笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

マシンガンズ西堀亮とゆかいな仲間たち

「アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO」に太田プロの毒舌王がやって来る。

夏の終わりにそう告知して、有吉さんがやって来るかのようなフリをしていたアルコ&ピース。でも実際にやって来たのは、マシンガンズ西堀亮さんでした。そもそも有吉さんならば名前を伏せる必要がないので「どうダマしてくるんだろう?」と構えていましたが、ちょっぴり期待していたのも事実。

「太田プロの毒舌王」ことマシンガンズ西堀亮

2013年8月29日放送「アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO」(ニッポン放送)

パーソナリティはアルコ&ピース(平子祐希・酒井健太)。
ゲストはマシンガンズ西堀。

最初の曲で猿岩石「白い雲のように」を流して、ここでもミスリードを誘っておいて、

平子「皆さんお待たせしました、本日のゲスト、太田プロの毒舌王をご紹介しましょう、この方で~す!」
西堀「どうも~、マシンガンズ西堀で~す!」
平子「さあ、ということでスペシャルウィーク、ゲストが……」
西堀「おいおいおい、ちょっと待て」
酒井「はい?」
西堀「あのさ、状況を説明してくれよ」
(スタジオ笑)

言ってみれば西堀さんもダマされた側。

西堀「今日のフリなんだよ、フリ」
平子「いやいやいや、フリって何ですか?」
西堀「なんか、みんな有吉さん来ると思ってただろ」
酒井「え?」
平子「有吉さん?こっちはちゃんと太田プロの毒舌王って、ちゃんとね、銘打って」
酒井「はい、間違いはないですよ」
平子「勝手に思ってる人もいるんですかね、浅はかですね」
西堀「おお、そうか、じゃあお前らのせいにしていいんだな?」
平子「いやいや、僕らのせいというか、太田プロの毒舌王つったらイコールで、もう西堀さんが出てくるわけでしょ」
西堀「まあそうだけどさ……」
酒井「くふっ」
平子「勝手に早とちりしている人たちに、別になんの責任も取る必要はないですよ」
西堀「ちょっと待てよ!なんでお前たちが高圧的なんだよ」
酒井「あははははっ」
西堀「へりくだれ、ばかやろう!」
(スタジオ笑)

最初は有吉さんを期待していたリスナーの反発を恐れる西堀さんでしたが、それ以降は毒舌とツッコミが冴えまくり。キレキレな状態が最後まで続き、これ以上ない結果を残して帰っていきました。

すると、この活躍が評価されたのでしょうか、3ヶ月後に「マシンガンズ西堀亮のオールナイトニッポンR」の放送が決定。単発番組ですが「オードリーのオールナイトニッポン」のあとを担当することになったのです。

そして3ヶ月後。ニッポン放送に戻ってきた西堀さん。

「オードリーのオールナイトニッポン」に乱入するマシンガンズ西堀

2013年11月30日放送「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはオードリー(若林正恭・春日俊彰)。
乱入ゲストはマシンガンズ西堀。

エンディングトーク。若林さんは、このあとを担当する親友の西堀さんにプレッシャーをかけます。

若林「このあと西堀がラジオやるみたいで、さっき顔がテカっててしようがなかったですけどね」
春日「ふふっ、確かにね、もうスタンバイしてましたけどね」
若林「まあ僕らは毎週毎週レギュラーでやってますけど、彼はね、1度こっきりのチャンスにこれから2時間挑むわけですからね」
(作家笑)
春日「なんとかね、なんとかすがって欲しいですね」
若林「うん、そうですね……ふはははっ」
春日「ははははっ」

楽しそうに話していると、

西堀「俺の話してたろ?」
若林「あははははっ!」
春日「なんだよ!」
若林「なんだよ!早いよ!4分後でしょう」
春日「4分後ですから、持たないっすよ、5時まで」
西堀「そりゃ本番の場でウォーミングアップしたいだろ」
若林「ははははっ」
春日「いや、使うんじゃないよ!我々の番組を」

不安から逃れるために乱入してきた西堀さん。

若林「いや楽しみな2時間だね、本当に」
西堀「楽しみだよ、楽しみだけど……1人だからね」
春日「それはその~、オールナイトニッポン以外でもやったことあるんですか?」
西堀「ないない」
春日「もう全く初めて?」
西堀「初めて」
春日「は~」
若林「基本的にさ、噛みつき芸の人じゃない」
西堀「うん」
若林「噛みつく場所ないとき、どうすんの?」
西堀「自分の腕かじるよ」
(スタジオ爆笑)

