笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

上京物語 博多華丸・大吉編

春は別れと出会いの季節です。お笑い芸人もこの季節にいわゆる東京進出をしてきます。

リアルタイムで東京進出というものを見たNON STYLE

東京に住んでいる私が、大阪で活躍するお笑い芸人を見れるのは、大阪の「ヨシモト∞」しかありませんでした。
そのとき、大阪でレギュラーだったNON STYLEが、一年前の春に東京進出を決意して渋谷∞ホールに登場。初めてNON STYLEで、お笑い芸人の東京進出というものをリアルタイムで見ましたね。そんな彼らがM-1王者になったときは、階段を一気に駆け上がったという表現が本当にリアルに感じて、ただ心が震えるばかりでした。
で、今回は遅咲きのお笑いコンビ、博多華丸・大吉が東京進出したときのトークが面白かったので書き起こしてみました。

年齢学序説

年齢学序説

博多華丸・大吉の東京進出

2007年5月23日の「ヨシモト∞」。博多華丸・大吉の40分。

渋谷が怖いというトークから入り、まだ東京に慣れないと語る博多華丸・大吉。その流れから上京したときの話へ。

華丸「ぼくら電車で通勤ですよ」
大吉「まあまあまあ、はい」
華丸「遠いから」
大吉「お互い遠いんですよ、あの〜、上京してきて3年目ですけど、スタート地点を間違えたよね」
華丸「ふっふっふっ」
大吉「その街に住んでいる方は申し訳ないんですけど」
華丸「まあまあ、そうたい、そうたい、まあ、なんて言うんですか、夢を追いかけて博多から上京してきた割に!」
大吉「割に」
華丸「なんか卑屈なところに」
大吉「くふっ」
華丸「いや、なんて言うんですか、ど真ん中に来なかった!」
大吉「そうそうそう、なんか様子見た」
華丸「様子見た」
(会場笑)
大吉「福岡吉本におって、4月1日から東京吉本ですって、2年前か?」
華丸「うん」
大吉「なるときに、3月31日まで福岡吉本で、福岡で仕事だったんです」
華丸「そうなんです」
大吉「で、4月1日が休みで、2日がルミネで、で、ルミネまでね、福岡にいるじゃないですか」
華丸「そう、仕事でしたからね」
大吉「4月2日のルミネ、どうやって行ったらいいんですか?って、事務所の人に聞いたら、あの〜自分で行ってくださいと」
華丸「そうそう」
大吉「4月1日から東京吉本なんで、自腹で東京行ってくださいって言われたんよ」
華丸「もし払ってもらうなら東京吉本に掛け合ってくれと」
大吉「はいはい、福岡吉本は知りませんと、結構ひどいっちゃね」
華丸「はっはっはっ」

事務所の不満を言いながらこんな状態だったために、住む場所を探すのも大変だったという話になります。

田園調布に似ているという理由で調布を選んだ大吉

大吉「仕事ですらそれやったから、物件を見る暇がなかったんですよ」
華丸「まあ、そうですね」
大吉「だから僕もネットとかで調べて、で、ルミネ新宿でしょ?」
華丸「はい」
大吉「新宿まで近ければいいや、という頭で、僕あの『調布』にしたんですね」
華丸「なるほど、はいはい」
大吉「調布市、なんか田園調布とかも聞いたことあるし」
華丸「聞いたことあるある」
(会場笑)
大吉「なかなかいきなり勝ち組じゃないかって」
華丸「そうそうそう、なのに安いなって」
大吉「そうそう、まあバブルもはじけているし、調布も下がったんやろうなと」
華丸「まあまあ、ね」
(会場笑)
大吉「行ったらもう驚きのあれでしたよ」
華丸「全然違うんですよね?」
大吉「全く違いましたよ」
華丸「田園がないだけで」
大吉「ふっふっ、いや、田園はむしろあるんですよ」
華丸「逆にあるんだ」
(会場笑)
大吉「すごい、だから住みやすいんやけど、おかげ様でね、そのルミネだけしか仕事が無いと思って調布に住んだけど、まああなたのおかげで、割と忙しくなったんで」
華丸「へっへっ、いえいえ」
大吉「いや、大変ですよ、だから、もう遠いですよ〜」
華丸「遠いね〜」
大吉「いろんなとこが遠いですよ〜、もう」
(うなだれる大吉)
華丸「はっはっはっ」

