくれたりして世話になった。
だから、どきどきキャンプにとって藤井さんは恩人なのです。その恩人と約7年ぶりに再会します。

カンペで「トイレのラジオの話をしろ」と指示

佐藤「藤井さんに『ご無沙汰です』みたいな話して、で、まあ最初は『お前なにやってんだ?』みたいな話から入ったんだけどさ、『やっぱり……今ね、なかなかネタも厳しい時代だけどねぇ、うん、しっかり、なんかアレだよな』とか言って、『お前も、しっかりトイレもやりつつネタもやって、まあ続けていくこと大事だよな』みたいな話をしてさ」

近況を報告したあとに今回のコーナーの打ち合わせへ。

佐藤「トイレがどういう感じで好きになったかみたいな経緯を話しててさ、で、『藤井さん、僕、実はトイレのラジオやってるんですよ』つって、したらめちゃくちゃウケて、その話が、『何!? そのトイレのラジオって』」

「トイレのラジオ」に食いついた藤井さんに、番組内容を説明していく佐藤さん。そんな会話を交わした2時間後、いざ収録開始。

佐藤「有吉さんとかマツコさんが、まあ上手に俺のことを広げてくれて、トークとかイジってくれて、リアクションしてくれてすごい盛り上がったんだけど、で、いろいろ話してたらさ、その藤井さんが正面で見ててカンペを出してんのよ、『ラジオの話』つって
(スタジオ笑)
佐藤「『えっ! ラジオの話していいの?』と思って」

台本に書いてなかったため、最初戸惑ったそうです。

佐藤「まあ有吉さんとマツコさんの番組だしさ、変にこうエンジンかかりすぎて訳分かんないこと言っちゃうのが怖いから、基本的に言うことだけちゃんと決めて収録に行ってんだけど、もうその人がどんどんどんどん、さっき俺がした話でよかった話を、誘導してくれてね、カンペで、で、ラジオの話なんかもさせてもらっちゃってさぁ……またなんか助けられたというかね、恩人に」

佐藤満春は「トイレ好き芸人」ってだけでなく、放送作家の顔も持っています。担当した番組「たりないふたり」シリーズで一緒だった山里亮太が、作家としての佐藤満春について語ったことがあるので、最後にこちらを紹介させて下さい。

自分につけたい作家を聞かれて佐藤満春と答える山里亮太

2014年11月29日配信の「山里亮太が語るNSC・YCC全国説明会in東京特別講義」。

講師は山里亮太。
この日、吉本興業が運営する各種スクールの入学説明会が全国で開かれました。そこで、なんと講師として呼ばれた山里さんが東京会場で特別授業を行い、その模様がニコニコ動画で配信されました。
出席者の質問に答える形式で授業が進んでいくなか、次のような質問が来たときです。「自分に作家をつけるとしたら、どんな作家がいいですか?」。

山里「え~、まあ本当によく笑ってくれる人がいいなぁ、よく笑ってくれるし、あの~、企画とかどんどん出してくれる人と……なんだろう? なんか、ラジオとかで面白いコーナー作ってくれる人とかやっぱ嬉しいよね」

他にないかしばし考えた結果、山里さんはある作家の名前を挙げます。

山里「あと、すんごいこっちの言っていることを汲み取って、まとめるのが早い人がいい、それね、どきどきキャンプのサトミツ君ってね、佐藤満春君、あの~、いま芸人さんと同時に作家さんもやってんだけど、この子はね、とにかく人の話を聞いてまとめるのが上手い! 僕はオードリー若林君と『たりないふたり』をやってたんだけど、そのときに、もう若林君って頭おかしいから」
(会場笑)
山里「ネタ合わせなんかも、例えば僕がある程度の基本の台本を書く、したら、もう厳しいから彼は、台本を見て『あっ、はいはい』なんて言って、『ちょっとここ直していいっすか?』つって、ずっと若林君に赤ペンを任せてたら、最終的に残ったのが『どうも、たりないふたりです』だけだったっていう」
(会場笑)
山里「それぐらいストイックな男で」

そんな若林さんを支えているのが、作家の佐藤さんだと分析します。

山里「若林君の漫才の作り方ってすごくて、あの、大体10分の漫才やるっていったら、あの子は1時間やんの、ネタ合わせで、よーいスタートで『どうも、たりないふたりです』から始めて、え~、ひたすらいろんな聞いたことない見たことないボケをずっとやり続けて、それに俺がツッコみ続ける、で、60分でオチのボケ言って終わる、で、終わるじゃない、そしたらよ……終わって一回休憩してたらもう、そこに台本ができてんのよ! なんでかっていうと、サトミツ君がもうババババッって全部書いてる、そう、そういうとき、『うわっ、いいな』って思ったりした」

もしかしたらオードリーと佐藤満春の関係性は、ウッチャンナンチャンと内村宏幸の関係性に似ているのかもしれません。もしくはダウンタウンと高須光聖。書きながらそんなことをフワフワ考えていました。

有吉さんに「サトミツ」と呼ばれて照れる姿をまたどこかで拝めるのを期待しながら、今後の活躍を追いかけていきたいです。