笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

グラビアアイドルの完成形は小池栄子

木曜日の深夜に放送していた「フジテレビからの~!」。私はこの番組を欠かさずチェックしていました。

フジテレビの番組宣伝のための番組なんですが、そこから派生させた「からの~」で無理やりこじつけた企画に遊び心があって、非常に面白かったんです。ザキヤマさんの司会っぷりも楽しみのひとつでしたね。

企画の例を挙げると、ドラマ「マルモのおきて」の宣伝からの~「マサヨシのおきて」で、実話ナックルズ発行人久田将義さんに密着。他には「あいのり2 カンボジア編」の宣伝からの~「カンニング竹山にうまのりドッキリ」。もう強引なこじつけでやりたい放題。でもそれが最高でした。

この番組の中盤には「アイドリング!!!」が差し込まれていて(多分CS放送のダイジェスト版だと思うのですが)、私が今でも記憶に残っている放送回があるので、今回はこちらを紹介させて下さい。

「アイドリング!!!」がバラエティで活躍するために必要なこと

2011年12月15日放送「アイドリング!!!」(フジテレビ)

司会はバカリズム。
ゲストは鈴木おさむ。

この日はテレビ業界の第一線で活躍する業界人に話を聞いて、今後の活動に役立てるという企画でした。その名も「業界人グ!!!」。そして、放送作家の鈴木おさむさんが業界人としてゲストで登場。

アイドリング!!!6号・外岡えりかさんと、20号・大川藍さんの質問がモニターに表示されます。

バカリズム「6号・外岡さん、20号・大川さんからの質問、急に振られたとき、とっさに面白い答えを言えるようになるには?」
外岡「アイドリング!!!5年間やってて、今6年目なんですけど、未だにトークの仕方とか分からなくて、構えちゃって」
鈴木「あ~、はいはい」
外岡「考えすぎちゃうから、とっさに出て来なくて」
鈴木「これ、考えちゃダメだってよく言いますよね」
バカリズム「あ~、言いますね」
鈴木「萩本欽一さんがよくオーディションを、素人に近い子もそうですけど、オーディションするときに考えた人を落としてく
(驚くアイドリング!!!)
バカリズム「あ~、なるほど」
鈴木「うん、だから欽ちゃんが『考えちゃダメ』って、よく勝俣さんがパロディっぽく言うけど、あれはマジだって言いますよ」

欽ちゃんのこのオーディション方法はけっこう有名ですね。

鈴木「そんなことが大事みたいです、だから思い付いたことをすぐに言うってことが……だから振られてすぐに考えちゃうじゃないですか?」
外岡「はい、考えちゃう」
鈴木「それがダメだって言いますけどね、芸人さんとは違うから、なんかアイドルの子とか素人さんはそれが大事だって言いますけど」
バカリズム「考えちゃうんだよね、いろいろね」

芸人とは違うのに、コメントを求められたときに構えてしまう原因について。

小池栄子「ウンナンさんとの出会いは大きい」

鈴木「あの~、グラビアアイドルの完成形って小池栄子さんだと思ってるんですよ
バカリズム「あっ、そうですね」
鈴木「あの人を抜く人は出てきてないなと思って、あの人は究極の形だと」
バカリズム「はい」
鈴木「あの人たちが確変を起こしちゃったんで~、こうグラビアアイドルがMC(司会)したりとか、みんなしっかりしてなきゃいけないっていう」
バカリズム「そうですね」
鈴木「もっとなんか(アイドルは)しようがなくていいんじゃないかな?って思うんですけどね~、あの~、上手すぎないほうがいいかなと」
(うなずくアイドリング!!!)

みんなが小池栄子さんのようなタイプを目指す必要はない、そもそもあれは究極の形で無理だ、ということでもあるんでしょうね。

余談ですが、小池栄子さんが「MSNエンタメ 美女に直撃!思い出テレビ」でインタビューを受けています。

vol.6 小池栄子さん「刺激的で楽しい女優業に夢中です」MSNエンタメ

「芸能活動の転機になった番組はありますか?」の質問に、

「ウッチャンナンチャンのウリナリ!」(1996~2002年)でのウンナンさんとの出会いは大きいです。南原さんも内村さんも、番組で起用した女の子を10年後も活躍できるタレントにしようという目標を持っていらっしゃる方なんですよ。番組オーディションの時に南原さんもいらして、私が「一生懸命努力します!」と大声で言ったのが印象的だったみたいで。初対面で「俺やおまえはパッと花咲くスター型じゃないけど、コツコツやる才能を与えられたんだから、コツコツやる気持ちをこの番組で生かしなさい」とアドバイスをいただいたんです。

と答えています。

話を戻しまして、鈴木おさむさんは、あるライバルの出現でグラビアアイドルも段々テレビに出れなくなって来てると言います。

小池栄子2001 IBIZA×TOKYO

小池栄子2001 IBIZA×TOKYO

グラビアアイドルの役割を女芸人が担うようになった

鈴木「昔よりグラビアアイドルがテレビ出なくなったのは、なんでか?って言うと女芸人が増えたからですよね」
バカリズム「あ~、そうですね、増えましたね」
鈴木「うん、あの~、昔はグラビアアイドルで結構お笑い(番組)もいっぱい出てたじゃないですか、だけどここ5年、6年、女芸人でキレイな人も出てきちゃったし、だからそういう人がグラビアアイドルのライバルになったから、すごく女の人が減ったなって思いますよね」

では、アイドルグループ「アイドリング!!!」は、今後パッとするためにはどうしたらいいのか?

