笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

岡村隆史を救った高倉健からの手紙

昨年の年末に、ナインティナインの岡村隆史が復帰しました。

さらに、桑田佳祐が「NHK紅白歌合戦」で復帰し、自身がパーソナリティを務めるラジオ「桑田佳祐のやさしい夜遊び」にも元旦から出演。加えて、先日放送されたTBS「美女アスリート総出演 炎の体育会TV」では、アンタッチャブルの柴田英嗣も復帰を果たしました。

そんな嬉しい復活劇が続いた年末年始でしたが、「ナインティナインのオールナイトニッポン」で、岡村さんが休養中の様子を語っていましたので、今回はこちらを紹介させて下さい。

休養中に高倉健から手紙と本が届く

2010年12月9日放送「ナインティナインのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)。

岡村隆史がラジオに復帰してから2回目の放送。5ヶ月間の休養中には、お笑い関係者以外の方からもたくさんの連絡や差し入れがあったと言います。

岡村「あえて先週、言わなかったんですけども」
矢部「うん」
岡村「実はね、その、お笑いの方だけじゃないんですよ」
矢部「なるほど」
岡村「あの~、……励ましは」
矢部「はいはい」
岡村「これビックリすると思うんですけど、なんと高倉健さんから」
矢部「衝撃でしょ?」
岡村「すごいでしょ?、高倉健さんから直々に僕の携帯電話にメッセージと、後日、お手紙と本が届いたんです
矢部「ほぉ~」
岡村「あの高倉健さんからですよ! もうどんなメッセージが入ってたか、手紙になんて書かれてたかは言わないですけども、ほんで本もね、ものすごい……」
矢部「うん」
岡村「手紙やし、留守番電話やから、こう短い間に伝わらへんから『この本を読んで下さい』ってことで、それ読むと、ああっ、そういうことか……っていう」
矢部「メッセージが」
岡村「フワーっとなんかね、鳥肌が立ちましたよ、その本読んで」

どんな本だったか興味がありますが、そもそも高倉健さんと岡村さんの接点は何だったのでしょうか。

岡村「こんなチンピラ芸人に、お仕事1回というか、その(日本)アカデミー賞でお会いしただけですよ、あの~、それやのに、こんなチンピラ芸人に留守番電話とメッセージいただけるなんて」
矢部「だからその、映画の賞獲ったとき、もう高倉健さんだけね、スタンディングオベーション」
岡村「そう」
矢部「岡村さんに」
岡村「ちょっとアナウンサーがね……ふふっ、いやらしい感じで質問したんですよ」
矢部「うん」
岡村「『岡村さんはどういう俳優さんになりたいですか?』つって、で、『鉄道員』(ぽっぽや)で高倉健さんがもう賞総なめのときやったんですけど」
矢部「あ~、そうやそうや」
岡村「高倉健さんが……どこやったっけ? 高輪プリンスか」
矢部「うん」
岡村「高輪プリンスに来てはって、『岡村さん、将来どういう俳優さんになりたいですか?』って、『高倉健さんみたいになりたいです!』って言うて、もうドキドキやってん、そんときは」
矢部「うん、イチかバチかやもんなぁ」
岡村「イチかバチかでめっちゃ怒られるか、怒られるかも分からんと思いながら、『高倉健さんみたいになりたいです!』って言うたんですよ」
矢部「うん」
岡村「そしたら会場シーン……となって、ほんだら! 高倉健さんがファッと立って、1人でスタンディングオベーションしてくれたんです、それでもうなんか、みんながフワっとこう暖かい空気になって」
矢部「スベったのを助けていただいてる、高倉健さんに」
岡村「そうそう、完全フォローしていただいた」
矢部「ひゃははははっ、今回も助けていただいた」
岡村「助けていただいて、本当に」
矢部「ありがたいですね~」
岡村「ありがたいですよ」

