笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

2月が28日までしかない理由

フジテレビで深夜放送していたウッチャン司会の「理由ある太郎」をなんとなく見返していました。

ある疑問に対する理由を知りたければ、パネラーは1000円払う。そうすれば説明VTRを見ることができる。支払われたお金はプレゼンターのギャラに加算されるので、パネラーが知りたいと思うようプレゼンターは頑張ってプレゼンする。そんな企画の番組でした。

パネラーは5人で全員を説得したとしても5000円です。あとからオンエアを見れば理由を説明したVTRを視聴できます。故にその決まりのユルユル感は否めませんでしたが、あくまでおまけ。メインは疑問の内容とそれに対する理由にありました。

一度観ているはずなのに、ほとんど忘れていることに気付きます。人間は忘れる生き物だと再認識。聞けば「ああ、そうだった!」と記憶が蘇ってきます。今回は、私が一番感心してしまった理由を紹介させて下さい。それは「2月が28日までしかない理由」です。

古代ローマの暦に由来

2008年5月2日放送「理由ある太郎」(フジテレビ)

司会は内村光良。
プレゼンターは村上三奈。

大阪でブレイクしているアイドルと紹介されていた村上さんが必死にプレゼンをしなくても、パネラー全員が「知りたい」を選択。するとスタジオが暗くなり、セット脇からノグチくん(中身はアップダウンの竹森?)が登場して、踊りながらのおひねりタイムに突入。

そんな余興も済んだ所で、いよいよ理由のVTRへ。

2月が28日までしかない理由は、古代ローマ時代の暦(こよみ)の中で、1年の最後が2月だった事に由来します。

と先生は言います。

1年の暦の始まりは農作業が始まる3月

その後、番組でお馴染みのおばあちゃんによる理由語りへ。

現代の暦の元になっているのは古代ローマの英雄、ジュリアス・シーザーが作った「ユリウス暦」と呼ばれる暦なんじゃ。もともと古代ローマでは、1年の暦の始まりは農作業が始まる頃、つまり、現在の3月から始まっていたのじゃ

ところが、1年365日を12ヶ月に割り振るときに、全て31日だと多すぎます。372日(31×12)> 365日。

3月 4月 5月 6月 7月 8月
31 31 31 31 31 31
9月 10月 11月 12月 1月 2月
31 31 31 31 31 31

かと言って、全て30日では少なすぎます。360日(30×12)< 365日。

3月 4月 5月 6月 7月 8月
30 30 30 30 30 30
9月 10月 11月 12月 1月 2月
30 30 30 30 30 30

奇数月を31日、偶数月を30日、余った29日を2月に

解決策として、「奇数の月は31日、偶数の月は30日」と交互に並べて、「最後の月とされていた2月に余った29日」が割り当てられました。

3月 4月 5月 6月 7月 8月
31 30 31 30 31 30
9月 10月 11月 12月 1月 2月
31 30 31 30 31 29

「え~!そういうこと」とワイプで驚きの表情を見せるブラマヨ小杉。これで万事OKとはならず、2月が29日から1日減って、28日になる理由がこれから語られていきます。

皇帝の威厳が暦に影響を与える

その後、ローマの政治家が月の名前を正式に決めたとき、
7月は、ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)にちなんで、ジュライ(July)
8月は、初代皇帝アウグストゥス(Augustus)にちなんで、オウガスト(August)
と名付けられたんじゃが、このとき同じ偉大な人物なのに、アウグストゥスの月がシーザーの月より短いのは問題じゃ。

つまり8月が30日なのは如何なものか、と。

ということになり、8月を1日増やすため、2月は29日からさらに1日減らされて、28日になってしまったのじゃと。

3月 4月 5月 6月 7月 8月
31 30 31 30 31 31(+1)
9月 10月 11月 12月 1月 2月
31 30 31 30 31 28(−1)

ちなみに、8月が31日になったことに伴い、9月~12月までも30日と31日が逆になってしまったんじゃと。

3月 4月 5月 6月 7月 8月
31 30 31 30 31 31
9月 10月 11月 12月 1月 2月
30 31 30 31 31 28

「深いね、深いね」と感心するパネラーのおぎやはぎ。

興亡の世界史 地中海世界とローマ帝国 (講談社学術文庫)

興亡の世界史 地中海世界とローマ帝国 (講談社学術文庫)

2月が28日までしかない理由の結論

というわけで、「2月が28日までしかない理由」は、古代ローマ時代、1年の最後の月が2月だった事と、8月の日数が少ないと皇帝の威厳に係わるのではないかと考えたからだそうなんじゃ。

VTRが終わると、スタジオから拍手が起こります。

「これはいい」と絶賛するおぎやはぎ。「1000円じゃ安い」と言うウッチャンに対して「安い、安い」と頷く西川史子さん。そして、うるう年による調整も1年の終わりが2月なので、そこで日数が調整されると補足する村上三奈さん。さらに「太陰暦だと13ヶ月で収まるようになってるんですけども」と付け加える鈴木史朗さんを、「こっちの人はそんなに喋らなくてもいいんですよ」と断ち切る西川さん。バラエティ慣れしています。

最後の9月~12月が逆になった事がちょっとピンと来ないんですが、試験勉強で言えば「これはこういうもんだと思ってとにかく覚えろ」的なところなんでしょうか。

「理由ある太郎」は半年間の放送で幕を閉じました。この番組でブラックマヨネーズとウッチャンの絡みが見れました。後期はロケに飛び出して、ザブングルとの距離がグンッと近づいたのを感じました。最終回のラストも妙に凝ってました。期間は短かったですけど印象深い番組です。