鈴木「非常に難しいんですよね、芸人さんと違って面白いネタを作り続けていればいいとか~、よく僕、役者の子からも相談受けるんだけど」
バカリズム「はい」
鈴木「役者の人もどうしようもないですもんね、どんだけ鏡の前で練習したって……って思いますけど、でもアイドルの場合は、まあこういう場が与えられてるわけですから、やっぱ空気読んだもの負けだなと思いますね、空気読むって言葉が一時期流行りましたけど、読みすぎて活躍出来なかったりとかありますよね
(聞き入るアイドリング!!!)
鈴木「そこがすごく難しいとこですけど……うん、頑張って欲しいところですけどね~」

この話題にアイドリング!!!16号・菊地亜美さんと、13号・長野せりなさんが参加。

空気を読まずに打席にたくさん立って、キャラクターを定めていけ

菊地「読みすぎて出れないほうが後悔しますもんね」
鈴木「そうそうそう、読みすぎて出れないのが一番もったいないと僕は思いますけど」
長野「今、私それなんですよ!」
(スタジオ笑)
バカリズム「(ニヤニヤしながら)おめえ、空気読んでんの?」
長野「うん」
バカリズム「読めてないよ、別に」
(スタジオ爆笑)
長野「一生懸命読んでるんですけど、一番最初に私この番組出たときに、空気読まなすぎてぶっ飛んだことをしてしまって、そっから奥手奥手に入って……」
鈴木「あ~、でもね、それが一番ダメなパターンですよ」

空気読まなくて痛い目に会い、自信をなくしてしまった。そう打ち明ける長野さん。

鈴木「いっぱい数打って、空気読まないけど多分、何回かやっているとウケることがあるんですね、きっと、それを掴むまで結構……アイドルは大事じゃないですかね」
(うなずく長野)
鈴木「結構いますもんね、キャラクターがどんどん変わっていくアイドルの人が、テレビ出てて失礼な言葉が……だからローラのキャラも随分変わったなって思いますけど、なんかそういう風に自分でキャラクターを定めていく感じがあるんでしょうね」

さらに、

鈴木「例えばアイスがいっぱいあるじゃないですか、コンビニに、何でそのアイス買うのか?っていうところだと思うんですよ」
(聞き入るアイドリング!!!)
鈴木「で、みんながアイスだとして、何で私はアイスとして買ってもらってないんだろ?って考えるんですよね、多分普通のバニラアイスだとか、他と違って正直美味しくなさそうだとか」
菊地「はい」
鈴木「だから他と違うところがやっぱり、明確にキャラクターがないとなかなか(テレビに)呼ばれないですよね」

空気を読まずに打席に立ち続ける。そこで自分が打てる球を見極めて、キャラクターを定めていく。それに加えて、そのキャラクターには他とは違う明確な部分が必要と訴える鈴木おさむさん。

ですが、そうではない売れ方をした珍しい女性芸能人が1人いると言います。

鈴木「あっ、こういう売れ方珍しいな~と思うのはSHELLYですね
(納得するアイドリング!!!)
鈴木「なんかSHELLYみたいにすごく、キャラクターがぶっ飛んでるわけでもなく、結構普通だけど……でも彼女上手いですよ、それこそ空気を読むタイミングも上手いんだけど、ああいう風に売れるのはすごく珍しいな~と思いますけど、まあでもキャラクターが強い人ですよね」

SHELLYさんは、いわゆる小池栄子さんタイプとして売れた珍しい例ってことなんでしょうね。

チャンスを掴みたければ人からの誘いを断るな

チャンスの場面で打席に立たなければ意味がありません。では今がチャンスであることを見極めるにはどうしたらいいのでしょうか?

鈴木「『チャンスってどうやったら来ますか?』ってよく聞かれるんですよ、でも、チャンスの形とかって自分の目には見えなかったりするし、意外な所だったりするんですよ、だからいろんな付き合いがあって、今日人に誘われて断ってるのがチャンスかもしれないですよね」
アイドリング!!!3号遠藤舞(以下、遠藤)「そうか~」
鈴木「だから、『今日来てなかったら、俺この仕事なかったんだ』っていうことが結構あるんですよ」
遠藤「へぇ~」
鈴木「で、チャンスもあるし、いろんな人と、え~と例えば、せっかくこういうところでいろんな人と知り合えてるんだから、ちょっと嫌いだなって思っても飯食いに行ったりとかすると……とにかくなんか、カッコいいなと思う人っていろんな経験してるから」
遠藤「確かに、休日アイドリング!!!メンバーとしか遊ばない」
バカリズム「あ~」
鈴木「それ一番ダメですね、それカッコよさが出ないです、人間としてのカッコよさが」

木村拓哉さんを例に出して、カッコいい人はカッコいい友達が多い。そう語る鈴木おさむさん。この話の流れで、菊地亜美さん。

菊地「でも升野さん(バカリズム)こそ本当に全然誰ともしゃべんなくて、私たちで打ち上げとかするんですけど、打ち上げのときもちっちゃい軽食を一時間ぐらい掛けて食べるんですよ」
(うつむいて素直に聞くバカリズム)
菊地「もう他の人にしゃべりかけてほしくな……」
鈴木「それはいいんですよ、彼(バカリズム)には才能があるから
バカリズム「くふっ(照れる)」
(拍手するアイドリング!!!)
バカリズム「(菊地を指差し)ぎゃははははっ!お前らとは違うのさ~」
(スタジオ笑)
菊地「最悪~!」

強気キャラを演じるもすぐにまた恥ずかしくなって、ちっちゃくなるバカリズムさんでした。でも、菊地亜美さんは流石でしたね。今の活躍っぷりも納得できるぐらい合間を見つけては、言葉を挟みこんでいました。

今こうして見返してみて、鈴木おさむさんの言葉を聞いてスッと私の頭に浮かんだのは、嗣永桃子さんでした。あと、オリエンタルラジオの藤森さん。世間が認知するまでキャラクターを押し通す力強さがある人たち。