笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

上京物語 次長課長の河本編

ひとつ前のエントリーで、

を書きました。
彼らは遅咲きながらも、東京での露出が徐々に増えてきていて、ある意味満を持しての東京進出だったように思います。しかし、東京進出とはイチかバチか、東京に来てからしばらく沈んだまま、苦しい時期を過ごすお笑い芸人も少なくありません。
今回は、そんな博多華丸・大吉と対照的なコンビ、次長課長の上京物語を紹介させて下さい。

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貧乏だけど出会いがあった

2007年6月29日の「ヨシモト∞」。品川庄司の品川・次長課長の河本の90分。

庄司が仕事で沖縄に行っていて欠席した代わりに、次長課長の河本を迎えてのトーク。若い頃の貧乏話に花が咲いて、

品川「俺でも、あんまそういう貧困な暮らししたこと無いですね」
河本「バカにしてんなや」
品川「いや、いや確かに吉本でお金もらえなかった時期もあるけど、まあなんとかなってたんですよね、どうやって食ってたんですかね?」
河本「でもそれ考えたら、ほんまどうやって食ってたんやろうな?でもダンボールにマヨネーズかけて食ったことはある」
(会場「えー」の声)
河本「イカって言うんだもん、だって連れが、ぜったいイカになる瞬間が来るからって、でももうダンボールとマヨネーズやねん」
品川「まず給料2、3万でしょ?」
河本「無い無い無い、そんなにも無い」
品川「どうやって自分でも飯・・・、どうやって俺乗り越えたかな〜って思って、3年ぐらい続いたから」
河本「続いたね、でもそんな時代もあったけど、やっぱりでもなんか・・・、ほんまに『出会い』があるのよ、なんか、ご飯食べさせてあげようかとかっていう女の子とか」
品川「先輩もね」
河本「先輩もいるし、当時付き合っていた女の子が、ちょっと私は大丈夫だから一緒にご飯食べに行こうとか」
品川「あ〜、僕も嫁はね、ずっとそうでした」
河本「食べに行こうとか言われてたから、なんとなく行けたんやね〜」
品川「うん」
河本「だんだん太ってきたしね、お金が無い時期なのに太るのよ」
品川「東京来てぐいぐい太っていきましたね」
河本「東京来たときにもだって俺、月4万しか貰ってなかったからね、月収」

そして、河本が東京に来たばかりの頃の話になります。

東京に来てなんも楽しくねえ

品川「もうなんか〜、東京に来たての河本さん悪い顔してましたもんね」
河本「悪かった〜」
品川「なんか今みたいに明るくなくて、あの〜4畳ぐらいの楽屋があるんですけど、そこにいっつもこうやって(ひじをつき寝そべりながらしかめっ面)」
河本「ひゃっひゃっひゃっひゃっ」
品川「全然会話なんか無いもんね、俺とかがしゃべりかけてもなんか全然答えない、感じ悪くてね」
河本「すれてたのよ、だってその月給4万持って、嫁とふたりで笹塚住んでたときに、下高井戸まで歩いて、んでそこでパチンコで4万すってふたりで帰ってくる、そんなんばっかりで、なんも楽しくねえなって」
品川「うん」
河本「で、住んだ場所が下が和民で、その下が豆腐屋で、和民が朝5時までやんのよ、ほんで、5時から豆腐屋開くねん、だから24時間ずっと」
(会場笑)
品川「うるさい?」
河本「うるさいねん、ほんでウェー言うて、和民やからうわーって飲むやん、ほんで俺の下でゲロゲロゲロって吐いてんねん、じゃかましい!って、ぱっと見たら、ほっしゃん。さんやったり、それが」
(会場笑)
河本「あ、ほっしゃん。さんや、いっぱいそんなんやったよ、ようほんまにがんばっ・・・、バイトもしたし〜、だって最初の頃なんか俺、新宿のルミネに出るために・・・」
品川「バイトなんてしてました?」
河本「してたよ〜」
品川「東京来て?」
河本「うん」
品川「全然イメージ無いわ」
河本「え、風俗案内所で働いてたで」
品川「えー!マジで!」
河本「うん」
品川「全然知らなかった」

ここからまさに芸人の苦労話全開です。

新宿の風俗案内所でバイトする日々

河本「風俗案内所で働いてたよ」
品川「似合いますね」
河本「めっちゃ似合ってた、うふっ」
(会場笑)
品川「天職でしょ?」
河本「天職、ほんとにおすすめ方、天職」
品川「(引き笑いで)ひっひっひっ」
河本「でもたまに来るのよ、大阪からの出張で」
品川「芸人さん?」
河本「ううん、サラリーマンが、大阪のサラリーマンが東京に来て、羽伸ばしたいから『兄ちゃん、なんか・・、おい、次長課長じゃねえの』って」
品川「あ〜」
(会場も「あ〜」の声)
河本「これが厳しかった」
品川「だから大阪でテレビ出てたから」
河本「そう」
品川「それが今東京で、風俗案内所やってると」
河本「『風俗案内所でバイトしてまんねん〜』とかって言いながらやってたよ〜」
品川「あ〜、辛い時代あったんですね」
河本「だって虎太郎(コタロウ、河本の息子)を新宿の託児所に預けて、ルミネ出て、で、ルミネ出番終わったら託児所でおんぶして、帰ってたよ」
(会場も意外な苦労話に聞き入る)
河本「嫁は嫁で、銀座の、あの〜クラブに働きに行ってて」
品川「えー!」
河本「帰ってきたら『今日みのさんと会ったよ』って、そんなんどうでもええねん」
(会場笑)
河本「『明るいな〜、おまえ』、『うん、明るいねん』って、3人で」
品川「うわ〜、一人二役(河本執筆の私小説)2作目いけるでしょ?」
河本「いける、いける、全然いける」
品川「新宿編」

ここまで典型的な苦労をしていたとは思いませんでしたね。
次長課長の最初の印象って、私は「内村プロデュース」です。準レギュラー的な品川庄司もいて、大阪から出てきた若手と言いながら品川庄司よりも先輩であるというギャップをいじられていました。そして、挨拶代わりにやった河本の香港映画モノマネ(いわゆるタンメン)で、ウッチャンのハートをがっちりキャッチ。
やっぱり底抜けに明るい奥さんの存在なくして、今の次長課長は無かったんでしょうね。

一人二役

一人二役

あと余談ですが、レイザーラモンRGは、HGがブレイクはしたけどまだ大阪に住んでいるときに、なんとHGより先に東京に移り住みました。しかも奥さんと子供がいるのに。^^;
一度、渋谷∞ホールの舞台にRGが子供(まだ2、3歳だったかと)を出したことがあるんですが、全然物怖じせずに堂々としたもんでした。まさにRGイズムの継承者そのものでした。