笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

「爆笑ヒットパレード」で芸人としてのプライドを見せたダチョウ倶楽部

2012年の大晦日、私は下北沢にある本多劇場に向かい、そこで新年を迎えました。

「山里亮太の108~今年の煩悩、今年のうちに~」というカウントダウンライブを観に行ったのです。

「山里亮太の108~今年の煩悩、今年のうちに~」で年越し

23時開演。舞台に登場した山里さんは、「他にも年越しイベントがあるのに、なぜココに!?」と自虐的に仰っていましたが、3時間以上のひとりしゃべりに私は笑いっぱなしでした。

さらにライブ後、山里さんが年賀状にサインして、会場に来たお客さんに直接手渡しすると言います。まさかのサプライズイベント。緊張してありきたりな言葉しか出てこなかった私に、「また来てね」と笑顔で語りかけてくれた山里さん。

そんな山里さんの優しさに触れて、本多劇場を出たのが朝の3時半。終日運行している電車に揺られながら家に到着。幸福感いっぱいで布団に入ったのが朝の6時ぐらいだったでしょうか。午後までぐっすり眠った後、特に予定もないので、録画した「爆笑ヒットパレード」を見てだらだら過ごす。そんな感じで元日は終わりました。^^;

今回は、その「爆笑ヒットパレード」で見たダチョウ倶楽部のネタについて書きたいです。

「爆笑ヒットパレード」で新ネタを披露したダチョウ倶楽部

2013年1月1日放送「第46回爆笑ヒットパレード2013」(フジテレビ)

司会はナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)。

若手からベテランまでたくさん芸人が出てきて、ネタを披露する第1部にて。「続いては、3人が織り成すギャグはもはや伝統芸能の域です」と加藤綾子アナに紹介されて、ダチョウ倶楽部が登場。

彼らの代表作であるコント「もしもゲームセンターみたいな靴屋さん」が今年も見られるとワクワクしていたら、リーダー肥後さんが「もしも年賀状を書いてくれる店があったら」とタイトルコール。なんと新ネタではありませんか!(おそらく)。

「爆笑ヒットパレード」は芸人の運命がかかった賞レースではなく、お祭り番組です。新年の挨拶がてらネタを、みたいなノリだと思うんです。ましてやダチョウ倶楽部ほどのベテランならば、定番のネタをやったとしても全然問題ないですし、逆にそれを期待する人も多いでしょう。そう、伝統芸能を見る感覚で。

にも関わらず、新ネタを持ってきたダチョウ倶楽部。年賀状を書くという設定、巳年(へびどし)に絡めたボケ、今をときめくローラやスギちゃんのフレーズを引用したりと、まさにこの場で披露するために用意してきたネタでした。

ダチョウ倶楽部のネタを見ていたら、あるラジオ番組で語られた肥後さんの姿が浮かんできて……

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ダチョウ倶楽部のリーダー肥後が泣いた夜

2003年6月19日放送「さまぁ~ずの逆にアレだろ」(TBSラジオ)

パーソナリティはさまぁ~ず(大竹一樹・三村マサカズ)。
ゲストはダチョウ倶楽部の上島竜兵、土田晃之、有吉弘行。

関東芸人祭・太田プロナイト。リスナーから「ダチョウ倶楽部はどうやってネタを作っているのか?」といった内容の質問が来て、

上島「いや、みんなで、3人で(ネタ作りしている)」
大竹「あ、そうですか、ネタ作りは」
上島「(土田の冷めた視線を感じて)何だよ、いや、3人で仲良くね」
三村「ふふふっ」
土田「100%リーダーじゃないですか!」
(スタジオ爆笑)
上島「いやいや、これは、正直に言いますよ、一応3人で作ってるんですね、寺門も(ネタ)持ってくるんです」
土田「はい、そうですね」
三村「3人で机合わして、会議で」
上島「うん、大筋書くのがリーダー」
土田「まあリーダーですね」
三村「何してるんですか?上島さんは」
上島「俺は酒飲んでだね」
(スタジオ笑)

当時、太田プロの稽古場に酒がいっぱいあることがバレて、ちょっと問題になったそうです。^^;

そして、ネタ作りに関して見せたリーダー肥後さんの意外な姿について、上島さんが語り始めます。

上島「だからウチはね、でもね、本当ネタはね……だから、これはもう言っちゃうけど、リーダーも酔っ払って言ってたからいいんだけどね」
大竹「ええ」
上島「元旦にやったじゃないですか」
大竹「はいはい」
上島「僕らと、さまぁ~ずと、あとホンジャマカ、爆笑(問題)さんとやったじゃないですか」
大竹「ええ」
上島「で、やったときに、さまぁ~ずはもう新ネタだった、ドーンと」
三村「そうですね、昔のネタじゃなかったですね」
上島「うん、やっぱり一番ウケた!さまぁ~ずが」
大竹「ふふふっ」
上島「で、俺らはちょっとその、ゲームセンターみたいな靴屋ってネタをちょっと変えたんだよね、変えてちょっとやったんだけど」
三村「新作も入れたんですよね?」
上島「新作っちゅうか……ちょっとそれに色を付けてね、うん」
大竹「ええ」

さまぁ~ずは新ネタをやった。しかし、ダチョウ倶楽部はおなじみのネタをちょっとイジってやった。

上島「でまあ、みんなそれぞれにウケたんだけど」
大竹「はい」
上島「リーダーがさ、悔しがってさ……悔しがってって悪い意味じゃないよ、泣いたんだよね
大竹「あっ、そうなんですか!?」
三村「俺、その話聞いた」
上島「元旦じゃないな、元旦明けだな、ボロボロ泣いて、うん、悔しいって悪い意味の悔しいじゃなくて」
大竹「闘争本能の」
上島「負けたと」
大竹「はい」
上島「それから結構、今はなんか『ネタ作ろう、ネタ作ろう』って、一番鬱陶しがってたヤツが言うのね」

お酒が入っていたとしても、肥後さんが悔しがって泣く姿は意外でした。

三村「俺だから、肥後さんってね、そういうの言うイメージなかったんだけど、こないだだから……」
上島「なっ、一緒にな」
三村「たまたま押しかけて、俺が押しかけて、竜兵会のなんかメンバーに入ったときに」
大竹「あ~、ありましたね」
三村「(肥後)『三村、ちょっと俺はもうね、すごい悔しい思いをしたんだ』と、正月に」
大竹「ふふふふっ」
三村「結構マジなトーンでね」
上島「ホントホント、くふふっ」
三村「(肥後)『俺は本当悔しい』と、『いやいや、でもいいじゃないですか、みんなで……』、(肥後)『いや、あれは負けた!』みたいな、肥後さん格好いいな!と、逆に」
上島「ふふふっ、だからよっぽどショックだったんだね、あんときね」
大竹「あ~」
上島「うん、その前までは『ちゃんとネタ作ろう』って言ってたんだけど、もうその後は、適当に個人の仕事も増えだしたら、ネタ作ってもやる場所もないし……みたいなノリになってたんだけど」
大竹「まあ、そうですよね」
上島「もう最近急に、やっぱり新ネタ、なんでもいいから新ネタ作んなきゃ、みたいなノリになってるもんね」

第一線で長く活躍している人は、過去の栄光にあぐらをかくことなく、ずっと走り続けているんでしょうね。ダチョウ倶楽部の芸人としてのプライドをひしひしと感じた、2013年の元日でした。

今年もこんな感じで妄想を織り交ぜながら更新していくので、どうぞよろしくお願いします。