笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

二代目ジャイアント馬場襲名トーナメント構想

1月31日は、ジャイアント馬場さんの命日です。
プロレスに疎い私がこう言えるのも、ある日の録画してあった「リングの魂」を何度も見ていたからです。2000年に放送されたプロレスや格闘技界の今後を予想してトークバトルする、といういかにもミレニアムらしい企画内容でした。
今回はこの「リングの魂」から、浅草キッドの水道橋博士さんがした予想(むしろ構想)を紹介させて下さい。あくまで11年前のことになります。その点だけはご理解ください。

ジャイアント馬場「甦る16文キック」 5: あの熱狂と興奮をDVDオールカラーで史上初の完全再現! (SJムック)

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水道橋博士が予想「二代目ジャイアント馬場襲名問題噴出」

2000年放送の「リングの魂」。企画はプロレス・格闘技界ミレニアム大予想。

司会は南原清隆。パネラーは浅草キッド、ダチョウ倶楽部、神無月、三村マサカズ(当時はバカルディ)、そして、ビビる(当時はコンビ)。番組の後半、水道橋博士の予想が紹介されます。

南原「それでは続きましては、これ!」
(ナンチャンの右に位置するディスプレイ画面に「二代目ジャイアント馬場襲名問題噴出」の文字)
大木「おお〜」
南原「ふっ、二代目ジャイアント馬場襲名問題噴出」
玉袋「これはでかいね〜」
南原「あっ、二代目出るんだ〜、これは誰ですか?」
博士「これは僕です」
南原「おっ、博士」
博士「これは、僕は真面目に言ってるんですよ、1月31日はもう馬場さんの命日なわけですよ、そして、1月30日にはね、今度はPRIDEのグランプリ(PRIDE GRANDPRIX 2000 開幕戦)が行われるわけですよ」
南原「うん」
博士「そしたらそこではもうね、格闘家が集まって・・・、これはね、『プロレス』っていうものよりも『格闘技』の方が、確実に盛り上がっていくじゃないですか」
南原「うん」
博士「でも本当に『プロレスはプロレスだ』と言い切ってた人って、ジャイアント馬場だけだと思うんですよ」
南原「うん」
博士「新日(新日本プロレス)は盛り上がってる、でも全日(全日本プロレス)はね・・・、ちょっとマニアックな盛り上がり方しかしていない、本当に世の中に訴えていくためには、このジャイアント馬場っていう名前を残していかなきゃダメなんです
南原「(ディスプレイ画面のジャイアント馬場の文字を指差しながら)これは残した方がいいかもしんない」

この予想を受けてのナンチャン。ジャイアント馬場のイメージについて語ります。

ジャイアント馬場を知らない人はいない

南原「ジャイアント馬場っていう名前は今でも全国区ですから」
博士「そうなんですよ」
玉袋「一番有名なね、人ですよね」
南原「ええ、僕思うんですけど、あのね、もう日本人で2人だけです、なんかいっつもこう見てたら微笑ましくなるっていうか、気持ちが和やかになるのは、ジャイアント馬場と長嶋茂雄なんですよ」
博士「そうそうそう、そうでしょう」
南原「だからジャイアント馬場っていうのは・・・、残した方がいいかもしんない」
博士「四股名(しこな)だと思うんですよ」
(スタジオ笑)
南原「歌舞伎とおんなじよ」
博士「はい」
南原「團十郎(だんじゅうろう)がずっと続いてるのとおんなじで、二代目ジャイアント馬場」

では、どうやって二代目ジャイアント馬場を決めるのか?という話へ。

1月31日に「二代目ジャイアント馬場襲名トーナメント」開催

博士「その二代目ジャイアント馬場は誰がなるか?っていうことですけど」
南原「これ難しい」
玉袋「どんな風になるんですか?」
博士「うん、これはね、誰かが言い出さなきゃいけないと思うんですよ」
南原「うん」
博士「だからまあ、ノーフィアー高山(高山善廣)」
南原「高山?」
(スタジオ笑)
南原「ちょっと待って・・・、高山!?」
(スタジオ笑)
博士「そういうことを言い出したときに、今度は、本当に二代目ジャイアント馬場を一番襲名したいのは、あの馬場の赤いパンツを譲り受けてる・・・」
南原「田上(田上明)」
博士「田上だと思うんですよ、そこで!僕の提案は、1月31日に『二代目ジャイアント馬場襲名トーナメント』
三村「おおっ!」
南原「(博士を指差し)イイ!」
ジモン「(納得いった様に)あ〜」
玉袋「こりゃいいね〜」

水道橋博士の構想にパネラー全員、かなりの好感触。

博士「全員、どっから参加してもいいです」
南原「それは何?関根(関根勤)さんも一応入ってるの?」
(スタジオ笑)
玉袋「関根さんもオッケー?」
博士「入ってます、そりゃあもう、オープンですから」
玉袋「いいかもしんない」
南原「関根さん、票集めると思うよ〜」
三村「盛り上がるな〜」
博士「それはね、それをやったときにね、プロレス界、人材不足だと言われてますけども、二代目ジャイアント馬場になれるんだったら、日本中にいる身長2メートル以上の男、集まってきますよ」
南原「うん」
博士「『俺じゃねえかな?』と思いますもん」

