笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

水道橋博士が語る山城新伍

山城新伍さんがお亡くなりになったというニュースを耳にして、ミランカで配信されていた「博士も知らないニッポンのウラ」がまず思い出されましたね。水道橋博士が、山城新伍さんの芸能界での立ち位置を自分と重ねていた部分がとても印象的だったので、今回はそれをご紹介したいです。

本業 (文春文庫)

本業 (文春文庫)

山城新伍著「おこりんぼさびしんぼ」を復刻させるために「本業」を書いた

ミランカ「博士も知らないニッポンのウラ」。司会は水道橋博士と宮崎哲弥。ゲストに吉田豪。

吉田豪さんが関わった本を紹介しながら、

博士「まずは山城新伍さん、え〜、実はですね、これは最新刊っていうか、まあ山城新伍さんの文庫化になった本の最新刊なんですけれども、これの帯と解説を吉田豪が書いててですね」
(博士、山城新伍著「おこりんぼさびしんぼ」を手にして、帯の文章を読み上げる)
博士「この本がいかに素晴らしいのかっていうのはですね、僕がこの『本業』、この本タレント本だけの書評本なんですけど」
宮崎「読みました」
博士「ええ、なぜこの本を書いたかって言うと、この『おこりんぼさびしんぼ』をもう一度文庫化して欲しいが為に、書評の連載をやらせてくれって、日経エンタテインメントに頼んでやされてもらって、この本を書き、そして、これ幻冬舎がもともとの出版社だったんですけど、見城さんに」
宮崎「うん」
博士「直接、僕が直訴して、これだけの本を書いて、これだけの本も売れているわけだから、この『おこりんぼさびしんぼ』も復刻して欲しいってことを言ったんですけど」
宮崎「でも幻冬舎やってくれない」
博士「やってくれない」
吉田「ふっふっふっふっ」
宮崎「で、廣済堂に」
吉田「行きました」
博士「そうなんです、そうなんです」

タレント本史上最も面白いのが「おこりんぼさびしんぼ」

博士「やっぱ山城新伍さんっていうのは、最も影響を受けたというか、タレント本史上最も好きな書き手」
吉田「そうですね」
博士「僕は、ちなみに言えば、タレント本史上でこの本が一番面白いと思ってるんです」
宮崎「なるほど」

それまで吉田豪さんもタレント本をナメていた部分があったそうですが、この山城新伍さんやガッツ石松さんの本を読み、書かなくていいことまで書いているのを見て、考え方を改めたのだそうです。

山城新伍はインテリで観察者

博士「あの、70年代のアナーキーな、その東映の役者達っていうのを、この山城新伍さんっていうのは、インテリだから」
宮崎「うん、インテリだよね」
博士「ものすごいインテリなんですよね、お父さんはお医者さんですからね」
吉田「はい」
博士「で、談志師匠にして、山城新伍の記憶力には敵わないと言わしめたぐらいで」
宮崎「ほぉ〜」
博士「もう映画の知識も凄いし、だからやっぱちょっと、自分は役者の世界に本来、居る人では無いんだなっていう気持ちが・・・」
宮崎「あるんでしょうね〜」
博士「だから観察者なんですよね」
吉田「豪快な事やりながら一歩退いて見てるんですよね」
博士「そうそうそう、で、そのエピソードを残していくという」
吉田「ええ」
博士「で、一連の著作っていうのは、そういう意味で言うと、まあいわゆる都市伝説的な役者像っていうのが、次々出てくるんですよね」
吉田「はい」

お互い芸能界に生息するルポライター

博士「どこに惹かれているかっていうと、山城新伍の性格は俺なんですよ」
宮崎「うん」
博士「俺も観察者でやっぱ芸能界に居るっていう気持ちがあって、『わあ、この殿のエピソードは面白いな』とか、『ビートたけしが今こんなことしてるな』とか、いわゆるルポライターが芸能界に居るっていう感覚なんですよ、それが山城さんも一流プレイヤーでありながら、ずっとルポライターなんですよ」
宮崎「うん」
博士「そこが、この本の面白さですよね」

水道橋博士がそこまでリスペクトしているとは知りませんでした。まさか「おこりんぼさびしんぼ」復刻、文庫本化のために自らお願いして連載していたとは。あと、私の中で山城新伍さんと言って思い出すのは、ダチョウ倶楽部の竜ちゃんのモノマネです。これも外せません。^^;

おこりんぼさびしんぼ (廣済堂文庫)

おこりんぼさびしんぼ (廣済堂文庫)