ここで「高倉健からの手紙」と聞いて、同じラジオでだいぶ前に話していた「岡村隆史宅に空き巣が入った」ときのエピソードがふと蘇ってきました。

岡村隆史宅で起きた謎の空き巣事件

2004年4月8日放送「ナインティナインのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)。

先日、「ナインティナイン岡村隆史宅に空き巣が入った」との報道があったため、番組冒頭でそのことについて岡村さんが触れます。

岡村「まさか入られるとは思ってなかったんで、ものすごいあの~なんやろな、ゾッとしたというかね」
矢部「まあね、そやね~」
岡村「でもね、これなんか空気やな~と思ったんすけど、仕事帰ってきて、パッて玄関開けた瞬間に……」
矢部「うん」
岡村「いつもそんなこと無いんですけど、『アレ? なんか変やなぁ……』ってちょっと思ったんですよ、一瞬『親父、来てんのかな?』と思って、親父がよく来るんでね」
矢部「あぁ、人の気配や」

玄関近くにある姿見の位置が微妙にズレていることに気付いた岡村さん。何かがおかしいと疑いながら、部屋の中へ。

岡村「ほんで部屋に入ったら、カーテンが……カーテンがブワーッ揺れとったんです」
矢部「おお!」
岡村「えっ!?」
矢部「あはははっ! それはちょっと『えっ!?』やな~」
岡村「ウソーンと思って、窓のほう近付いて行って、そのカーテンをパッて開けたら、もうアレなんですよ」
矢部「うん」
岡村「ちょうどカギのとこが、丸く人の拳ぐらいにパリンッと割られてて、穴開いてるんですよ」
矢部「うん」
岡村「そっから風、ブワーッと入って来とるんですよ!」
矢部「おお、リアルやね」
岡村「で、下見たら、ガラス片がパーンッ落ちてて、『空き巣や!』思って、ウソーンと思って、『何盗られたんや?』と思って、こっから」
矢部「うん」
岡村「でもな、よう考えたら……そっからすぐ探し出してん、『何盗られたんやろ?』と思って」
矢部「うん」
岡村「で、あの、俺、現金を10万円だけ持ってたのよ、ほんで、引き出しの中に入れてたんよ」
矢部「ああ、置いてたんや」
岡村「あっ、アレ盗られたな~と思って(引き出し)開けたら、ポンッとあって」
(スタジオ笑)
岡村「アレ? あるやん……」

現金が盗られていないという違和感を抱きつつ、「空き巣犯がまだ部屋の中に居るかもしれない」と考えた岡村さんは、勇気を出して自宅内を調べていきます。

各部屋を見ていくと、引き出しやクローゼットの中身が引っ張り出されていたり、寝室の電気が点灯したままの状態だったりと、確実に物色された形跡はあるのですが何も盗られていない模様。とりあえず空き巣犯が自宅内に潜んでいないことを確認した岡村さんは、心を落ち着かせてからマネージャーと警察へ連絡しました。

不自然なカギ付きの引き出しに気付く岡村隆史

ほどなくしてマネージャーがやって来ました。その後、背広を着た刑事らしき人達も到着。岡村さん宅の現場検証が始まりました。

そのとき、ちょっと不自然な引き出しに気付いた岡村さん。

岡村「ひと通り『何時ごろ帰られました?』『盗られたモンは?』とか、全部こう聞かれて」
矢部「うん」
岡村「で、とりあえず俺も芸人やしと思って、なんか面白いこと言わなアカンのかな~と思うねんけど、そんな余裕もなく普通にやりとりしてて」
矢部「うん」
岡村「1個おかしかったのが、『ホンマに何も盗られているモンないですか?』って言ったら、あの1個、カギ付きのパソコンの、引き出しみたいのがあるのよ、カギ付いてんのよ、それ」
矢部「はいはい」
岡村「で、そこに何も大切なモン入れてないから、カギ差したままになってるのよ、そこはいっつもカギなんか掛けへんから、すぐ開くようになってんねんけど」
矢部「うん」
岡村「何を思ったのか、犯人が、そのカギを掛けていった」
(スタジオ笑)
岡村「俺掛けてないのに……」
矢部「うん、いい人やん」
(作家の小西さん笑)
岡村「うん……戸締り好きなんかな」
矢部「へへへへっ」
岡村「ええっ! 思って、俺開けよう思ったら、開けへんのよ!」
矢部「そのカギは?」
岡村「カギ付いたままやねんけど」
矢部「ああ」
岡村「なんでか知らんけど、掛けていきよってん、カギを」
矢部「へぇ~」
岡村「『危ないで~』ってことかなんか知らんけど」
矢部「くふふっ、メッセージかな?」
岡村「メッセージかな~? 犯人はそこだけ1回開けて、自分でカギ閉めよってん、意味分からへんやろ? ホンマに」
矢部「それ分からんなぁ、余裕もあるな~」

