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笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

音楽プロデューサー蔦谷好位置が渋谷のスクランブル交差点を泣きながら渡った日

千原兄弟 アメトーク お笑い以外

最近のお笑い芸人が「売れたきっかけ」としてよく挙げる番組はなんでしょうか?

一番多いのは賞レース系の番組でしょう。その効果に疑問を持たれるようになってきていますが、今でも突出した存在なのは間違いありません。オードリーやサンドウィッチマンは「M-1グランプリ」、バイきんぐは「キングオブコント」、ウーマンラッシュアワーは去年の「THE MANZAI」優勝をきっかけにして、テレビの出演本数が急増しています。

通常のバラエティ番組に限ってみると、その筆頭はやっぱり「アメトーーク」でしょう。

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千原ジュニアとタケトと斉藤和義と蔦谷好位置の4人で飲んだ

2012年11月21日放送の「にけつッ!!」。

千原ジュニアとケンドーコバヤシによるフリートーク番組。渋谷のヨシモト∞ホールで収録を行っています。
後輩芸人のBコース・タケトさん(現在は解散してピン芸人)と、自宅で飲んでいたときの話をするジュニアさん。

ジュニア「タケトと飲んでて、ほんでまあ、あの~、連絡が来て」
ケンコバ「うん」
ジュニア「蔦谷好位置(つたやこういち)さんっていう音楽プロデューサーがいるんです、この人ってエレファントカシマシさんとか、Superflyさんとか、数々の方をプロデュースしてる、音楽プロデューサーなんです」
ケンコバ「うん」
ジュニア「連絡があって、『何してるんですか?』みたいな、『今、家で飲んでます』、『え~、行っていいですか?』、『家でよければどうぞ』つって、あの~、『行きます』言うて」
ケンコバ「うん」
ジュニア「たまたま斉藤和義さんと飲んではったらしくて」
ケンコバ「うんうん」
ジュニア「斉藤和義さんと2人で来はった」

なんという豪華な飲み会。
そもそもタケトさんとジュニアさんが一緒に飲んでいたのは、翌日に収録がある「アメトーーク」のためでした。

「アメトーーク」でタケトがプレゼンした企画が採用された

ジュニア「実は、その飲んでた次の日に、『アメトーーク』でタケトがプレゼンした企画があって」
ケンコバ「あ~、はいはい」
ジュニア「売れてる先輩芸人・売れてない後輩芸人っていうので、俺とタケト、ほんで、コバ(ケンドーコバヤシ)とネゴシックス」
(会場笑)
ジュニア「で、ブラマヨの吉田と烏龍パークの橋本君、ほんで、博多大吉君と天津・向っていうこの4組が出る、それをタケトがプレゼンしたんです」
ケンコバ「うん」
ジュニア「言ったら、タケトのネームバリューでその企画が通った、結構すごいことじゃないですか、『アメトーーク』の企画としてタケトがプレゼンしたのが通って、それの収録や!っていうんで、やっぱりタケトは、グワーッとなってる(気合入ってる)んですよ」
ケンコバ「うん」
ジュニア「もしかしたらタケトのココッ!(売れるきっかけ)っていう日になるかも分からん
ケンコバ「あ~、人気番組ですもんね」

「アメトーーク」で結果を出して売れていった芸人が何人もいるので、タケトさんの気合も頷けます。

ジュニア「(ピース)綾部が工場芸人(町工場芸人)みたいな」
ケンコバ「あ~、そうですよね」
ジュニア「出たときに、やっぱココッ!っていう感じやったらしいんですよ、僕はちょっとそれ見れなかったんですけど」
ケンコバ「うん」
ジュニア「みたいなこともあって、『アメトーーク』でも、ココッ!って言ってバーンと行った人、何人もいますからね」
ケンコバ「そうですね、有吉とかも」
ジュニア「有吉とかも、やっぱ有吉の品川に『おしゃべりクソ野郎』って言ったのが、ココッ!っていう、有吉の」
ケンコバ「ホンマに、特大ホームランでね」

