笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

笑福亭鶴瓶「タモリはテレビの師匠」

タモリさんが司会を務めた今年の「FNS27時間テレビ」を全部見ました。

正式名称は、「FNS27時間テレビ 笑っていいとも!真夏の超団結特大号!!徹夜でがんばっちゃってもいいかな?」。

私が1番印象に残ったのは日曜日の夕方、もう番組の終わりのほうでやった「めちゃイケ!生やべっち寿司SP」。そこでの笑福亭鶴瓶さんの言葉です。

笑福亭鶴瓶に「笑っていいとも」卒業を思い止まるよう説得したタモリ

2012年7月22日放送「FNS27時間テレビ」(フジテレビ)

司会はタモリ。
コーナーは、めちゃイケ!生やべっち寿司SP。

「めちゃイケ」メンバー、「笑っていいとも」レギュラーメンバーが勢ぞろいしている中、ツタンカーメンの格好をした鶴瓶さんが、指原莉乃さんと一緒に入ってきます。ナイナイの岡村さんからイイ話を求められた鶴瓶さんは、タモリさんを目の前にして、「笑っていいとも」を辞めようとしたときの話を始めます。

鶴瓶「俺はやね、コレ(FNS27時間テレビ)やるのに、えっと……6月の初めぐらいやったかな?」
矢部「はい」
鶴瓶「俺、大体(いいとも)特大号とかそんなん、出えへんことになってるんよ、なってはるって言うか、何年か前、10何年前やけど」
矢部「ええ」
鶴瓶「辞めようと思った、みんなが辞めるときに」
岡村「そうそう」
矢部「あ、そうなんですか?」
岡村「鶴瓶さんが『いいとも』辞めるって言うて」
鶴瓶「みんな辞めたからね、あの、みんな……全部辞めていったやんか」

そのとき、鶴瓶さんはタモリさんと2人で飲みに行ったんだそうです。

鶴瓶「最終的にあの~、全部フジテレビとも約束して、もう4月から辞めるということになって」
矢部「スタッフにも言うて」
(お茶を一口飲むタモリ)
鶴瓶「1月21日やった、(タモリ)『ちょっと飲みに行こう』言うて」
矢部「タモリさんと」
鶴瓶「連れて行ったんよ、『ホンマ頼みますわ』言うたら、(タモリ)『ダメだよ!』と」
矢部「ほぉ」
鶴瓶「ほんでイイ言葉言うたんよ」
矢部「タモリさんが」
鶴瓶「俺ね、そのときね、まだそんなに……今もそうやけど、ふふっ、そんなに確立されてなかったのね、東京で」
(笑みがこぼれるタモリ)

「今も確立されていない」と爆笑問題の太田さんにツッコまれて、ツタンカーメン姿で暴れる鶴瓶さん。^^;

「笑っていいとも」はジャブが効いてくる

鶴瓶「いやいやホンマそうで、なんかモヤモヤしてた、(タモリ)『あなたね、いいともはね、ジャブが効いてくるよ、あなた絶対やっときなさいよ』
矢部「はい」
鶴瓶「(タモリ)『絶対やっときな、あなたはやっといたほうがいい』と、まあ他はね、みんな確立しとるやんか、でも『あなたは絶対やっといたほうがいい!』って言うてくれたんよね」
矢部「へぇ、タモリさんが」
鶴瓶「それで、2人でずっとしゃべってて、だから俺はその~、なんて言うの、師匠はもう死んでるから」
矢部「はい」
鶴瓶「テレビの師匠や思うのね
(周りから感嘆の声)
鶴瓶「こんな、こんな普通に……テレビ界の師匠やねん」
矢部「もう長いですしね」
鶴瓶「うん、なんでやろな?と思うぐらい、エエこと言うよ、この人、2人でおったら」
(白い歯を見せて照れたように笑うタモリ)
鶴瓶「ボソボソっと、だから俺ものすごい感謝してんのよ」

「ジャブが効いてくる」。タモリさんの名言だと思うのですが、この言葉、以前に違う番組で耳にしたことがあります。

どん底のTKOを救った笑福亭鶴瓶

2011年9月10日放送「ブラマヨとゆかいな仲間たち」(テレビ朝日)

司会はブラックマヨネーズ(小杉竜一・吉田敬)。
ゲストはTKO(木本武宏・木下隆行)。

東京に進出しては失敗を繰り返していたTKO。大阪での人気もなくなり、番組も徐々に終了していく。そんな絶頂からどん底に落ちても芸人を続けてこれた理由について。

木本「先輩がやっぱり励ましてくれてたっていうのはあるかな、あの~、鶴瓶師匠(TKOにとって松竹芸能の大先輩)が」
吉田「おお」
木本「自分の東京のね、自宅に初めて行くってなって」
吉田「はい」
木本「で、高層マンションですよ、ほんならもう……すごい夜景で、2人でね、師匠と、(鶴瓶)『木本、見てみろ、スゴイやろこの夜景』、『はい』、(鶴瓶)『あのな、焦らんでええ、ジャブ打ってたらええ、ずっとジャブ打ってたらこの夜景絶対手に入るから』
小杉「おお……」
木本「ジャブ打て、ほんで『それだけでいいんですか?僕』言うて、(鶴瓶)『ジャブでいい』」
(声を出して感動するブラマヨ)
吉田「鶴瓶師匠みたいな方が見てくれてるんだ、っていう」
木本「そう」

