笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

「内村プロデュース」とは何だったのかを考える

前回「内Pの歴代アシスタントで一番好きな人を選ぶなら」を書きました。

「出川哲朗の俺をおいしくしろ!」のゲストがさまぁ~ず三村とふかわりょうだった時、内Pアシスタントで誰が一番好きかで盛り上がっただけでなく、「内村プロデュースとは何だったのか」という深いテーマで語り合う姿もありました。やっぱりこれも残しておきたいと思ったので、こちらもご紹介させて下さい。

「内村プロデュース」は特別な存在

2009年10月6日配信「出川哲朗の俺をおいしくしろ!」(原宿アメーバスタジオ)

司会は出川哲朗。
ゲストは、さまぁ~ず三村マサカズ、ふかわりょう。

配信中に来た質問メールを一通りみんなで見回しますが、とにかく内Pについて質問がたくさん。そこで、ふかわが逆に問題提起します。

出川「やっぱね、ちと内Pのことがね、大体内Pのことがね」
三村「この3人は、そのやっぱ内Pのイメージがあるんすね」
出川「あ~、そうだね」
ふかわ「じゃあ、あの~、逆に僕から聞きますけど」
三村「うん」
ふかわ「内Pって、なんか、特別な存在な気がしませんか?なんか、そのテレビの中で」
三村「(質問メールから目線を上げて)聞こうか、その話」

ふかわが、このように切り出さなかったらこれから始まる深い内P話は無かったことでしょう。

「内村プロデュース」は独特の空気感がある

出川「あの~、そうですね、もう不思議なのは終わってもう3年ぐらい経つんだけれども」
三村「いや、もう3年どころじゃないらしいですよ」
出川「え、もっと?」
三村「5年とか?」
出川「いや、そんな経ってないよ」
三村「そんな経ってない?」
ふかわ「いわゆる、バラエティ番組……おそらく、そういう風な伝説的な感じになる番組他にもあると思うんですけど」
出川「はいはいはい」
ふかわ「そのひとつに、内Pってのがあると思うんですけど」
出川「はい」
三村「うん」
ふかわ「なんかその~、内村さんがやってた他の番組もあるけど」
出川「はい」
ふかわ「ちょっと独特の空気感があるじゃないですか、世界と言うか」
三村「うんうんうん」
ふかわ「それはどうしてなんだろうと思うんですよ」
三村「お前分析してたじゃん、それもなんか最終回終わって」
ふかわ「いや、さすがに」
出川「そうだよ、お前泣いてたじゃん、じゃあ、じゃっ、どっ、どっ、じゃあその違いは何なの?他の番組と内Pの違いは何なの?」

熱すぎるふかわに段々と気付く出川と三村。このときは完全にふかわがMC状態。

「内村プロデュース」はみんなが一生懸命だったと熱弁するふかわ

三村「『内Pはもうテレビの枠を超えてるんです』みたいな名言吐いてなかったっけ?」
ふかわ「まあまあ、ちょっとは言ってたかも、いや、僕が思うのは……いいんですか?これもう、正解……」
出川「いいよ、いいよ、いいですよ」
三村「いやいや、いいよ、正解」
出川「(雨の中外で見ている)みなさん、内Pファンの方も来てくれて、あのほら、持ってきてくれているわけですから」
ふかわ「いいんですか?」
三村「うん」
出川「はい」
ふかわ「それは、みんなが一生懸命だったから」
三村「(思わず吹き出す)ぶふぉっ!」
出川「(呆れながら)なにそれ」
三村「ふふふっ、大体他の番組でも一生懸命だろ」
ふかわ「(予想外の反応に苦笑いしながら)いや、特に……」
三村「お前抜いてるってなっちゃうぞ、他の番組で」
ふかわ「特に、一生懸命だったから、いや、と、と言うか、そのなんて言うんですか、みんな、ほんとその部活のように」
三村「うん」
ふかわ「なんかこの~、体当たりで、ぶつかったじゃないですか、取り組んでたじゃないですか」

最後の詰めが甘い、相変わらずなふかわ。そして、三村が内Pとは何だったのかを語り出します。

「あいのり」の裏番組だった「内村プロデュース」には昔のパリーグ感がある

出川「いや、それは違うと思うんだ、それはだってどの番組もみんな……」
三村「まあ、そうですよね、なんだろうな……まっ」
出川「うん」
三村「前もって宿題じゃなく、その場で出すっていうのは、意外と斬新だったのかな?」
ふかわ「はいはい」
出川「あ~、今思うと、大喜利的なのとか」
ふかわ「はい」
三村「で、そのダメなところもオンエアされていたとか」
ふかわ「はい、そこも大事ですよね」
出川「はいはいはいはい」
ふかわ「失敗も成功も両方流すっていうことですよね」
三村「うん」
出川「あ~、そうだね、今考えると最近はそれが当たり前になったけど、確かに失敗を流すっていうのは、新しかったのかもしれない
ふかわ「だから、すべてが美しいんだ、ってことですよね、結局、がんばっているものは、ってことですよね」
出川・三村「(ふかわとの温度差を感じながら)う~ん」

