笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

彼女に乗り換えられた男の気持ちを考えると夜も寝れないケンドーコバヤシ

先日放送された「アメトーーーーーーク!勉強と部活と女の子で秋の陣…そこは逆SP」。

私は録画で見たんですが、途中で休憩することなく3時間テレビ画面に釘付けでした。やっぱり「女の子苦手芸人」のケンコバは最高だな……と噛みしめながら、しばらく余韻に浸っていた私。

そんなこともあって今回は、私が印象に残っているケンドーコバヤシさんのエピソードを紹介させて下さい。

「アメトーーク」女の子苦手芸人で芸人の心の闇が浮き彫りに

2012年4月5日放送「アメトーーク」(テレビ朝日)

司会は雨上がり決死隊(宮迫博之・蛍原徹)。
テーマは「女の子苦手芸人」。
メンバーはケンドーコバヤシ、有吉弘行、バカリズム、オードリー若林、ピース又吉、はんにゃ金田、アンガールズ田中。
女性ゲストは大島麻衣、トリンドル玲奈。

女性が苦手になった原因や、女性で失敗したエピソードを発表していきます。それが話せば話すほど、メンバーの心の闇が浮き彫りになるという結果に。中でも心の闇が深かったのが、ケンコバさん。宮迫さんから「漆黒の闇」と形容されてしまうほど。

ケンコバ「このままでは……イカンと皆思うでしょ?今の僕見て」
蛍原「まあまあそうやな」
ケンコバ「そう思った故に去年、2011年、一念発起してちゃんと出会いの場にも顔を出し、気に入った子がいたら連絡先を交換して、で、2人でご飯行ってっていうのを4回したんです、1年で」
蛍原「おお!やってるやん」
ケンコバ「信じられへんことがあったんですけど」
宮迫「なに?」
ケンコバ「……4人とも彼氏いたんです」
(スタジオ「え~!」と驚きの声)
宮迫「コワッ!」
ケンコバ「なんか結構ベロベロに酔っ払っちゃって、女の子が『もっと私のこと知って欲しい!』とか言うから、『来た!来た!』と思って」
宮迫「お~、来たな」
ケンコバ「冗談みたいに、ジャブみたいに、『えっ、じゃあ、彼氏おるの?』言うたら、『うん、いるよ』って言われて、『え!?』」
(スタジオ笑)
ケンコバ「っていうか……」
蛍原「うん」
ケンコバ「彼氏おるんやったら、来んといてほしい!

周りは食事に来た女性に一定の理解を示そうとしながらトークを進めますが、もう止まりません。

彼女に乗り換えられたとき部屋で球になったケンドーコバヤシ

蛍原「その~、どういう状態の……(彼氏)おる、おらんっていうのがあるやんか」
ケンコバ「僕の受け止め方ですけど、いろいろいましたよ、本当に『あっ、俺に乗り換えようとしてんねんな』っていう、明らかにそういう子もいたし」
宮迫「それは……アカンの?」
ケンコバ「それは絶対イヤですわ、だってその男(彼氏)のこと考えたら俺もう寝れないっすよ、可哀想すぎるじゃないですか!」
宮迫「あ~」
ケンコバ「多分、俺もそうやったんやろうな?っていう経験ありますし、そんとき俺……丸まりましたからね!部屋で」
(スタジオ爆笑)
ケンコバ「おそらく(彼女に)乗り換えられたとき、皆さんどうします?俺はただ単に部屋で丸まりましたよ!」
(スタジオ笑)
ケンコバ「ただの球(きゅう)!」

真面目な顔して平気で嘘を言うケンコバさん。それが面白くて魅力的なのですが、このときの発言に嘘はないと私は思います。

その根拠は、このアメトーークの3ヶ月後に放送された「ざっくりハイボール」です。

ケンコバ伝説~星になった言葉たち~

ケンコバ伝説~星になった言葉たち~

「ざっくりハイボール」でコンビ解散の真相を語る陣内智則

2012年7月14日放送「ざっくりハイボール」(テレビ東京)

レギュラーは千原ジュニア、フットボールアワー、小藪千豊。
ゲストはケンドーコバヤシ、陣内智則、桂三度(渡辺鐘)、バカリズム。

土曜の深夜に放送している吉本制作のバラエティ番組です。この日の企画は「ザ・決着!芸人ガチ喧嘩コンビ解散SP」。芸人のコンビ解散にスポットを当てたドキュメント企画。ジュニアさん以外のレギュラーも含めて、みんな一度はコンビ解散を経験している人たち。

1992年にお笑いコンビ「リミテッド」を結成した陣内さん。そのコンビが解散した理由を聞いていきます。

ジュニア「陣内さんは……バツイチ?」
陣内「ん?どっちの話をしてるんですか?はい、バツイチですけど」
フットボールアワー後藤(以下、後藤)「ということは、足すとバツ2」
陣内「なんで足すねん」
(スタジオ笑)
陣内「男と女が別れる以上に、なんか切ないですよね、この解散って」
ジュニア「本来は目的が一緒だったはずの男2人が、まあいろんなことがあって別れるというね、芸人だけじゃないですか?男同士でこんなことがあるっていうのは」
後藤「そうですよね~」
ジュニア「喧嘩になったりするんですか?」
陣内「いや、あのね~、元々同級生で入ったんで、仲良かったはずなんですけど、やっぱりウケない……というところから相手のせいにし始める、一番悪いパターンなんですけども」
後藤「分かるわ~」
陣内「そっから会話がなくなっていく、もう同じ楽屋にいるのもイヤになる、で、そもそも『リミテッド』っていう言葉も知らんと付けたんですけど、調べたら『限界』っていう意味やったんですね」
(スタジオ笑)
陣内「絶対アカンやん!言うて」
後藤「縁起でもないわ」

