笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』がもたらした奇跡

今回は、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』がもたらした奇跡について紹介させて下さい。

奇跡と言うにはちょっと大げさなんですが……

バイきんぐ小峠に『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を薦められた伊集院光

2012年8月13日放送「伊集院光 深夜の馬鹿力」ポッドキャスト(TBSラジオ)

パーソナリティは伊集院光。

最近見て面白かったアニメの話。

伊集院「あの~、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』ってアニメ、なんかアニメすごい好きな人にはもう全然おなじみのアニメらしいんだけど、これ全然知らなくて」

伊集院さんがこのアニメを知ったのは、バイきんぐ小峠さんから薦められて。(小峠の発言は伊集院が再現)

伊集院「たまたま、アニメを全然見ない、バイきんぐの小峠っていう、まあ!いかついスキンヘッドの、ミスター悪人相」
(作家笑)
伊集院「で、多分アイツは、好きな物は、音楽はBLANKEY JET CITY(ブランキー・ジェット・シティ)だと思うんですよ、だからその~、割とアニメとは違うベクトルにいる人なんだけど、それがなんかたまたま一緒に飲んでたら、え~と……」
小峠「伊集院さん、ちょっとコレを見て欲しいんですけど」
伊集院「って、自分の兄貴だか弟だかが……」
小峠「俺はアニメを全く見ないってのを知ってて、『だけど見たほうがいい、絶対見たほうがいい』って、あんまりにも言うから見てみたら、コレがなかなかどうして良いんですよ~」
伊集院「って言われて、その感じが良い日ってあるじゃん、なんか、その感じが良い日にたまたま当たったもんだから、え~、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、じゃあちょっと見てみようか、借りてみようかと思って」

そう決めた伊集院さんは、TSUTAYAへ。

いざ目的の棚を見ると、3巻以降が全部貸し出し中。仕方なく1巻と2巻だけをレンタルして家で見たら、なるほど面白い。すぐに続きが見たくなり、性格上これで今日は満足ってことを知らないので、3巻以降を求めて、TSUTAYAの各店舗を巡る旅へ。

結果、全巻探し出すことに成功して、最後まで一気に見た、と語る伊集院さん。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は演出する人の固有名詞の出し方が上手い

あらすじを簡単に説明しながら、演出の上手さについて言及します。

伊集院「上手いのは、演出する人の固有名詞の使い方みたいのがめちゃくちゃ上手いの、その懐かしいグッズの出し方とか、その端々に出てくる、みんなが『なっちゃん』飲んでたりとか、『ガリガリ君』食ってたりみたいなことの固有名詞の出し方がすごい上手いのと、小学校のときによく遊んだ物のアイテムとして、『ポケモンのダイヤモンド』みたいの出てくるんだけど、それが、もう俺の中の懐かしグッズからはハミ出ちゃってるの、最近の物だから、だけど今高校生とか20歳ぐらいの子だと、多分、もう本当に沁みるだろうし、上手いアイテムを、上手い時間経過の感じで出してきてんなってのを、多分チョイスがあるんだろうなっていうのは羨ましいなと思いながら」

伊集院さん曰く、このアニメを見ようと思ったのは薦められたときの状況が良かったから。

伊集院「多分、あの日、あのテンションで、あの感じで、しかも甲子園から帰ってきた夜に飲みに行ってるから」
(作家笑)
伊集院「そのまま甲子園から帰ってきて、自転車を家に持って帰ってきた夜に、バイきんぐの小峠と約束して飲みに行って、その飲んでても本当にフラッフラッの状態の中で、『そういうのあるんですよ~』って言われてたから、入ってきたみたいなもんなんだけど、なんかちょっと良いモノ見せてもらったなっていうのと、まあ逆にアニメ好きな人から言うと、『今さら伊集院、そんなの言ってんじゃないよ』っていうのはあるんだろうな、っていうのはあるんですけど、ちょっと良かったですね」

この話、別のラジオでバイきんぐ小峠さんも話していました。

同じ事務所の芸人に『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を薦められたバイきんぐ小峠

2012年10月1日放送「バイきんぐのラジカントロプス2.0」(ラジオ日本)

