笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

「三宅裕司のいかすバンド天国」は第2のサザンを探していた?

「やっと逢えたね」。

2013年2月9日深夜3時、辻仁成が中山美穂と出会ったときに囁いたとされる名言で始まった「ダイノジ大谷ノブ彦のオールナイトニッポンR」。私は録音しておいたのを後日聞くつもりでした。

が、翌日ツイッターを見たら、放送の中でこのブログの名前が出ていたと言うではありませんか。私は急いで録音を確認。冒頭でチラッとですが、「面白いんだよね~」と。聞いた瞬間、全身が震えました。ブログを続けてきて本当に良かった……。

この放送から1ヶ月後、大谷さんが「オールナイトニッポン」新パーソナリティに選ばれたという公式発表が。4月から水曜日の1部を担当するそうです。GyaOが「ヨシモト∞」を配信していた2007年頃、私はダイノジのトークを見て虜になり、過去のアーカイブを根こそぎ視聴していたので、今回の発表は本当に嬉しいです。

そのきっかけとなったであろう「オールナイトニッポンR」では音楽の話、特に洋楽について語っていた大谷さん。音楽に対して熱を持つようになったのは、中学時代に出会った相方の大地(おおち)さんの影響が大きいと言います。

14歳のときパンクロックに出会って音楽に目覚めた

2013年2月9日放送「ダイノジ大谷ノブ彦のオールナイトニッポンR」(ニッポン放送)

パーソナリティはダイノジ大谷ノブ彦。

14歳のとき、同級生の大地さんの家に泊まりに行って、

大谷「そんときに初めて、大地に『レコード聴くべ』って言われて、パンクロック、初めてパンクロック聴いたときの衝撃忘れられない、それがすげ~格好良いとか、格好悪いとかってことよりもまず、こんなのアリなんだ!ってこと……だって全然テレビから流れている音楽ほど、なんて言うんだろう?キレイじゃないし、音はもうザクザク汚ねぇし、言ってることはがなってる、でも、こんなのアリなんだ!って思った瞬間に……あっ、俺の好きなビートたけしのラジオに似てんじゃんって思って、そっからどっぷり音楽」

その流れで、ザ・ハイロウズ「十四才」の話に。

これも本当に熱くて良い話なのですが、今回はそれではなく生配信番組「よしログ」でしていたバンドブームの話を紹介させて下さい。

ダイノジが14歳のときはバンドブーム前夜

2012年4月4日配信「ダイノジのよしログ」(GYAO!)

出演者はダイノジ(大地洋輔・大谷ノブ彦)。

この配信前の仕事の内容がそうだったからってことで、日本のロックシーンについて語り合うダイノジ。

大谷「俺と大地さん元々、ねえ、初めて大地家に泊まりに行ったときにね」
大地「うん」
大谷「教えてもらったの、バンドのことでしたから」
大地「はいはいはい」
大谷「大地がすっごい教えてくれたんで」
大地「なんか当時、友達でこう、『俺はこのバンド聴いてるよ、知ってる?』とかって」
大谷「ありました、僕ら、その~ちょっとひも解きますと、若い方たちにも分かりやすく説明しますけど、僕たちが14歳のときは」
大地「14歳のときね」
大谷「世も世で、要するにバンドブーム前夜、だったんですよ」

邦楽ロックの歴史を彼らなりに振り返っていきます。その中で、バンドブームの話にもなりました。

大谷「1990年に入る直前かな?いや違うや、1985年から……(198)6、(198)7年ぐらいの話かな?バンドブームが来たときに、まずさっき言いましたけど、ブルーハーツ、レベッカ、BOOWYというものが非常に大衆性を獲得して」
大地「うん」
大谷「チャートの中に、上位に入るわけですよ、バンドは金になる、みたいになるわけ」
大地「はいはい」
大谷「そっから、もう要するに米米クラブとかそうだけど、面白いコトしているライブ、ライブハウスにレコード会社が大挙して」
大地「もうどんどん行ってね」
大谷「もう、すぐデビューですわ!」
大地「ちょっとお客さんが集まったら」
大谷「集まったらもう、すぐ!」

