幻冬舎社長・見城徹が語るベストセラーの秘訣
私が尊敬するお笑いブログのひとつに、「死んだ目でダブルピース」さんがあります。ここを運営している中山涙さんがこの度、マイナビ新書より『浅草芸人』を出版しました。めでたい!
年末、『浅草芸人』出版祝いをかねた忘年会(オフ会)に私も参加させていただきました。緊張しまくりで、持ち前の引っ込み思案ぶりを発揮してしまいましたが、充実したひと時を過ごすことが出来ました。
中山涙著『浅草芸人』を読んで
お笑い好きならば読んで絶対に損はないです。『浅草芸人』とありますが、吉本興業についての記述もあり、それが去年の「THE MANZAI」と線で結ぶことができたときは、自然と興奮してしまいましたね。
水道橋博士は、twitterでこのように言及しています。
中山涙『浅草芸人』(マイナビ)読みながら後半に登場する自分たちを遡りルーツを辿るような読書に。北野武が中原弓彦(小林信彦)の「日本の喜劇人」を読んでから浅草へ行った話は本人から言質をとったが。この本もそんな話題を持つロングセラーになって欲しい一冊だ。
— 水道橋博士(小野正芳) (@s_hakase) 2011年12月23日
慣れない書評をするよりもいつものように、中山涙さんの『浅草芸人』を読んで思い出した番組を紹介させてください。
その番組とは、「博士も知らないニッポンのウラ」。数々のベストセラーを世に送り出してきた、幻冬舎代表取締役社長の見城徹さんが登場して、そのベストセラーを生み出す秘訣について語っていた部分です。
見城徹が明かす売れるコンテンツの4条件
2007年5月1日配信「博士も知らないニッポンのウラ」(ミランカ)
司会は水道橋博士と宮崎哲弥。
ゲストは見城徹。
見城さんが書いた『編集者という病い』の話題になります。
宮崎「これね、感心したのがね、見城さんが売れるコンテンツの秘訣、4条件っていうのがあって、オリジナリティがあること、明快であること、極端であること、癒着があること」
博士「これ……」
宮崎「これね!最初の2つはある意味誰でも考え付くの、オリジナリティがあること、明快であること」
博士「うん」
宮崎「極端であること、癒着があること、っていうのは普通の人間は思いつかない」
博士「癒着があることって言うところが」
見城「だけど、極端じゃなければ、大体ドラマ見てくださいよ、今の」
宮崎「うん」
見城「『女王の教室』『14才の母』、ヒットするドラマなんてみんな極端でしょ?」
宮崎「うん」
見城「『特命係長・只野仁』とか、みんなそうですよね、そりゃあ極端じゃなきゃダメですよ」
当時、話題になったドラマを例に挙げる見城さん。
出版界はどうでしょうか。
見城「それから、例えば『ダディ』って本を出した時にも、かなり極端なことをやったから、内容が極端とかっていうんじゃなくて」
博士「中身は普通の本、ただね、郷ひろみさんが寄稿するっていう」
見城「うん、だけど、著者名もタイトル名も伏せて流通させようとする、とか」
宮崎「うん」
見城「それから、離婚のその日に合わせて出すとか」
博士「その、50万部刷るとか」
宮崎「そうそうそう」
見城「そりゃ極端でしょ?」
宮崎「うん」
見城「極端なことをしないと、ダメ……なんですよ、ヒットっていうのは」
博士「うんうん」
見城「それは、だからあの~、普通だと思うんですよ」
残りの条件「癒着」について。
売れるコンテンツには癒着がある
見城「癒着は、もっと普通だと思うんですよね」
博士「これね、テレビ界にいればね、あの……」
宮崎「いや、映画界、テレビ界にいれば分かる」
博士「うん」
見城「だけど癒着がなかったら、じゃあ、Aというプロダクションと癒着すると決めて、なんか作るでしょ」
博士「うん」
見城「それは例えば、なんでもいいや……テレビ朝日が『弟』という5夜連続の大ヒットのドラマを」
博士「石原慎太郎さんのね、ドラマを作る」
見城「ドラマを作る、そりゃやっぱり石原プロと癒着、っていうと悪く聞こえるけど、癒着するわけ」
博士「うん、まあ、見城流に言えば、切り結んだ関係じゃないと」
見城「そうそう」
博士「そういう信頼感やバジェット(予算)を与えてくれないと」
見城「だから、紀伊国屋全チェーンと、まあ癒着しようと決めて、ココだけで売る!その代わり、紀伊国屋さんのほうも絶対売ってね!そういうパターンを作れれば、その本はもしかしたら売れるかもしれないわけ、だからそれは、やっぱり癒着はなんでも必要ですよね」
ここまでズバッと言い切ってくれると、逆にスッキリしちゃいますね。
- 作者: 見城徹
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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成功とか不成功とかない、全てはプロセス
博士「それがまあ、第1作目のヒットのときから、もう20代前半のときに出版社に入って、すぐにヒット作を飛ばしたっていう実績が、その4つのパターンの中に全部入ってた」
見城「入ってた」
博士「後付けかもしれないけど」
見城「後付け、後付け」
博士「ね、でもそれでそのまま廣済堂(こうさいどう)に残ってるわけじゃなくて、その、角川書店に入社してからサクセスストーリーが始まるわけですよ」
見城「サクセスストーリーっていうのも変だけど、まあ……自分がやりたいと思ったことが、実現したよね」
博士「うん」
見城「ただ、俺は死の瞬間まで、その成功とか不成功とかないと思っているわけ、全てはプロセスだと思っているので、まあ、ただ……面白くは、苦しかったけど面白くは仕事は出来てきたかな、と」
この配信を見た後、ドラマにしろ、バラエティにしろ、本にしろ、数多くのヒット商品が現れる度に、見城さんが提唱する4条件に当てはまるかどうかを検証している私がいます。