私の妄想かもしれませんが、タモリさんのアドバイスが真実だったことを身をもって知った鶴瓶さんが、その言葉を木本さんに伝えたのではないでしょうか。

SWITCH vol.27 No.7(スイッチ2009年7月号)特集:笑福亭鶴瓶[鶴瓶になった男の物語]

SWITCH vol.27 No.7(スイッチ2009年7月号)特集:笑福亭鶴瓶[鶴瓶になった男の物語]

「どうにかしてウンナンと結びつけることは出来ないか?」ということを私は頭の片隅に置き、昔の番組を思い出しながらブログを書いています。^^;

ぐーっと考えると、ある番組が記憶の引き出しからこぼれ落ちてきました。

内村光良が影響を受けた先輩芸人はタモリと笑福亭鶴瓶

2012年6月1日配信「内村さまぁ~ず」(第135回)

レギュラーは内村光良、さまぁ~ず(大竹一樹・三村マサカズ)。
ゲストMCは東京03(豊本明長・飯塚悟志・角田晃広)。

今回の企画は「ちょいと一杯ひっかけたい男達!」。お酒を飲んで本音を語り合う企画。紛れもない伝説の回。

「売れたと確信した時はいつ?」と質問されて、「笑っていいとも」に出たときと答えたウッチャン。その後の「デビュー後に影響を受けた先輩芸人とは?」という質問には、

内村「この世界に入って、やっぱり一番接している人が影響受けたから」
飯塚「はい」
内村「やっぱタモさんと鶴瓶師匠かな、う~ん、一番長く『いいとも』でずっと一緒だった
三村「テレビで見てたのとまた、この世界に入って、またちょっと違う」
大竹「接すると違う、スゴイ人はね、みん~なスゴイ、接すると、テレビで分かんないよね」
内村「結構、クルーザーで遊び連れてってもらったりだとか」
(羨む東京03)
内村「タモさんの、で、鶴瓶師匠とか、俺とか乗って、すっげー楽しかった、なんか……それだけで全然ね、お笑い論とか言わないの
飯塚「はいはい」
内村「決して、でもね、なんかね、自然に教えて……こうなんか無言で語るみたいな感じだったんだよね」

それはウッチャンも同じだと話す大竹さん。

大竹「誰も言わないっすよね、ああいう人たちは」
内村「うん、あの……」
大竹「それこそ内村さんも何にも教えてくれないもん、(泣きそうな顔で)何にも教えてくれないんだよ」
(スタジオ笑)
大竹「やさしい、論を全然言わない」
飯塚「へぇ~」
三村「だから、今初めて聞くことが多い」

言葉でなく背中で語る。これもタモリイズムなのかもしれませんね。

タモリさんについて、ウッチャンと鶴瓶さんが語り合う。そんな場面がかなり昔の番組ですがありましたので、こちらも一緒に紹介させて下さい。

みちのくの旅館で芸人談義に花を咲かせる男たちのいる風景

1998年7月31日放送「気分は上々」(TBS)

司会はウッチャンナンチャン(内村光良・南原清隆)。
ゲストは笑福亭鶴瓶。

ロケの企画内容は「内村と鶴瓶2人旅」。旅の目的は、映画『おもひでぽろぽろ』のロケ地を巡ること。日も暮れて、宮城県の鳴子温泉に到着。老舗旅館で露天風呂を楽しんだ後の夕食にて。

ちなみに1998年は、年末の「NHK紅白歌合戦」にポケビとブラビが出場した年でもあります。

鶴瓶「結婚はどうすんの?」
内村「なんで、そういう話題に急にコロッと変わる……」
鶴瓶「いつもなあ、ウッチャン会うたら結婚どうすんの?って、さんまと言おうと決めてたんよ」
(タバコを口から外して笑う内村)
鶴瓶「さんまという男、どう思う?」
内村「え?さんまさんですか、さんまさんは一番変わんないっすね、普段と」
鶴瓶「そうやな~、お笑いって自分を、自分の位置を見つける旅やな」
内村「あ~、そうでしょうね」
鶴瓶「うん、僕らの頃は種類一緒やで、芸人として、たけし兄さんにしてもそうやけど、ま、ちょっとタモリさんは異質やけど
内村「あ~」
鶴瓶「たけし兄さんにしても、さんまにしても、だいたい芸人やわな、芸人」
内村「うんうん、タモリさんってだから、異質な人ですよね
鶴瓶「なんや、おかしいわ、不思議やわ、なんやろ?」
内村「ふふっ」
鶴瓶「俺の誕生日にね」
内村「ええ」
鶴瓶「フッと持ってきてね、なんか、そんなことせえへんのに、(タモリ)『コレ、誕生日だろ?』とか言うて、誕生日覚えてて持ってきてくれたらしいんよ、ふふっ」
内村「へぇ~」
鶴瓶「『なんや、なんやねん、それは』言うて、だから、いとおしい時あるよ、ホンマ」
内村「ふふっ、タイプがやっぱ違うからでしょうね」

タモリさんを見れば見るほど、何者か分からなくなる感覚。

ジャブを打ち続ける姿から、ストレートやアッパーを打ち込むタモリさんを想像しようとしても出来ません。今回の「FNS27時間テレビ」で、その片鱗をちょっとでも掴んでやろうと画面を注視していたら、タックルをかましていました。やっぱ分からないです。