笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

お笑い芸人の知名度がネタのウケ方に与える影響について

お笑い芸人が、お客さんの前でネタをする。
ウケるかどうかはネタだけで決まるわけではありません。見ているお客さんがどういった層なのかも大きく影響します。当たり前なんですが。
そんな当たり前のことをもう1度考えるきっかけになった番組があります。それはCSフジテレビで放送しているオードリーの冠番組「おどおどオードリー」。ある回の放送で、ハマカーン浜谷さんの悩みをみんなで話し合っていたときです。

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営業では全然ウケないハマカーン

2012年6月23日放送の「おどおどオードリー」第7回。

企画は、おどおどファミリー徹底討論!ガチンコお悩み相談SP。
おどおどファミリーが集まり、各自の悩みをみんなで話し合って解決していく。集まったメンバーは、どきどきキャンプ佐藤、くじら、ダブルネームのジョー、ハマカーン浜谷、Hi-Hi岩崎、瞬間メタルのタケタリーノ山口、そして、ビックスモールンのゴン。
ハマカーン浜谷さんの番が来て、悩みを発表。

浜谷「こんな真面目なヤツ書いてきちゃったんですけど(フリップを取り出す)」
若林「はい、全然いいですよ」
浜谷「(フリップの文字を読む)ネタがファミリー層にウケない
若林「あ〜、今の漫才が?」
浜谷「今の漫才・・・」
若林「それは、営業とか行ったりするときは、ファミリー層多いじゃないですか?」
浜谷「主に営業ですね」
若林「ウケないっすか?」
どきどきキャンプ佐藤「え〜?そんなイメージない」
若林「イメージとしては、老若男女にウケるっていうイメージありますけどね、ハマカーンは」
浜谷「いや〜」

ウケないハマカーンの姿が想像できないメンバーたち。

春日「そうよ、『笑点』とかにも出てるわけだしさ、何回も」
浜谷「『笑点』とかああやって、その〜、まあ若手芸人のコーナーです、つって出させてもらうけど」
若林「はい」
浜谷「そういうときは大丈夫なんですよ、ウケるんですけど」
若林「はい」
浜谷「まあ・・・ね、別に有名人じゃないから、誰も知らない、そのなんかデパートの営業とか、まあ〜ウケないですね」

浜谷さんが「下衆の極み!」と叫ぶと、子供が泣いてしまうこともあるんだそうです。
ハマカーンと一緒になることが多いビックスモールンのゴンさんにも聞きます。ちなみに若林さん曰く、ビックスモールンは営業ではスベり知らず。

ゴン「ハマカーンって同じ事務所で、で、事務所ライブで、ものすごい人気があって」
春日「おお」
ゴン「東京のライブシーンで、どこ行っても相当ウケるじゃないですか」
若林「うん」
ゴン「で、一緒にバーター(抱き合わせ出演)貰って、一緒に行くことあるんですけど、やっぱ確かに、(営業だと)そういう空気感なんですよ」
春日「ライブとは違う?」
ゴン「真逆、僕らと真逆」

ということは、ビックスモールンは事務所ライブではウケないってことなんですね。^^;

知名度によるウケ方の変化

みんなで話し合っているとき、最近太田プロへ移籍したくじらさんが率直な疑問をオードリーにぶつけます。

くじら「え?それってやっぱり、知名度が出ると、急にウケだしたりするもんなの?」
春日「ウケだす」
若林「俺はそうだと思うよ」
くじら「あ、そう」
春日「これはね、Hi-Hiさん」
Hi-Hi岩崎(以下、岩崎)「あるある」
若林「だって、Hi-Hiさんも言ってたもんね」
岩崎「うん、だから営業のときは、俺今までだから・・・知名度ないときは、前の分かりやすいネタをやってたけど、最近は『どうもね!』の、相方の軽い感じでやっても普通にウケるから
くじら「へぇ〜」

オードリーとHi-Hi。知名度によるウケ方の違いを身をもって実感してきたコンビなだけに、言葉に説得力があります。

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別の番組で、ハマカーン浜谷さんと同じような悩みを打ち明けていた人達がいます。人力舎の鬼ヶ島です。

