笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

ウッチャンナンチャンとオードリーに共通する「清潔感」

ウッチャンナンチャンとオードリー、私は両者の共通点を探さずにはいられません。

なぜならどちらも大ファンだからです。番組を観ていると様々な共通点が見つかり、両者は似ていると考えざるを得なくなり、そして似ているという仮説を補強したいがために、更なる共通点を求めてしまう。そんなサイクルになっている気がします。

最近も、両者に共通するキーワードを見つけました。それは「清潔感」です。

オードリーについて「圧倒的に清潔感がある」と語るバカリズム

2015年11月7日放送「SWITCHインタビュー達人達」(NHK)

今回の出演者はオードリー若林正恭、羽田圭介。

番組のなかで、バカリズムがオードリーの人気の秘密についてインタビューを受けていました。

バカリズム「オードリーはやっぱ、清潔感がすごいあるなと思うんですよ、圧倒的に清潔感があると思いますね

だから2人並んだときの佇まいが美しい。イチャイチャしないけど、若林さんが春日さんを強くイジったり突き放したりしたときに仲の良さが絶妙に透けてくる。コンビ愛もちょうどいいと称賛します。

さらに「性格は歪んでいる」と冷静に分析したあと、でも「お笑いに関してはものすごい真面目だ」と語るバカリズム。

バカリズム「こういうこと言うと嫌がると思うんですけど、仕事が丁寧というか、どこの現場行ってもムラがなく、ちゃんと仕事するし、和菓子みたいなイメージなんですよね、ふふっ、きめ細かいというか、丁寧なんですよ、ものすごく、作りが、もう全てにおいて」

「清潔感」というキーワードを耳にしたとき、ウッチャンナンチャンの姿が目に浮かんできました。

ウッチャンナンチャンについて「ネタにも演者にも清潔感があった」と語る河本瑞貴

2015年4月1日発売『マセキ会長回顧録』(彩流社)

著者は柵木眞(マセキ芸能社会長)、河本瑞貴(ウンナンの恩師)。

河本瑞貴(以下、河本先生)が聞き役となってまとめたマセキ芸能社会長の自伝になります。

マセキ芸能社はウッチャンナンチャン、出川哲朗、バカリズム、ナイツ、狩野英孝、三四郎、ニッチェ、パーパーらが所属している東京の芸能事務所です。河本先生はウンナンの専門学校時代の講師であり、彼なくしてウンナンのブレイクはなかったと言っても過言ではないでしょう。

専門学校時代にウンナンの才能に気付いた河本先生は、マセキ会長に推薦します。

早速、池袋の名和プロダクションの稽古場で、眞会長と名和夫妻を前にしてネタ見せを行った。ところが、会長も名和夫妻も反応は今ひとつ。ピンと来ない、どこが面白いんだろう、という感じである。本人たちもやりにくそうだった。

しかしマセキ会長は、この描写を否定します。ネタをしているウンナンには魅力を感じていたと。そして河本先生の猛プッシュもあって、ウンナンをマセキで預かることにしました。

いつも慎重な河本先生が、珍しくはっきり「あの二人は社長、三年辛抱すればとんねるずさんに続けるかもしれないから」って言いましたよ、そういうふうに。だから私も、ああそうかって。

河本先生は、ウンナンのどういったところに将来性を感じていたのでしょうか。

内村・南原コンビは、ネタ、センス、演技力等、明らかにそれまでの若手芸人とちがっていた。何より、笑いを取るために媚を売るところが一つもない。ネタにも演者にも<清潔感>があった。

その一方で、まだ学生だったウンナンは「自分たちの笑いが観客に通じなかったら、辞めて故郷に帰ればいいし……」と考えていたそうです。そもそも2人は芸人を目指していたわけではないので仕方ないでしょう。

ところが、その淡泊さが逆に良かったのかもしれないと河本先生は分析します。

当時、私と眞会長は「プロになるにしては淡泊すぎるかも……」と心配したが、今思えば、良い意味でのアマチュアリズムであり、それは同時に手垢のついた笑いに対する批評精神でもあった。

かつては「ウッチャンナンチャンのオールナイトニッポン」を、そして現在は「オードリーのオールナイトニッポン」を担当している放送作家の藤井青銅さん。彼のロングインタビューが掲載されている雑誌があるのですが、そのなかで両者の共通点について語っています。

マセキ会長回顧録: 親子三代芸能社

マセキ会長回顧録: 親子三代芸能社

藤井青銅「ウンナンと同じタイプだからオードリーを好きになった」

2015年3月11日発売『新 お笑いラジオの時間』(綜合図書)

両者の「オールナイトニッポン」に共通する部分を尋ねられた藤井青銅さんは、こう答えました。「よく似てるって言われるんですよね」。

藤井 どちらも非・大阪のお笑いコンビで、下品にならないし、わりと女性ファンも多くて、好感度も高くて、元々が似ていますよね。やってる芸は違うけれど、イメージが似てて。見た目もヘンテコな顔をしているわけではなく、ちゃんとした普通の人ですから。ボクはたぶん、ウンナンと同じタイプだから、オードリーを好きになったんだと思います。

藤井青銅さんの言葉で、我が意を得た気分になりました。

さらにオードリーは以前、東京国際フォーラムで約5000人規模のラジオイベントを開催しました。

藤井 このあいだ、『オードリーのANN』でも東京国際フォーラムでイベントをやりましたけど、『ウンナンのANN』では日本武道館でイベントをやったことが大きかったですね。じつはボクの中で、『オードリーのANN』ではウンナンでやったことを全部やろうかなと思ってて、今回のフォーラムも武道館を重ねていたんです。ウンナンで上手くいったことは、オードリーでも全部上手くいくはずだと思っているので

これ以外にも若林さんが「スクール革命」で共演しているウッチャンをどう見ているのかなど、両方のファンにとってはグッと来る話が満載なので、もし未読の方がいましたら是非とも『新 お笑いラジオの時間』を読んでいただきたいです。