ここで唯一の若手、ビビる大木が異議を唱えます。

若手らしく場をかき混ぜるビビる大木

大木「ちょっと待ってください!そんなことしたらジャンボ(ジャンボ鶴田)が許しませんよ、これは!」
(スタジオ笑)
大木「ず〜っと付いてたんですよ、馬場さんに、ジャンボは」
南原「じゃあ、ジャンボも入ればいいじゃん」
博士「そうですよ」
大木「ジャンボはジャンボじゃないですか!ジャンボ鶴田」
玉袋「(右隣の大木の迫力に驚きながら)わはっ!じゃあ、別に怒んなくてもいいじゃん」
大木「(右手人差し指をひねりながら前に突き出すお得意のポーズで)だから馬場師匠!師匠の名前を勝手にね、その高山とか田上が名乗るな!ってことなんですよ、だったら『俺のブドウ園のブドウを食え』ってことじゃないですか!鶴田は」
玉袋「(苦笑しながら)関係ねえじゃねえか」
(笑いながら崩れ落ちる南原)

ジャンボ鶴田さんがブドウ園をやっていたことをこのときに覚えました。^^;

二代目ジャイアント馬場にふさわしい人がいる

南原「でもね、俺ね、二代目ジャイアント馬場にふさわしい人がやっぱいると思う」
博士「あ、誰ですか?」
南原「是非、トーナメント来てもらいたい人」
玉袋「誰?誰?」
南原「これはね・・・、こないだの柔道世界チャンピオン*1になった、篠原(篠原信一)」
博士「あっ、篠原ね、(大きく頷きながら)おおっ」
玉袋「(笑いながら)顔は一緒だよ」
三村「そっくりですよ」
南原「しかもジャイアント馬場はまず、強さがあるべきだと思うのよ」
博士「うんうんうん」
ジモン「篠原・・・、あ〜、そうだね〜」
南原「あの人はイケると思う」
博士「柔道10年ぶりの世界チャンピオンですからね」
南原「(深く頷きながら)う〜ん、やっぱ世界チャンピオンになるのは大変なことなんだと、世界チャンピオンになった逸材ってのは、小川(小川直也)を見ても分かるとおり、すごいんだな!って思うじゃないですか」
博士「小川以来ですよ*2
南原「僕は是非ね、篠原さんに出てきてもらいたい」

ナンチャンの篠原信一さんが二代目ジャイアント馬場にふさわしい発言に、概ねみんな同意を示します。

博士「あのね、本当に全日本って、話題がね、世間に届く話題が小さいじゃないですか」
南原「うん」
博士「やってる内容がすごいとかって、みんなが知ってるじゃないですか」
南原「純度が強い、高いからね」
(全日ファンのダチョウ倶楽部が頷く)
博士「うん、それを・・・、世に訴えるためにはもう、このジャイアント馬場の名前だと思いますよ」
南原「なるほど」

最後の総括へ。

南原「じゃあ、そのトーナメントに入っているのは、まず筆頭にノーフィアー高山、田上、関根勤さん、篠原」
(スタジオ笑)
玉袋「いいな〜、二代目ブーム来るんじゃないですかね」
博士「新日本プロレスでも、二代目長州力を健介(佐々木健介)が名乗ろうとした、プロレス界にはこれ、常にあった話ですよ」
南原「うん」
博士「それを、今まさに2000年を迎えてね、こういうことをやってみようじゃないか!っていうのは必要だと思うけどな〜」
南原「ジャイアント馬場っていう名前は、もう大財産ですよ」
玉袋「うん、財産」
博士「『二代目〜!』とかいいですよ」
南原「そう」
博士「『よっ、二代目!』」
南原「『やっぱ、二代目はバカだね』とかね」
(スタジオ笑)
南原「『ダメだ、二代目だと潰れちゃうね、任してらんないね、三代目出て来い!』」

こうして和やかにまとまりかけた時、それまで黙っていた上島竜兵がついに口を開きます。そして、不機嫌なご様子。

上島竜兵がついに動き出す

上島「なんか路線がどんどん、どんどん逸れてってるけどね、二代目、三代目とかね」
南原「(小声で)行くか」
博士「すみませんでした」
上島「なんかどんどん逸れちゃってるけど」
玉袋「何よ〜」
肥後「そうじゃなくて、だって、そのほうが楽しいじゃない、夢があって」
上島「いや、だから・・・」
(パネラー達が一斉に上島へワーワー言い始める)
上島「何言ってんだ!!!お前ら!!(帽子を床へ激しく叩きつける)」
(仰け反るパネラー達)
三村「来た!」
上島「さっきから聞いてりゃ!馬鹿にしてるだろ!お前ら、(大木のほうを向いて)何がジャンボだよ!もっとまともにやるのがこのミレニアムの大予想じゃないのか!違うのか、おい!」
ジモン「竜ちゃん、本番、本番」
上島「本番じゃないよ!バカヤロー」
肥後「本番中だから」
ジモン「本番だから、カメラ回ってんだよ」
(ジモンの言葉を合図にカメラさんが上島のワンショットになるようズームイン)
上島「(カメラのズームインが止まったところで)どうも取り乱しました(深々とお辞儀)」
南原「伝統芸だ」
(スタジオ笑&拍手)

今日の仕事をほぼやり終えた竜ちゃん。そしてなぜか、二代目上島竜兵が欲しいという話題になって終了。^^;
プロレスを知らない私でも楽しく見ることが出来た「リングの魂」。特番でもいいのでまた見たいな。ちなみに、「リングの魂」がゴールデンに進出して、その空いた枠で始まった番組が、あの伝説の「内村プロデュース」なのでした。

キッドのもと

キッドのもと

*1:イギリスのバーミンガムで開催された1999年世界柔道選手権大会

*2:旧ユーゴのベオグラードで開催された1989年世界柔道選手権大会。95kg超級で小川直也優勝