笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

ジャックナイフだったネプチューン名倉に変わるきっかけを与えた男

今年の「24時間テレビ」の深夜コーナーでのことです。パンサー向井さんが、目標とする存在としてネプチューンの名前を挙げていました。

私はウンナンと共演する後輩としてのネプチューンばかり見てきたので、もうそういう存在になっていたことに感慨深いものがありました。

パンサー向井にとってネプチューンは最上級の存在

2013年8月24日放送「24時間テレビ」(日本テレビ)

ターゲットはパンサー向井。
仕掛け人はジューシーズ児玉、ジェラードン(海野・かみちぃ)。

深夜の「朝まで生しゃべくり」でやっていた企画「芸能界名言グランプリ」。

スタジオにいる芸人のプライベートを隠し撮りし、カメラを意識していない状態で出てきた名言の中から一番を決めようというもの。パンサー向井さんもエントリーされていて、ある居酒屋の隠し撮り映像が流れます。同席した児玉さん、ジェラードンが仕掛け人として名言を引き出していきます。

海野「『しゃべくり007』のメンバー、すごかったですか?」
向井「スゲェよ、ホントに」
海野「はははっ」
向井「バケモンだよ」
児玉「(ネプチューン)名倉さんにしろ、(くりぃむしちゅー)上田さんにしろ、いずれは勝ちたい?」
向井「そりゃ、ありますよ」
児玉「あっそう」
向井「いつかはね」

さらにお酒が入ったところで、パンサーの今後の方向性について聞きます。

かみちぃ「パンサーさんとしては、なんかこう、どこを狙っていってるんですか? 3人の番組持ちたい、みたいなのは」
向井「やっぱ最上級にいるのは、ネプチューンさん」
かみちぃ「はい」
向井「MC(司会)やってるトリオって少ないから」
かみちぃ「そうですね」
向井「名倉さんが圧倒的なMC、すごいじゃないですか、芯で」
児玉「うん」
向井「でも名倉さんってイジられるじゃないですか
児玉「うんうん、そうか」
向井「顔もラクダとかって言われて、その引っ掛かりがあるから」

現在のネプチューン名倉さんは確かにその通りです。でも、若手の頃はめちゃくちゃ尖っていた人なのです。

若手時代のネプチューン名倉は笑顔を見せなかった

2008年12月27日放送「平成ニッポン20年史!」(TBS)

司会は爆笑問題(太田光・田中裕二)。
サプライズゲストはネプチューン名倉。

結成20周年を迎えた爆笑問題が、小林麻耶アナウンサーと思い出の地を巡る旅に出ます。途中で名倉さんがお祝いに駆けつけて、出会った頃の印象をお互い語る場面がありました。

田中「最初はこんな仲良くなかったんです」
小林「はい、名倉さんが初めて会ったときの爆笑問題さんの印象というのは?」
名倉「楽屋の端っこで、偉そうにタバコ吸って」
田中「偉そうにはしてない」
名倉「『誰とも口きかへんよ、俺ら』みたいな雰囲気で座ってんの、2人とも」
田中「言わしてもらうと、その一番遠いところで、同じように『誰とも口きかへんぞ』がコイツら(ネプチューン)ですよ」
名倉「ははははっ」
太田「(名倉を指差し)コイツは突っ張ってたね」
名倉「俺は本当にね、今考えると恥ずかしいぐらい突っ張ってたのよ
小林「そうなんですか?」
田中「とにかく、あの、笑顔を見たことなかったから」
太田「そう」
小林「え!? 名倉さんが?」
田中「(笑っている名倉を見て)こんな顔したことなかった」
太田「この優しい名倉が、誰にでも噛み付くような顔して、目がもう血走っちゃってて」

そんなジャックナイフな名倉さんが、今みたいに笑顔を見せるようになったきっかけは何だったのでしょう。

上を向いて歩いていこう

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B21スペシャルのヒロミとアンジャッシュの意外な縁

2013年8月27日放送「白黒アンジャッシュ」(チバテレ)

司会はアンジャッシュ(児嶋一哉・渡部建)。
ゲストはドランクドラゴン鈴木拓、東京03(豊本明長・飯塚悟志)、TKO(木本武宏・木下隆行)、古坂大魔王。
サプライズゲストはヒロミ。