バンドブームを語る上で外せないのが、TBSで深夜に放送していた「三宅裕司のいかすバンド天国」。

大谷「今思ったのはね、ちょっとしゃべりながら気付いたんだけど」
大地「うん」
大谷「あの~バンド天国、『いかすバンド天国』」
大地「イカ天ね」
大谷「イカ天ってあったじゃないですか、で、アレって、司会が三宅さんってことは」
大地「三宅裕司さん」
大谷「アミューズ(芸能プロダクション)なのよ、分かります?」
大地「ほぉ~」
大谷「アミューズって何かと言うと、渡辺プロから独立した大里さんって人が始めたちっちゃな会社だったんです、今、ちなみに紅白歌合戦に一番アーティストを出してるのはアミューズです」
大地「うん」
大谷「代表的なアーティストは、サザンオールスターズ、つまり大里さんが……ナベプロというでかい組織から出て行ったときに、キャンディーズを育てた男ですよ、その大里さんが人生賭けて育てようと思った人は、桑田さん」
大地「うん」

ここで、大谷さんがある説を提唱します。

コミックバンドの行き着く先

大谷「桑田さんっていうのはさ、最初コミックバンドだったわけじゃない」
大地「はいはいはい」
大谷「で、3枚目の『いとしのエリー』で、この人音楽的にも、本当に普通の感動できる歌を作れるっていうのを証明して、モンスターバンドに変身するわけですよ」
大地「うんうん」
大谷「この後アミューズに入る代表的なバンド、爆風スランプ」
大地「あら」
大谷「最初コミックバンドですよ、やがて『Runner』とか」
大地「イイ歌をボンッと出す」
大谷「そう、普通のストレートなメッセージソング歌うんですよ」
大地「お~、確かに」
大谷「米米クラブ、最初コミックバンドです、それがやがて『浪漫飛行』、イイ歌出すことによって国民的なバンドに変身していくんですよ」
大地「なるほどね~」
大谷「つまり、ある種のグループバンドサウンドのね、その~たくさんいる、人数の多いバンドかもしれないけど、バンドの、ある種のコミックバンドの行き着く先ってのは、ギミックを一気に出した後に、突然シリアスなモードで直球の曲をちゃんと届ける、そういうアンセムを作るんですよ、そうすると一気に国民的なバンドになるっていうマジックみたいなのがあって
大地「うん」
大谷「それを思ったときに、『三宅裕司のいかすバンド天国』ってアミューズが作ってるわけでしょ、つまりコレって、第2のサザンオールスターズを作るための……」
大地「なるほど」

あくまで説だと大谷さんは強調した上で、

大谷「だから最初はFLYING KIDSが(イカ天)出たとき、すごい本格的だったわけじゃない」
大地「うん」
大谷「黒人音楽をこんな風に切ないサウンドにできるんだ、スゴイ!みたいな感じだったけど」
大地「はいはい」
大谷「徐々に、たまとか、ネタっぽいなんかあったじゃん?あの~、ナントカ社長の」
大地「ああ、宮尾すすむと日本の社長、『二枚でどうだ』」
大谷「ふふふっ、ちょっとこう、ネタっぽい人たち?あの~、宮尾すすむと日本の社長のボーカルの人が、今フジテレビらしいね」
大地「社員さんで?」
大谷「そうそう」

この後、ユニコーンやレピッシュにも言及していって、大いに盛り上がる2人。しかし、視聴者を置いてけぼりにしていないか気になり、コメントを確認すると、

大谷「(モニターの視聴者コメントを見て)あっ、『じゃあ次はアミューズ初の芸人、福田彩乃が感動的なモノマネを始めたりするかも』」
大地「なるほど!」
大谷「面白いこと言うね~」
大地「アミューズ初なんだ、あの子」
大谷「アミューズって確かにさ、芸人がいなかったイメージあるね」

ここからまたさらに、アミューズ所属のロックバンド「ONE OK ROCK(ワンオクロック)」の素晴らしさを語り始めたりして、最後まで熱い音楽トークが続いたのでした。