笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

月亭八方との初絡みで見えたウンナンの強み

お笑い第3世代がどんぴしゃな私。とりわけウッチャンナンチャンに魅了されたわけですが、その気持ちは2012年でも変わらないでしょう。

よく聞かれるのが、「とんねるず、ダウンタウンじゃなくて、なぜウッチャンナンチャンなの?」

とんねるず、ダウンタウンももちろん大好きですが、ウンナンだけがなぜ特別な存在になったのか?私もよく分からないのです。気が付いたらそうなっていた……みたいな。その理由を見つけるために、「ウンナンの強み」について考えたりもするんですが、そうすると「いろもん」での月亭八方さんの言葉が真っ先に浮かんできます。

内海桂子・好江に何回かお世話してもらった月亭八方

1997年12月24日放送「いろもん」(日本テレビ)

司会はウッチャンナンチャン(内村光良・南原清隆)、笑福亭鶴瓶。
ゲストは月亭八方。

ほとんど笑福亭鶴瓶さんが質問して、月亭八方さんが答えていく展開。

初絡みのためか、八方さんとウンナンの会話のキャッチボールはほぼ無いまま、番組終盤へ。いくらウンナンはゲストの話をちゃんと聞く姿勢とは言え、「もしかしてウンナンのことを八方さんは嫌いなのかも?」と不安になり始めたところで、鶴瓶さんが両者を結んでくれます。

鶴瓶「ウッチャンは、ほとんど(月亭八方と)会うのも初めてやろ?」
内村「ほとんど」
南原「僕はちっちゃいときに見てました」
鶴瓶「そうやろ」
南原「学生時代、ちっちゃいと言っても中学生ぐらい」
鶴瓶「お兄さんはウンナン、よう知ってまんのやろ?よう見てまんの?」
八方「僕はね、彼らの師匠にはね、大阪で何回かお世話になってる
鶴瓶「あっ、そうそうそう、(内海)桂子・好江師匠ね」
(深くおじぎをする南原が映る)
鶴瓶「まあ繋がりで、師匠ということになって、ほんで僕らも『ウンナンよろしく』とかって言われるもんね」

なんて優しいんでしょうか、鶴瓶さんは。

さりとて、落語家 (ヨシモトブックス)

さりとて、落語家 (ヨシモトブックス)

ウンナンには安心感があると語る月亭八方

そして、八方さんからウンナンについての印象を。

八方「だから、やっぱ師匠というのは……なんかそういう存在感があって、僕はもちろん彼ら(ウンナン)とは初めてやけども」
鶴瓶「うん」
八方「なんか、あの~、桂子・好江師匠のお弟子さんやな……っていうのが、どっかに安心感がある
鶴瓶「なるほど、なるほど」
八方「これ初めてやけど、彼らが、まあゴッホとミレーやったら」
(スタジオ笑)
内村「なんでですか」
南原「また、えらい例え」
鶴瓶「ゴッホとミレーがなんで、『いろもん』すんねん!」
八方「いやだから」
鶴瓶「例えほかにあるやろ!」
(スタジオ笑)
八方「例えば、ゴッホとミレーやったらもっと緊張するわけやんか」
鶴瓶「ああ、そうか、うん」

ウンナン嫌い疑惑は解消されてスッキリ。師匠という存在の大きさをかみ締める。お笑い第3世代以降、師匠と弟子という関係を持っている芸人はとても少なくなりました。

日本映画学校の生徒と講師から始まった関係でちょっと異質な部分はありますが、内海桂子・好江とウッチャンナンチャンは、師匠と弟子という関係です。それが他の芸人さんにはあまりない「ウンナンの強み」なのかもしれない。そう月亭八方さんの言葉で実感しました。