アンジャッシュが今年で結成20年目を迎えました。それを祝して、彼らが歩んできた芸人人生をゆかりのあるゲストと共に振り返っていきます。お酒を飲みながら思い出話に花を咲かせていると、B21スペシャルのヒロミがサプライズで登場。驚いて腰を抜かす芸人たち。

児嶋「びっくりした~!」
渡部「いや、どうもありがとうございます! 実は、この世界に入ったなによりのきっかけがヒロミさん、児嶋が最初に弟子入りに行ったってところから」
児嶋「元々はそれで、なんです」
ヒロミ「マジで?」
児嶋「知ってるでしょ!」
古坂「へぇ~」
児嶋「それでヒロミさんは、『俺の弟子になるより自分でやったほうがいいよ』って言ってもらって、そしたらマネージャーさんに相談したら、『ウチの事務所で養成所やるからどう?』ってことで、人力舎に」

最初、B21スペシャルは人力舎所属でした。

ヒロミ「ウチの妹と同級生なんだよな?」
児嶋「そうです、そうです、小中学校同級生で」
ヒロミ「地元が一緒なのよ」
渡部「八王子の先輩」
ヒロミ「中学校から、ウチの妹と同級生だったんだよな?」
児嶋「そうです」

ヒロミさんとアンジャッシュの意外な縁が判明したあと、やっぱり「ボキャブラ天国」の話題になります。

ネプチューンの取扱説明書を作ったB21スペシャルのヒロミ

渡部「ヒロミさん見てて、ちょっとありました? この(ボキャブラ天国に出ていた芸人の)中で、コレは! とか」
ヒロミ「いや、爆笑(問題)はもう、爆笑はいろいろ、出方がいろいろあっただけで、絶対に出てくるヤツだったけど」
(うなずく芸人たち)
渡部「ネプチューン、売れると思いました?」
ヒロミ「ネプチューンは結構、俺はかわいがってたんだけど」
渡部「めちゃくちゃだったでしょ? 当時、テレビ芸で見たら全然だったじゃないですか」
ヒロミ「そう」
渡部「(古坂のほうを向いて)ねえ? めちゃくちゃだったよね」
古坂「まあね、当時(堀内)健ちゃんは、ボキャブラはほとんど最初のほうスベってましたよね」
ヒロミ「そう、そうすると、俺はすげ~名倉がかわいそうだったわけ」
古坂「あ~」
渡部「立場が一緒で」
ヒロミ「立場が一緒で、健と(原田)泰造が2人で、こうやってやってる(前に出て踊ってる)と、何にもできないからどうすんだ? みたいなのがあるから、俺がいっつも名倉を『何やってんだ! お前!』つって(頭を叩く動作)
渡部「あ~、そうか、名倉さんイジりでしたね、優しさだ~」
ヒロミ「これは名倉がいけないんです! っていうのを、名倉をイジってたわけ」
渡部「それは愛情があったんですね、当時」
ヒロミ「愛情というか……まあでも、なんか、だから番組も一緒のことが多かったし」

「ボキャブラ天国」ではタモリさんも名倉さんをイジってましたね。顔が浅丘ルリ子に似てるとか。^^;

爆笑問題の太田光「ツッコミは優しい人間じゃないとできない」

私はヒロミさんの話を改めて聞いてみて、それと似たような場面を最近テレビで見たのを思い出しました。今年の「キングオブコント」で、天竺鼠がダウンタウンと絡んでいた場面です。

川原さんがボケると、浜田さんはツッコミの瀬下さんの頭を叩いたのです。そして、「はい、僕のせいです」と瀬下さんは謝っていました。渡部さん的に言うなら、これは浜田さんの優しさではないでしょうか。先ほどの爆笑問題と名倉さんの対談のなかで、太田さんは次のように言っていました。「ツッコミっていうのは優しい人間じゃないとできないんです」と。

ジャックナイフなキャラクターをヒロミさんによって解除された名倉さんは、ツッコミに必要な優しさを手に入れました。いや、ジャックナイフという見せ掛けの鎧で隠していただけかもしれません。そんな名倉さんの変化が、ネプチューンにさらなる輝きを与え、パンサーのような若手トリオが憧れる存在にまで上り詰めたと思った次第です。