ライブとテレビの違いについて語る鬼ヶ島

2012年7月3日放送の「芸人たまご」第12回。講師は、アンジャッシュ児嶋と鬼ヶ島。

「芸人たまご」は、人力舎のお笑い養成学校(スクールJCA)で現役のお笑い芸人が講義を行う、CSフジテレビの番組です。
ライブとテレビの違いについて、生徒から質問された鬼ヶ島(大ボケの野田、ボケでリーダーの大川原、ツッコミの和田がメンバーのお笑いトリオ)。

大川原「やっぱね、ライブではウケることが、テレビの収録ではウケなかったりするのが」
野田「ははははっ」
大川原「すごい差だな、と思いまして」
児嶋「オーディション受かって収録に行くんだけど、全部オンエアカットになった時期があるの」
和田「お蔵(入り)が続くっていう」
児嶋「そう、そこの壁がずっとあったよね」
大川原「そうなんですよ」

児嶋さんが鬼ヶ島に勇気を与える言葉を。

大川原「だからディレクターさんは『面白いね』って言ってくれて、『じゃあ収録しよう』となって、テレビのお客さんの前でやったら、全くひと笑いもなく・・・それ以来ディレクターさんが口をきいてくれない」
(教室笑)
児嶋「だからまあ、逆に言うと個性が強いから、最初『ウッ!』(後ろにのけぞる動作)ってなっちゃうのかもしれないけど、認知されたらもう・・・スゴイと思うよね
大川原「だからライブだと野田君って、キャラがお客さん分かってるから」
児嶋「うん」
大川原「ちょっとしたフワッとした一言でも、野田君っぽくてバーッとウケるんですけど」
児嶋「はいはい」
大川原「収録だとマジスベります」
(教室笑)

鬼ヶ島3人の役割もややこしいという話になっても、

児嶋「でもコレもその〜、だから世間が認知してくれたら、ライブとかと同じ状況になるよ
野田「あ〜」
児嶋「ただ、それが大変だけど」
野田「大変です!認知させていくのが大変というか〜」
和田「うん」

「鬼ヶ島がやっていることは間違ってない、後は周りに認知させていくだけ」とフォローする児嶋さん。なんと心強い先輩なのでしょうか。実際、児嶋さんはキャラクターが認知されたことで劇的に状況が変わった人ですから、鬼ヶ島に向けた言葉も重みがあります。
話は「おどおどオードリー」に戻りまして、ハマカーン浜谷さんの悩み解決編です。

お笑いファンにウケることが一番重要

2012年6月23日放送の「おどおどオードリー」第7回。

ライブではウケるが、営業でファミリー層を相手にするとサッパリ。このハマカーン浜谷さんの悩みについて、若林さんが自身の考えを述べます。

若林「ライブでウケてるってことは、そのお笑いライブに通う、お笑いファンの人にでしょ?
浜谷「うん」
若林「それ、一番重要でしょ?
浜谷「うん・・・スベっててもいいの?営業とかで」
若林「営業でスベっ・・・俺でも、あんまり仕事なんで大きな声で言えないけど、営業はスベっていいと思うけどね、ふふふっ」
(スタジオ笑)

CSならではの毒も挟みながら、さらに、

若林「いや、でも〜、タイミングとか時間の問題だと思うけどね、浜ちゃん(ハマカーン浜谷)とかタケタリーノ(瞬間メタルのタケタリーノ山口)とか、出て〜、何かのアレで注目されたら、そりゃあ変わるよね?」
春日「そりゃあ変わるよ」
若林「そりゃもう・・・もうホント、2メートルぐらいの範囲で変わってくるよ」
くじら「へぇ〜」

若林さんの考えは、児嶋さんが鬼ヶ島に向けた言葉と重なって私には聞こえました。「ハマカーンはお笑いファンにウケている、それが一番重要だからそのまま続けていけばいい、あとは何かのきっかけで認知されるだけ」と。

ネタで評価されている芸人が上がっていける道を

お笑い芸人が、お客さんの前でネタをする。
場所が変わってもお客さんが違ってもウケるには、知名度がどうしても必要なことは分かりました。が、それでもやっぱり一番重要なのはネタであり、勝負できるネタがあってこその知名度だ、と。アンジャッシュ児嶋さんとオードリー若林さんの言葉から、私はそう受け取りました。
ハマカーンや鬼ヶ島みたいにネタで評価されている人が、ちゃんと上がっていける道が用意されているお笑い界であって欲しいです。「芸人たまご」で、KOC決勝進出者の鬼ヶ島が今バイトしているなんて話を聞くと、特にそう思います。

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