最終的には殴り合いの喧嘩にまで発展して、1995年に「リミテッド」は解散。陣内さんはピン芸人として活動していくことに。

陣内智則と同じ時期にコンビを解散しているケンドーコバヤシ

一方、1992年に「松口vs小林」を結成したケンコバさんも、陣内さんと同じ時期にコンビを解散しています。

ジュニア「コバヤシさんはバツ2?」
ケンコバ「バツ2です」
ジュニア「まず1回目、『松口vs小林』」
ケンコバ「そうです、はい」
ジュニア「今はだから、ハリガネロックのユウキロックが」
ケンコバ「これはね、あの~……まあ、ちょっと寂しい話なんですが、『お前とやってたら絶対売れない』と言われたんです」
ジュニア「えっ、松口から?」
ケンコバ「はい、でも僕に責任があったと思います、1本交代でネタを書いてたんです」
ジュニア「はい」
ケンコバ「僕がそんときに書いていったネタが、下着泥棒同士が殺し合うみたいなネタで」
(スタジオ笑)
後藤「なんちゅうネタやねん」
陣内「松口、そんなん大嫌いやからな~」
ケンコバ「『悪いけど解散してくれ』と」
ジュニア「突きつけられたんや、三行半(みくだりはん)を」
ケンコバ「はい」

1995年に「松口vs小林」解散。それからしばらく吉本から離れるケンコバさん。ジュニアさんは「コバヤシどこ行ったんや~?」って言っていた時期があった、と。

同期で仲良しのケンドーコバヤシと陣内智則

その空白期間、ケンコバさんはずっと実家に居たことを明かす陣内さん。

陣内「当時、そのときは、ずっと僕の家に車乗って来るんですよ」
ジュニア「ほぉ」
陣内「夜中に、寂しいから、ほんでちょっと『陣内、ドライブしよう』って夜中に行って、2人でなんもしゃべることなくコバヤシが運転して、『あの中学校、俺の母校やねん』とか言われながら、全然オモロないドライブするんですよ」
ケンコバ「僕に縁もゆかりもない中学、指差して言うてたんです」
(スタジオ笑)
陣内「俺、なんやねん!」
ケンコバ「はっはっはっはっ」
ジュニア「両方、生産性ないやん」
(スタジオ笑)
ケンコバ「ほんで!あの~、次の相方に電話したんですよ、養成所時代一緒やったヤツ」
ジュニア「あっ、コバから誘ったんや」
ケンコバ「そうです、はい、次は僕から誘ったんですよ、村越(周司)っていう

1995年、その村越さんと新コンビ「モストデンジャラスコンビ」を結成して、再出発したケンコバさん。

真っ直ぐな男、ケンドーコバヤシ

ここでフットボールアワーの後藤さんから疑問が。

後藤「僕ずっと思ってたんですけど、めちゃくちゃ仲良いじゃないですか、コバヤシさんと陣内さん」
ケンコバ「うんうん」
後藤「解散する時期もあの~、前の『松口vs小林』と……」
ケンコバ「あっ!それね」
後藤「『リミテッド』さんが解散する時期って、結構一緒じゃないですか」
ジュニア「そうか!おんなじ時期や」
後藤「それ、コンビ組もうと思わなかったんですか?」
ケンコバ「若干そこね、男と女みたいな話になったんですよ」

同期でめちゃくちゃ仲が良い2人。コンビを解散したのがほぼ同じ時期。ならば、なぜコンビを組まなかったのか?その答えは、ケンコバさんの真っ直ぐな性格にありました。

ジュニア「だってお互いピンやろ?」
陣内「僕ピンで……」
ケンコバ「いや!それがね、ちょっとズレたんですよ」
ジュニア「ほぉほぉ」
ケンコバ「僕が解散を先にして、で、村越に連絡を取ったんですよ、そんときに(陣内に)『解散した』って言われて
陣内「あ~、そうやわ」
ケンコバ「まあ……ぼんやりちょっとなんか、そういう空気みたいになったときに」
後藤「(嬉しそうに)おお~」
ケンコバ「アカン、俺、村越に連絡してるわ……って」
陣内「はっはっはっはっ」
ジュニア「え~!?コバ、ちょっと思ったんや、陣内と(コンビ組もうかなって)」
ケンコバ「いや、陣内が薄っすらなんか……『お前もひとりやろ』みたいに
陣内「なんかそんな、甘噛みというか」
ケンコバ「ちょっと甘噛み的な」
(スタジオ笑)
陣内「『好きな子おるの?』みたいなことなんですよ」
ケンコバ「そうそう、言うたら『好きな子おるの?』みたいな」
後藤「カップルや、カップル」
ケンコバ「断ち切らなアカン!と思って……」
ジュニア「そこがコバと塩谷瞬の違いやな」
(スタジオ爆笑)

ケンコバさんのアメトーークでの発言「彼女に乗り換えられた男の気持ちを考えると夜も寝れない」。

この「男」を「村越さん」に置き換えてみれば、ものすごく納得できると思うのです。仲が良かった陣内さんからの誘い的なモノを断ち切った理由が。本人がいくら隠そうとしてもにじみ出てしまう真面目さ、真っ直ぐさ。きっとそういった部分にも惹かれて、私はケンコバさんのファンなのでしょう。