出川がチャット画面に目を向けると、それに従い、三村も覗き込みます。

出川「これもみんなにもいろいろと聞きたいんだけど」
三村「もうだからね~、みんなね、反響がでかいんすよね、この話になると」
出川「うん」
ふかわ「いや、だから特別な何かが……あると思うんですよ、やっぱり」
出川「あ~、こ、これはどうですか、吉田マセキさんから来た、あの『女に媚びなかったのが良い』」
ふかわ「うん」
三村「あ~、裏(番組)に『あいのり』あったしね
出川「あ~」
三村「大体があんま見てなかったんですよ、女の人ね」
出川「そう、内Pをね、全くみんな見てなかったもんね」
ふかわ「まあそういう意味では……」
出川「『チーム的な感じが良かったです』とか、『一体感があって良かったです』とかいろいろ来てますね」
ふかわ「でもチーム的な感じで言っても、その~、なんて言うんですか、ナイナイさんがやっているやつとか、ああいう空気感とはちょっとまた異質感があるじゃないですか」
三村「うん」
ふかわ「なんかその、テレビ朝日に居ながらも、なんか守られてない感じというか」
三村「なんかね~、昔のパリーグ感というかね
出川「あ~!(納得の表情で)あ~、あ~、あ~」
三村「なんかね、俺思ってたんです」
出川「はいはいはいはい」
三村「なんか、あんまり別に、人気者勢ぞろいじゃない感じっていうんですかね、う~ん」
出川「はいはいはい、なるほどね、雑なバッターがいっぱい、でも個性ある雑なバッターな」
三村「う~ん」
出川「感じが出てきた感じかな~」
三村「う~ん」
出川「あ、それはいいんじゃない」
ふかわ「あと、いろいろあるのかもしれないですけど、その~、旬な素材ばかりで集めてなかったじゃないですか」
出川「(チャットに気を取られつつ)はい、まあ、うん」
ふかわ「ほんとに、人間関係の繋がりで、こうなんか集まってやってたから~、それも伝わったんですかね?」
三村「個人的な、なんか登ろうとしている最中の人ばっかだったから」
ふかわ「う~ん」
出川「そうだね、メジャーじゃないけど、心は熱い、(チャットを見て)あっ、『パリーグ感すごい分かる』ってやっぱ、来たね~」
三村「あ~、じゃあやっぱ、例え上手だったな~」
出川「確かに、珍しい」
三村「珍しいって、くっふっふっ」
出川「すっごい例え上手」
三村「(チャットを見て)『あいのりがセリーグ』ってあるけど、あいのりはセリーグじゃないと思う」
ふかわ「ふっふっふっ」
出川「あ~、でも一般の人から見たら、あいのりがセリーグじゃない?」
三村「まあ~」

ふかわが最後に素晴らしい一言を放ちます。

内村プロデュース~俺チョイス 内村光良~俺チョイス [DVD]

内村プロデュース~俺チョイス 内村光良~俺チョイス [DVD]

三村を「内村プロデュース」に起用する内村光良の愛の深さ

ふかわ「でもやっぱりその~、内村さんの愛の深さもありますよね」
出川「なるほどね」
ふかわ「やっぱり」
三村「それは!だって~、それが無いと~」
ふかわ「はい」
三村「そもそもだって、大竹が、なんだっけ?ウリナリ?」
ふかわ「はいはいはい」
三村「に行ったんで、『なんか三村もねえかな~』っつって、内P呼んでくれたようなもんだからね」
ふかわ「おぉ~」
出川「あ~」
三村「あの人は、あの人はああいうところある」
ふかわ「そうですね」
三村「(出川に同意を求めるように)ええ、そういうところあるんですよね」
出川「そうだね、そうだね、あるんだよね」

ふかわりょう、内Pのことになると人が変わったかのように、熱くて真面目な青年に。それに引き込まれるように、出川と三村も内Pを熱く語ってくれました。

内Pは、さまぁ~ずに代表されるような中堅どころのお笑い芸人で固めてたのが、ひとつの大きな特徴でした。あと、そのとき誰も見向きをしなかった有吉弘行、そんなに東京では知られていなかったTKO(4回目の東京進出時)、その他にもくすぶっているお笑い芸人にも手を差し伸べていましたね。X-GUNのさがね、とかね。

「カボスケ」で見せた後輩芸人との相性の良さをこの内Pでも見せ付けたというね、なんていうか、ウンナンファンならみんな分かっている部分を広く世間に証明して見せた、それが私にとっての内Pですかね。

1 2