笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

千原ジュニアに手を差し伸べた男達

ちょっと前に放送された「しゃべくり007」のゲストに、爆笑問題の太田光が登場しました。このときに繰り広げられたトークは、しゃべくりメンバーと同世代ということもあってか、それはそれは濃い、濃すぎる1時間でした。
見終わったときに湧き上がってきたものは、ノーカット完全版を見たい!という欲求、そして、業界人の誰かが番組関係者に連絡して、それを手に入れているに違いない!という推測でした。そこでふと立ち止まり、なぜ自然とそう思ったのか・・・、ぐ〜っと考えると、ある一人のお笑い芸人の名前が私の頭の中に、電光掲示板に表示されるが如く現れました。
その芸人の名前は、東野幸治。
そうだ、「やりすぎコージー」でそんなことを東野さんが話していたからだ。というわけで、今回はそのときのトークを紹介させて下さい。

西日の当たる教室で

西日の当たる教室で

明石家さんまと島田紳助の共演に興奮するWコウジ

2005年8月放送の「やりすぎコージー」。冒頭のトーク。

少し前に放送されたFNS25時間テレビの「さんま・中居・鶴瓶の今夜も眠れない」で、明石家さんまと島田紳助が久しぶりに共演して絡んだことを興奮しながら振り返った後、

東野「こないだ(FNS25時間テレビ)の絡みから、その一番最近が、え〜、5年ほど前にパペポTVの最終回に・・・、(大橋アナに説明するように)鶴瓶さんと上岡さんがやってるじゃないですか、さんま、紳助が別々でゲストに呼ばれたんですよ」
大橋「(頷きながら)はぁ〜」
東野「それを最初、紳助さんが登場して、2時間ぐらいしゃべって、1時間番組ですよ」
大橋「ええ、ええ」
東野「紳助さんが登場して2時間しゃべって、ほんで、はけてから、さんまさんを呼ぶはずが・・・、鶴瓶さんが仕組んでね」
大橋「はは〜」
東野「さんま、紳助を・・・」
今田「あ〜、そやそや、うん」
東野「絡ませようとして、こういきなり呼んで、2人が絡んでたんですよ、それ以来」
今田「そういうのじゃないと、もう絡んだりとかしたことなかった」

このあと、東野幸治のお笑いマニアっぷりが垣間見えます。

東野「でも!それはオンエア1時間ぐらいになって、編集されるから」
今田「うん」
大橋「うんうん」
東野「大至急、よみうりテレビに電話して、『ノー編集のテープを大至急送ってくれ』と」
(スタジオ笑)
今田「お笑い裏ビデオね」
東野「したらもう、(驚きの表情でスタジオを見渡しながら)3時間半ぐらい!」
ジュニア「はっはっはっ」
東野「まんま!もうお笑いばっかり、3時間半」
大橋「はぁ〜」

嬉しそうな東野さん。^^;

東野「それを持って、ジュニアが交通事故で落ち込んでるからって、そのテープを渡したんです」
(スタジオ笑)
ジュニア「東京女子医大でずっと、イヤホンで見てたんです」
今田「はっはっはっはっ」
東野「顔ボロボロになりながら」
(スタジオ笑)
東野「ジュニアがなんや、『この仕事もう辞める』とか言うてるから、これはアカンと!」
今田「あっ、『もう俺は復帰でけへん』と」
ジュニア「はい」
東野「『もう復帰でけへん、無理や』とか言うから、俺が3時間半のノー編集のテープを渡したわけよ」
ジュニア「はい」

そのノーカット完全版の「パペポTV」は、入院中の千原ジュニアにも渡されていたのですね。そのときの様子は数年後、千原ジュニアから語られることになります。

熱い魂を持ってお笑いに帰って来いとメッセージを送る東野幸治

2007年7月放送の「やりすぎコージー」。未公開トークの回。

「うまッチ!」(2005年4月放送)で偶然、明石家さんまと島田紳助が共演した放送を見ていた今田耕司、放送分では我慢しきれず、ノーカットのVTRを入手したと嬉しそうに語る。その姿を笑う東野幸治を見て、

ジュニア「東野さんも言うたって、そら好きですよ」
今田「いや、そうですよ」
(自分に矛先が向いて固まる東野)
今田「言うてますけど、僕よりなんやったら好きですよ」
東野「(苦笑しながら)いや、違う、そんな・・・」
ジュニア「上岡龍太郎さんが、もう引退されるときに」
(あの話をされるんだと1人で笑い出す東野)
ジュニア「パペポTVっていうね、鶴瓶さんと2人でやってはった・・・」

ここで知らない人のために、明石家さんまと島田紳助が共演したパペポTVの最終回について、ひと通り説明をする千原ジュニア。

ジュニア「ほんで、さんまさんと紳助さんのやり合い、3時間のビデオ、『入手した!』言うて」
東野「はっはっはっはっ」
今田「『ノー編集持ってますよ』って言うて」
ジュニア「僕ね、バイク事故で死にかけてる時に、『お前、これ見ろ、見ろ』言うて、しんどい!」
(スタジオ笑)
ジュニア「しんどい!死にかけてんねん」

入院中の千原ジュニアに手渡した理由を語る熱い男、東野幸治。

東野「生きる力沸いてくんねん、生きる力が」
今田「そりゃそうやわな、上岡さん、鶴瓶さん、さんまさん、紳助さんや、持ってんねんやろ?」
東野「ああ、それを、だから結局僕は見たんで、ジュニアが入院してる、生死を彷徨ってることを聞いたから」
大橋「はい」
東野「ね、これを見て、またこの熱い魂を持って、お笑いに帰って来い!と」
ジュニア「はい」
今田「でもホンマにね、入院してたとき、この世界に戻りたいっていう一心で」
ジュニア「そうです、そうです」
今田「ホンマに直ったんです」
大橋「あっ、それ、気持ちでですか?」
東野「そうですよ」
大橋「本当はもっと危ない状況だったんですか?」