ここでもキレキレな西堀さんは、ミュージックソンのパーソナリティも視野に入っていると豪語。

オードリーと絡んで調子が出てきたところで、いざ本番。

オードリー若林に助けを求めるマシンガンズ西堀

2013年11月30日放送「マシンガンズ西堀亮のオールナイトニッポンR」(ニッポン放送)

パーソナリティはマシンガンズ西堀。
居残りゲストはオードリー若林。

最初の挨拶。

西堀「どうも~、マシンガンズの西堀亮で~す、始まりましたね~、やったね、あの、若林……」
若林「え?」
西堀「ちょっといろよ」
若林「なんでだよ、俺関係ないじゃん」
西堀「いや、新しい場で俺がほぐれるまでいてくれよ」

仕事が終わって帰ろうとしていた若林さんでしたが、少し残る羽目に。

若林「なんか遊びで(このラジオの)企画書書いたら通っちゃって、『どうしよう?』って石井ちゃんってディレクター言ってたよ、通ると思ってなかったんだって」
西堀「アイツ馴れ馴れしいな」
(若林笑)
若林「お前!唯一、メディアで唯一、西堀にハマっているディレクターだぞ、石井ちゃんは」
西堀「いや!そうかもしれないけど、人間性は別だろ」
若林「あははははっ!」
西堀「俺ビックリしたよ、打ち合わせさ、何日か前にニッポン放送来たわけ」
若林「うんうん」
西堀「そしたらもう打ち合わせの段階から、俺の顔見てニヤニヤしてるんだよ」
若林「ははははっ」

ちなみに、石井さんは「アルコ&ピースのオールナイトニッポン0」のディレクターでもあります。

若林「でもさ、太田プロでいつもお世話になってる有吉さんがさ、聞いてくれてんじゃない?」
西堀「いや、もう寝るって言ってたよ」
(若林笑)
若林「もしかしたら西堀君のラジオだから、有吉さん聞くかな?と思って、俺も後半15分ちょっとアガっちゃった」
西堀「ははははっ!」
若林「自分のラジオなのに、くふふっ、有吉さん、準備のために聞いてたらどうしようって、あんまり尖がんないようにしとこうと思って」
西堀「ふはははっ」
若林「ははははっ」
西堀「でも、このこと話したの」
若林「有吉さんに?」
西堀「ラジオ決まった、つって」
若林「うんうん」
西堀「『まあ、チャンスっちゃあチャンスだな、でも、十中八九失敗するだろうな』って」
(若林笑)

ようやく緊張が解けてきて、今回のチャンスを活かしてレギュラー番組を持ち、ゆくゆくは昼の帯番組をやるところまで想像する西堀さん。らしさが戻ってきました。

西堀「全力で今日はハメにきたよ」
若林「あっ、本当、いつも西堀君が心がけてるさ、噛みつく中にも可愛げがあるっていう」
西堀「うんうん」
若林「アレ、ちゃんと守って頑張ってね」
西堀「口に出さないでよ」
若林「あはははっ」
西堀「人の商売の内訳を話すなよ、ふふふっ」
若林「頑張ってね」
西堀「うん、ありがとう」
若林「じゃあ帰るから」
西堀「は~い、若林が帰るか……こっから1人の戦いだよね、皆さ~ん、楽しんでますか~?」
(作家笑)

若林さんのおかげでウォーミングアップはバッチリ。
でしたが、1人になった途端、今まで見せていたキレキレ感は一切なくなり、あったのはあたふた感。綱渡りの連続のような放送はまた違った西堀さんの魅力が出ていたように私は思いましたが、一方で放送事故だったという感想も。^^;

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翌週の「オードリーのオールナイトニッポン」で、西堀さんのラジオの後日談がありました。

落ち込んでいるマシンガンズ西堀を励ますオードリー若林

2013年12月7日放送「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはオードリー(若林正恭・春日俊彰)。
電話ゲストはマシンガンズ西堀。

西堀さんがラジオのあと落ち込んでいたことを明かす若林さん。なんでも「俺はダメだ、早急に1回飲んでくれ」というメールが届き、有吉さんも交えて3人で飲みに行ったそうです。そこで西堀さんにあのときの心境を直接聞いてみようとなって、番組中に電話します。