で、ミュージシャンにもココッ!と呼べるようなきっかけはあるのか、飲み会のときにジュニアさんは聞いたそうです。

斉藤和義がミュージシャンとしてやっていけると確信したきっかけ

ジュニア「『ミュージシャンにもココッ!ていうのはあるんですか?』って話になったんですよ」
ケンコバ「うんうん」
ジュニア「きっかけがね、ほんならあるって言うねん」
ケンコバ「うんうん」
ジュニア「斉藤和義さんは、すごい良い曲ができた、良い曲というか自分が納得できる」
ケンコバ「うん」
ジュニア「自分がすごい納得できる曲ができて、俺はこの曲が作れたってことはミュージシャンとしてやっていける、って自分の中で思いはった」
ケンコバ「うん」
ジュニア「これが売れる売れない関係なく、俺はすごくこの曲に納得できる」
ケンコバ「これが作れたと」
ジュニア「うん、『だから俺はいける!と思ったんです』と、で、結果それはそんなにムチャクチャ大ヒットはせえへんかったけども、のちのちいろんなミュージシャンが『あの曲ええ、あの曲ええ』とカバーした、それが『歌うたいのバラッド』っていう曲
ケンコバ「はいはい」
ジュニア「『アレを作ったときが、強いて言うならば僕のココッ!ですね』って」

歌うたいのバラッド(弾き語りLIVE in 武道館)

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一方、蔦谷好位置さんのココッ!話は、かなりドラマティックでした。

蔦谷好位置が音楽プロデューサーとして売れたきっかけ

ジュニア「元々はミュージシャンやってはって、バンドやってはったんやけど売れずに解散して、で、良い曲がある、プロデューサーになった、この曲を出したいって言うねんけど、音楽会社が『売れへん、売れへん』言うて、もう全然、門前払いなんですって」
ケンコバ「うん」
ジュニア「で、大きなアーティストが曲出すとなったら、そういういろんな人たちが、ホンマに100曲ぐらい集まって」
ケンコバ「あ~」
ジュニア「1曲選ばれるんですって、そういうコンペがあって」
ケンコバ「はいはい」
ジュニア「何回出しても通らない、その蔦谷さんの曲は全然通らないんですって、残高見たらもう2000円なんですって」
ケンコバ「うん」
ジュニア「これ、いよいよヤバいな~、またアーティストが(曲を)出すって言ってるので、それに出したら、そのアーティストが『この曲を10年待ってた』って言って・・・それが通るんですって」
ケンコバ「ええっ!?」
ジュニア「ほんで、渋谷のスクランブル交差点歩いてたら、その蔦谷さんが作った曲がブワー流れてきて、それをもうブワー泣きながら、スクランブル交差点渡ったって言うんですよ」
ケンコバ「残高2000円やったらホンマに泣きますわね」
ジュニア「ね、それが元JUDY AND MARYの、YUKIさんの『JOY』って曲なんです
(会場どよめく)
ケンコバ「あ~、これを10年待ってたと」
ジュニア「うん、YUKIさんはこれを10年待ってたと、どこのレコード会社行っても『売れへん、売れへん』言われてた、その曲をYUKIさんはコレや!つって、それが(渋谷の街から)流れてきて、そっからそのあと8作連続で、蔦谷さんが曲を作ることになるんですって」
ケンコバ「うんうん」
ジュニア「だから、『僕のココッ!は、JOYです』って」

JOY

JOY

そんなミュージュシャン2人に応援してもらって、「アメトーーク」の収録に臨んだタケトさん。

ジュニア「ほんで本番、『アメトーーク』終わって、楽屋帰って(ケータイ)をパッて見たら、もう斉藤さんと蔦谷さんから」
ケンコバ「まあ気になるでしょうね」
ジュニア「『タケトさん、どうでした?今日どうやったんですか!?』って、ま、コバもおったから分かってると思うんですけど」
ケンコバ「はい」
ジュニア「タケト、普通でした」
(会場笑)
ケンコバ「ははははっ!」

売れるきっかけをつかむ人は、売れてない人です。当たり前ですけど。
売れたきっかけ(ジュニアさん風に言うならココッ!)話で名前が挙がった「アメトーーク」やYUKIさんには、まだ世に出てない才能を見つける能力と、それを引き上げる勇気が備わっているんだと思います。

最近は、自前で才能を見つけてくる「売れるきっかけとなり得る番組」が少なく、よそから売れた人を借りてくる番組が多すぎるのかもしれません。私は、バラエティ番組で売れるきっかけをつかむ瞬間を見てドキドキしたいです。