パーソナリティはバイきんぐ(小峠英二・西村瑞樹)。
聞き手は植竹公和(歌う放送作家)。

放送時間も残りわずか、バイきんぐが告知し終わったところで、植竹さんが「話は変わるけど……」と切り出します。

一応説明すると、バイきんぐは小峠英二(ことうげえいじ)と西村瑞樹(にしむらみずき)が結成したお笑いコンビで、キングオブコント2012の王者です。

植竹「あ、そういえば、全く話違うんだけど」
小峠「はい」
植竹「なんだったっけな?アニメで、花の名前はナントカって」
小峠「ああ!『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』ですよね」
植竹「小峠君、アレ好きなんだって?」
小峠「ええ!?何で知ってるんですか?」
植竹「伊集院さんのラジオ聞いてたら」
小峠「ほぇ~」
植竹「で、見てみたのよ、結構胸キュンもんだね」
小峠「胸キュンもんって古いっすね!」
植竹「あはははっ、いや、こんなツラしててさ、結構メルヘンなんだな~と思って」

伊集院さんが話していたとおり、小峠さんも人から薦められて見たんだ、と。

植竹「ああいうの結構好きなの?」
小峠「いや、僕は全然好きじゃなかったんですけど、もう本当にああいう……深夜系のアニメなんですよね、で、たまたま全く別ラインの2人から薦められたんですよ、同時に」
植竹「ほぉ」
小峠「そんだけ言うんやったら、ちょっと見てみようか?と思って、で~、TSUTAYAに全巻DVDが揃ってたので、見たら!いや、面白くて……僕、ああいう深夜系のアニメって、もう本当に偏見で、あの~オタクの方々が」
植竹「うん、そうね」
小峠「ちょっとエロ目線で見てるモノやと思ってたんですよ、もう全然そんなんじゃなくて!内容がシンプルで面白くて、友情あり、恋愛あり、でまあ、感動ありっていうので、もう一気に見てしまいまして」
植竹「うん」
小峠「あまりにも面白かったから、ちょうど見終わった数日後に伊集院さんと飲む機会がありまして、『お前、なんか最近見たの?』って、まあ映画の話とかもよくするんで、『いや、実は伊集院さん、最近こういう、花の名前を僕達は……を見た』つって」
植竹「うんうん」
小峠「『ああ、じゃあ俺もちょっと見てみるか』つって、伊集院さんもそれを見てくれて、ラジオで面白いと仰ってくれたんですね」
植竹「言ってた、言ってた」

話はこれで終わりません。

小峠「で!さらに!これすごいのが、僕に薦めてくれた2人のうち1人が、ウチ(の事務所)の芸人なんですよ」
植竹「ええ」
小峠「で、ウチの芸人も普段はアニメを見るようなヤツじゃないのに、なんで見たか?っていうと、そいつのアルバイト先の先輩の家に行ったときに、見せてもらったと」
植竹「うん」

小峠さんに薦めたのが、同じ事務所の芸人。さらに、その同じ事務所の芸人に薦めていたのが、アルバイト先の先輩。

同じ事務所の芸人に『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を薦めたアルバイト先の先輩は、伊集院光の大ファン

小峠「そのアルバイト先の先輩っていうのが、ものすっごい伊集院さんのファンなんですよ
植竹「お~」
小峠「これ、すごくないですか?」
植竹「すごい」
小峠「バイト先の先輩がものすごく好きなモノが、好きな人に、その僕の芸人友達を通じて、僕を経由して、伊集院さんに伝わったんですよ」
西村「すごい、それ」
小峠「これ、すごいですよね!だから、僕はその芸人友達に、その(アルバイト先の)先輩に、伊集院さんが『あの花(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)』を見たけど、それはあなた発信ですよ!っていうのを伝えてくれ、と」
植竹「なるほど!」
小峠「これ、めっちゃ嬉しいですよね」

伊集院さんの大ファンであるアルバイト先の先輩。その先輩の大好きなアニメが、小峠さんと同じ事務所の芸人に伝わり、そして、小峠さんを経由して、伊集院さんにも伝わった。しかもラジオで面白かったと言ってくれた。

ファンとしてこんな嬉しいことはないでしょう。

それもこれも『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメが人に届く力を持つ魅力的な作品だからこそ、起きた奇跡だったんでしょうね。

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