「ラジかるッ」に出演していたため朝が早かったと言う話へ。

姪浜(めいのはま)から浜繋がりで横浜を選んだ華丸

華丸「朝ラッシュでしょ?」
大吉「朝ラッシュ、僕らね、東京でね『ラジかるッ』っていうね」
華丸「(振り付けしながら)ラジかるッ♪ラジかるッ♪」
大吉「なんで今股開いたの?」
(会場笑)
華丸「だから8時入りなんですよね」
大吉「入るときね」
華丸「何時に出るんですか?」
大吉「6時50分」
(会場「え〜」の声)
大吉「6時50分に出るんです、京王線にもし万が一のことがあったら、僕動けなくなるんですよ」
華丸「なるほど、なるほど」
大吉「沿線沿いの方分かると思うんですけど、だからちょっと早めに行って、7時ぐらいの電車に乗って」
華丸「すごいね」
大吉「あなたは?」
華丸「僕、6時半です、自転車で15分かかるんです、駅まで、まず」
(会場さらに「え〜」の声)
華丸「え、なんや、いかんと?」
(会場笑)
大吉「とても若手じゃないみたいな」
華丸「結構、颯爽と行きますよ、さーっと15分で」
大吉「さーっと」
華丸「で、なんせ、駅前の駐輪場、ね、ものすごい倍率の中、勝ち取りましたよ!」
(会場笑)
大吉「あー、そう」
華丸「駐輪場、なかなか取れないんですよ!あのシール!(ちょっと川平入ってた)」
大吉「ふっふっふっ」
(ちょっと省略)
華丸「よそ止めたら定期的に持ってかれる感じ」
大吉「あ〜、もうね」
華丸「どこそこにあるぜ、欲しけりゃ1500円持って、ここまで来い!みたいな」
(会場笑)
大吉「そんな上から言わんよ」
華丸「でもそんな感じで持ってかれるんでしょ?」
大吉「持ってかれます」
華丸「ね、だからそれが嫌だからシール持ってるんで」
大吉「もともとだって東京じゃないもんね」
華丸「僕、『横浜』です」
大吉「そうそう、家族の関係でね」
華丸「僕、昔福岡にいた頃、『姪浜(めいのはま)』ってとこ住んでたんですよ、で、なんとなく浜がついているだけで、安心感が」
(会場笑)
華丸「心が安心するんです、ちょっと似てるんで」
大吉「まあまあね」
華丸「いやほんと、35歳で出てきたらね、やっぱり臆病なんです、都会に対してね」
大吉「怖いもん、ほんとに」
華丸「ほんとに」

で、都会の最大の恐怖、朝の通勤ラッシュについてしゃべりまくります。

東京の人はたくましい

華丸「で、だから逆に、満員電車も経験してない分、まだ我慢できますよ、僕は」
大吉「あ〜、僕もう限界ですよ、もう・・・」
(会場笑)
華丸「あ〜、そうですか、笑っちゃうんですよ、見てて面白いんですよ」
大吉「なんで?」
華丸「もう、無理って、入らん!入らん!」
大吉「くっふっふっ、入る、入る」
華丸「入りませんって」
(会場笑)
華丸「だって、あーた、ここ(両手)とここ(両足)で(電車の入り口でえびぞりになっている格好をする)」
大吉「おる、おる、スカイダイビングのダイバーみたいな」
華丸「もうここ!(背中の方でドアが閉まる仕草)完全にここでしょ!」
大吉「すごいね」
華丸「あれ、いや、ねえ、押す人がいてね」
大吉「おる、おる」
華丸「たくましいね、でもこの状態で、(えびぞり状態の脇を指差しながら)さらにここに入ろうとする女子」
(会場笑)
華丸「あれ、たくましい」
大吉「いや、東京の人はたくましいよ〜」
華丸「ねえ、あれが入ったらテトリスだったら全部消えますよ」
(会場笑)
大吉「まあまあ、テトリスやったら完全にね」
華丸「いや〜、すごいわ」
大吉「だってね、3分か4分おきに来るもんね〜」
華丸「そうなんよ!それ待てんのって思って」
大吉「ね〜」
華丸「僕、東横線なんですよね、東横線なんて線路一本なわけ、途中追い抜くとこもありますが、そんな変わらんとよ」
大吉「まあ〜変わっても10分、20分でしょ」
華丸「ね〜、待ちゃいいやんね、俺らなんか福岡やから、まああの早くても10分間隔、いうたら」
大吉「あ〜、電車ね」
華丸「電車が来るまで間隔」
大吉「まあ、10分は待ちますよ」
華丸「そうそうそう、だからこれ逃すと、うわあ10分は長いな〜と思うけど、こっちだったら3分?」
大吉「3分、4分」
華丸「ひょっとしたら2分やったりするやん、間隔が」
大吉「うん、ぞくぞくと」
華丸「ね〜、だから全然待てますけどね〜」

そんなのんびりな華丸は、満員電車で譲りすぎて待ちすぎて、終電逃したりしたこともあるそうです。^^;
また背の高い大吉は、他人の頭のてっぺんが自分の目の前に来るそうで、頭の匂いがきつい人だと辛いんだとか。痴漢と間違われないように両手を挙げて乗ることを覚えたとか、パスモは便利だけど改札通れなかったとき恥ずかしいとか、電車話をかなり話していて、会場のお客さんもかなりウケていました。
そして、最後はなるほどと思わせてくれました。

電車話はテレビでは出来ない

華丸「まあでも、長いこういう話がですね、結構意外と、なんていうの、トーク番組とかで電車の話したら通じないんですよね」
大吉「あっ、通じない」
華丸「通じんとよ」
大吉「これが」
華丸「何でかというと、みんな電車乗りよらんちゃ」
(会場からものすごい納得の声)
大吉「そうそう、周りの司会者の方とか、ゲストの方とか」
華丸「実は」
大吉「まあ・・・」
華丸「ようスベるよね、これどうだ!みたいな電車の話したら」
大吉「そうそうそう」
華丸「今みたいな話とか」
大吉「ね、ツルツルにスベりますから」
華丸「みんな自家用車で来よるし、ね、タクシーとか」
大吉「ぽかーんですよ〜」
華丸「僕らもね、もうちょっと近ければそれなりにね」
大吉「そうそうそう、(タクシー)チケットもらえないんですよ」
華丸「もらえないんですよ」

これは言われてみればそうだなと、はっと気付かされました。
それを分かっているから、この渋谷∞ホールでテレビで話せない電車話を存分にしたわけですね。博多華丸・大吉は東京には慣れてないけど、舞台にはめちゃくちゃ慣れている、真の実力を持ったお笑い芸人だと確信したのでした。