千原ジュニアのバイク事故が、いかに大変な状況だったかを説明していきます。それを聞いて、予想以上の壮絶さに驚く大橋アナ。

東野「すごかってんやから!」
せいじ「まずあの〜、身内しかもう、入ったらアカンと言う・・・」
今田「見てんもんな、最初の、直後の」
せいじ「一番最初の」
東野「そうそう・・・」
せいじ「もう、もう、ジュニア分からなかったですもん、マジで」
今田「ジュニアかどうか分からなかったんや?」
東野「せいじが?」
せいじ「はい」
東野「あっそう・・・」
せいじ「3人、4人ぐらい居てはって、どれがジュニアなのか」
(スタジオ驚きの声)
せいじ「ボコボコやから」

そんな状態なので、もうお笑い芸人として舞台に戻るのは無理だと考えていた千原ジュニア。

ジュニア「だからもう、絶対表に立つのは無理やと」
大橋「はい」
ジュニア「ね、だからもうその・・・、放送作家になるのか、もう辞めてなんか、なんかをせなしゃあないな〜と思ってたんですよ」
(無言で頷くせいじ)
今田「うんうん」
ジュニア「ほんならいろいろそうやって東野さんがね、そんなビデオを『これ見ろ』とか」
大橋「はいはい」
ジュニア「今田さんが来てくれたり、いろんな人が来てくれて」
大橋「はい」
ジュニア「ね、あぁ、やっぱそっち戻りたいなと」

その当時のことが蘇ってくるんでしょうね。Wコウジと千原せいじは口数が少なくなり、かみしめるように頷くことが多くなります。従って、大橋アナが相槌を打ちながら聞き役に。

格好よすぎる板尾創路

続けて、入院中のエピソードについて話す千原ジュニア。

ジュニア「で、その一番最初に、集中治療室から一般病棟に移されて、すぐ来てくれたんが、板尾創路さんで」
大橋「ほお〜」
東野「お」
今田「おお〜」
ジュニア「ほいで、雑誌バーッと持ってきて、ドーンッ置いて、『お前何してんねん、はよ帰って来い』って言って、帰って行った」
今田「かっこいい〜!」
大橋「(泣きそうな顔で手を叩きながら)かっこいい〜、かっこいい〜」
ジュニア「かっこいい〜と思って、パッと見たら、あの『BRUTUS』、一番上の雑誌が『BRUTUS』で、表紙が『今度はベスパに乗ろう』
(スタジオ大爆笑)

惚れてまうやろ〜!で、千原ジュニアのバイク事故の話で、もう1人、板尾創路と匹敵するほど格好よすぎる男がいます。

明石家さんま「お前欲しいモノなんでもやるわ」

2008年10月放送の「やりすぎコージー」。都市伝説の回。

お笑い芸人の格好いい都市伝説が披露された後、千原ジュニアがそれと似たような話があると切り出します。全て千原ジュニアが1人で話していますが、分かりやすくするため登場人物の会話を区切っています。

ジュニア「それで言ったら、さんまさんがね」
今田「うん」
ジュニア「僕バイクで事故ったんですよ、事故って、もうあれ〜8年前ですけど、レギュラー番組も一切なくなって」
今田「ああ」
ジュニア「ほんなら、さんまさんとバッタリ会って」
さんま「見舞いに行かれへんかって悪かったな〜」
ジュニア「って話して」
さんま「何が欲しいねん、お前欲しいモノ言えや、なんでもやるわ〜」
ジュニア「って言いはったんで、シャレで『いや、レギュラーが欲しいです』つったら」
さんま「何を言うてんねん、お前〜、カッカッカッ、ほなまたな〜」
ジュニア「言うて別れたんですよ、ほんならある時に、あるテレビ局のスタッフが」
番組スタッフ「ジュニアさん、ありがとうございました」
ジュニア「と、『え、なんですか?』って聞いたら」
番組スタッフ「いや、ずっとさんまさんで深夜で番組やりたいって、ず〜っと頼みに行ってたけど、『今のレギュラーを増やしも減らしも俺はせえへん』言って」
今田「はいはいはい」
ジュニア「ずっと断られてたと、で、そのスタッフも、もう今回断られたら諦めよう思って頼みに行ったら」
さんま「おっ、それやろう」
番組スタッフ「ええ!ホンマですか?ありがとうございます」
さんま「けどな、1個だけ条件があるぞ」
番組スタッフ「はい、なんですか?」
さんま「千原兄弟をレギュラーにせぇ
ジュニア「言うて、その春からレギュラー始まったんです」
(スタジオどよめきの声)

やっぱり第一線に立ち続けている人達って、人間的魅力に溢れていますね。
ナインティナインの岡村さんがラジオで言ってたことが、私は今でも忘れることが出来ません。「いい人じゃなきゃ売れない」。私もそれを信じて、テレビを見続けていきます。

クイック・ジャパン82

クイック・ジャパン82

  • 作者: やりすぎコージー,今田耕司,東野幸治,千原兄弟,大橋未歩,世界のナベアツ,高須光聖,Chim↑Pom,雨宮処凜,前田司郎,石川直樹,成海璃子
  • 出版社/メーカー: 太田出版
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