西堀「(眠そうな声で)もしもし……」
(スタジオ笑)
若林「アレ?西堀君さ、今寝てた?」
西堀「うん……寝入りだよ、寝入り」
春日「くくくくっ」
若林「あっそう、今ニッポン放送の、オールナイトニッポンで放送されてるのよ、この声」
西堀「……待ってくれよ」
若林「あははははっ!」

ちょっとテンションを上げる西堀さん。

若林「なんか、随分良かったらしいじゃない、あの~、オールナイトニッポン、西堀の」
西堀「チクリチクリやるなよ」
(スタジオ笑)
西堀「いまだに引きずってるよ」
若林「いや、なんかバイトの子が言ってたんだけど、放送終了したとき、ブースの中お通夜みたいな空気だったんだって?」
西堀「(苦笑しながら)お通夜もなにも半分以上死んでたよ」
若林「ははははっ」
春日「なんで?なんで?」
若林「どこが良くなかったのよ?」
春日「うん」
若林「良かったよ、放送」
西堀「いやいや、あのね~、1人でしゃべるって大変だな」

実際に放送を聞いていた若林さんは、全然悪くなかったと言って励まします。

若林「西堀君がよくね、一緒に3人で飲むと口酸っぱく言うじゃない、分をわきまえろ、と」
西堀「うん」
若林「基本的に芸人っていうのは、自分ができると思い過ぎてると」
西堀「うんうんうん」
若林「で、分をわきまえろと言うから、なんかそんなにね、天才じゃないし、そんなにダメじゃないし、ってことをよく言うじゃない」
西堀「うん、言うね」
若林「だから、別に西堀君ってあんまりヘコまないと思ってたのよ、仕事1個1個で」
西堀「いや、俺は……いや、本当ヘコむよ、こんなにヘコんだの初めてだよ」

ここで言う3人の残り1人は、多分くじらさんでしょうね。

若林「だって、それで有吉さんと飲んだじゃない」
西堀「うん、飲んだね」
若林「あんときも本当にヘコんでたもんね」
西堀「いやいや、だって本当にヘコんでんだもん、ふふっ」
若林「で、俺が『そんなことないよ、良かったよ』つったら、有吉さん爆笑してたよ」
西堀「ははははっ」
若林「くふふふっ」

光景が目に浮かびます。^^;

西堀「お前、優しいよな」
若林「何がよ」
西堀「結構なぐさめてくれたよな、『そんなことないよ、そんなことないよ』って」
(作家笑)
春日「あっ、そうなの?」
若林「(苦笑しながら)いや、西堀君、そういうのはいらないのよ」
西堀「若林もやっぱりさ、暖かいところもあるんだなって思ったよ」
若林「あはははっ、いや、西堀君、そういう話じゃないのよ」
春日「あ~、そうだったんだ」
若林「うん、そうそう」
西堀「寝起きだから、寝起きだから」
若林「ああ、寝起きだからね、くふっ」

やっぱり噛みつく相手がいると、キレキレな西堀さんが出てきますね。

マシンガンズ西堀の逆襲

私はこの一連のラジオを聞いて、西堀さんが好きになりました。実力は申し分ないはずなんで、なんとかもう1度チャンスを!と願っていたら、こんなニュースが。

次世代ラジオ芸人発掘、ニッポン放送大晦日&元旦生放送SP - お笑いナタリー

大晦日と元旦の夜にこの特別番組を用意。番組には2日間で総勢13組の若手芸人が出演し、優勝者には一夜限りの「オールナイトニッポンGOLD」パーソナリティの権利が与えられる。出演するのは、12月31日がほたるゲンジ、磁石、どきどきキャンプ、タイムボム、マシンガンズ、ウエストランド、エレファントジョン、流れ星。1月1日がうしろシティ、ダーリンハニー、シソンヌ、トレンディエンジェル、三四郎となっている。

出演者にマシンガンズの名前があります。しかも今度は、相方の滝沢さんと一緒です。物語はまだ始まったばかりです。

「オードリーのオールナイトニッポン」余談

余談ですが、3人で飲んだ話も若林さんがラジオで詳しくしていたので、それを最後に。

若林さんは、有吉さんと飲むのが今回初めてだったそうです。こんな機会は滅多にないってことで、聞きたい質問をきちんと整理して、緊張しながら2人がいる店に向かいました。ところが、店に入って目の前にいたのは、完全に泥酔状態の有吉さん。

有吉さんは、気合入れてきた若林さんと飲んだ記憶がないほど酔っていたようです。^^;