空き巣犯は、部屋中を物色しているのに何も盗んでない。さらに、カギを差したまま施錠していない引き出し。これにわざわざカギを掛けて出ていった。警察の現場検証によれば、空き巣の手口はプロによるものだと言います。

この謎だらけの空き巣事件。名探偵・岡村隆史が、これらの謎を解き明かしていきます。

空き巣犯が何も盗らずに部屋を去った理由を岡村隆史が推測

解決編。

岡村「『なんで何も盗らへんかったのかな?』と思って、考えて、結論なんですけど」
矢部「うん」
岡村「結論というか、コレじゃないかなと思うんですけど」
矢部「見解ね」
岡村「そうなんですよ、見解なんですけど」
矢部「うん」
岡村「開けていった引き出しの中に、あの~、これは初めて言うことなんですけど、高倉健さんからのお手紙をね、僕、入れてあったんですよ
矢部「へぇ~」
岡村「で、そのお手紙……まあ、何書いてあるとかは言わないですけども、高倉健さんからの、お手紙を入れてあったんですね」
矢部「うんうん」
岡村「それね、確実に、犯人は読んでると思うんですよ」
矢部「そうやな」
岡村「で、すっごい……なんて言うんですかね、いい事を書いてくださってるんですよ」
矢部「なるほど、なるほど」
岡村「その、仕事に関してのことをね、書いてくださってて」
矢部「うん」
岡村「で、まあ、こんなん僕が言うてええのかどうか、分かんないですけども」
矢部「うんうん」
岡村「初めて言いますけど、高倉健さんが……」
矢部「うん」

一瞬ためらいを見せた岡村さんでしたが、高倉健さんからの手紙の内容をほんのちょっとだけ紹介します。

岡村「頑張ってるのは分かってると、そやけども、そうやって潰れていく人ってのが多いから、本当にあなたがやりたいと思うお仕事、あの~……お金をね、稼ぐっていうことも大事やろうけども、ちゃんと自分が芸能人として、ちゃんと仕事していくんならば、あなたに合ってる仕事、例えば収入が減ったとしても、3食を2食に減らしてでも、あなたがやりたい、『こういう番組がやりたいんや』っていう番組をやりなさい、お金なんかは後でついて来るもんや」
矢部「ええこと言うね」
岡村「っていうようなことの、手紙が!」
矢部「ははぁ~」
岡村「入ってはったんですよ」
矢部「うん」
岡村「確実にそれ読んでるんですよ! 犯人は」
矢部「そやなぁ」
岡村「で、最後に『高倉健』って書いてあるんですよ」
矢部「うん」
岡村「それ見て、(犯人が)『あっ、健さん……』と思って、スッと窓から出て行ったんじゃないかなと思ってるんですよ、何も盗らずに」
矢部「『俺ってなんてことをしてるんだ』と」
岡村「そうなんですよ」
矢部「うわぁ、ええ話や」
岡村「『泥棒でお金をなんて……』と思って、出て行ったんかなって思って」
矢部「ははははっ、うわぁ、いいね~」

岡村さんの推理ではありますが、これが真相ではないでしょうか。

約7年前の高倉健さんからの手紙ですが、今の岡村さんに宛てて書かれているかのような内容。改めて聞き直してみると、なんか不思議な気持ちになります。