笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

「M-1グランプリ」敗者復活が生み出すドラマ

「M-1グランプリ」は笑い飯の優勝で、その歴史に幕を閉じました。

これが一番収まりのいい終わり方だったのではないでしょうか。

個人的な気持ちは、これで終わりという現実がまだ信じられず、今後の展開に希望を抱いている次第です。リップサービスかもしれませんが、ちょっとそんなことを匂わす島田紳助さんのコメントもありました。でもしばらくはM-1グランプリについて触れる機会も無さそうなので、今回は敗者復活にスポットを当ててまとめて紹介させて下さい。

まず放送作家の鈴木おさむさんがパーソナリティを務める「よんぱち」。前に「TOKYO FM「よんぱち」で最後のM-1グランプリ特集 - 笑いの飛距離」でも紹介したのですが、それ以外にもサンドウィッチマンの敗者復活からの優勝について語られていました。

M-1敗者復活といったらサンドウィッチマン

2010年12月24日放送「よんぱち 48hours」(TOKYO FM)

パーソナリティは鈴木おさむ。
アシスタントは柴田幸子。
ゲストは、はりけ~んず前田、ラリー遠田(お笑い評論家)

話題は、敗者復活会場の熱気について。

鈴木「あれってどうなんですか?敗者復活のところから(決勝の様子が)見えてるわけじゃないですか」
前田「見えてます、みんな見てます」
鈴木「見てて、敗者復活のヤツが決勝(最終決戦)行くと、やっぱ温度が『ウォー!』てなるんですか?」
前田「会場残ってるお客さんは『ウォー!』となりますね、それまで自分が好き嫌いあって、この子のファンやとかありますけど、あの敗者復活はね、時間が経つとね、上がった人を全員が応援してしまうんです」
鈴木「はっはっはっはっ」
前田「もうね、3千人ぐらい、の全員がその人を応援するんです、好き嫌いなしに」
ラリー「はい」
鈴木「サンドウィッチマンが優勝したときのことって、覚えてます?」
前田「覚えてます」
鈴木「どんな感じでした?会場は、敗者復活会場は」
前田「『ウワー!』とどよめきましたよ、今までに無いぐらいどよめきました、芸人が見てる部屋も一斉にどよめきました、ホンマに遠くで、ネタでもなく馬鳴いたん覚えてますもん」
(鈴木・ラリー笑)
前田「この時間に起きたらアカンなのに、馬起こしてしまったんです」
鈴木「はっはっはっはっ」
ラリー「芸人さんが帰らなかったって言いますもんね」
前田「そうなんです、だから芸人も多分どっかで悔しいから落ちろっていう部分も絶対あるんですね、それがあの大会はサンドウィッチマン取れ!って全員がなったんです

この年の敗者復活は震えましたね。

めちゃイケの放送作家もしている鈴木おさむさんが、サンドウィッチマンにまつわるちょっとした裏話を披露。

鈴木「僕はちょうど、めちゃイケで『笑わず嫌い王』ってのをずっと、何年かに1回やってたんですけど、その年に……、年明けてからかな?2月にまた久々にやろうと話したときに」
前田「はい」
鈴木「その番組のディレクターさんが『サンドウィッチマンってのがちょっと気になるんだよね~』って言って、スタッフルームに資料があったんですよ」
前田「はい」
鈴木「サンドウィッチマンか~って思ってたら、それがM-1でポーンって行ったんで、だけど優勝するべくしてしたんだろうなって気はしますよね」
前田「そうですよね~」

この話を聞いて、ナインティナインも同じことを言っていたのをふと思い出しました。

M-1王者になったサンドウィッチマン、めちゃイケ「笑わず嫌い王」への出演なくなる

2007年12月27日放送「ナインティナインのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)。

オープニングトークで、数日前に放送された「M-1グランプリ」について言及。

矢部「やっぱM-1王者でしょう」
岡村「M-1ね、サンドウィッチマンが、え~、グランプリということで、お笑い王国吉本敗れたりという」
矢部「ええ」
岡村「状態でしたけども」
矢部「快挙や」
岡村「いや~、すごかったですね、あの~、もしかしたらトータルテンボス……、とかもチラッと思ったんですけども、やっぱり勢い的に」
矢部「うん」
岡村「サンドウィッチマンやったかなっていう、感じはしたんですけどね」
矢部「そうやね~」
岡村「いや~、すごかったな~」

M-1放送直後、決勝で戦っていたキングコング梶原さんへメールを送ったと話すナイナイ岡村さん。そして、サンドウィッチマンを「笑わず嫌い王」に呼ぼうとしていた事を明かします。

岡村「というのもまあ、ここで発表することじゃないのかも分かんないですけども、来年、来年あの~、『笑わず嫌い』を」
矢部「あ~」
岡村「ちょっとやろうやないか、みたいなことになってたんですけども」
矢部「めちゃイケのね」
岡村「で~、サンドウィッチマンが候補に挙がってたんですよ
矢部「そうなんですよ、実は」
岡村「ええ、でも、M-1獲ってしまったんで……、無しになったという、めちゃイケ特有の」
矢部「ふっふっふっふっ」
岡村「普通、逆やろ!と思うんですけども」
矢部「普通はね」
岡村「獲ったからめちゃイケでっていう感じなんですけど、めちゃイケ的には獲ったからNGみたいな」
矢部「へっへっへっへっ」
岡村「サンドウィッチマンはオモロいから、あの、出してみようみたいなことやったんですけど」
矢部「そうね」
岡村「結局なんか……」
矢部「主旨に合わなかった」
岡村「そう、ふふっ」
矢部「その~、『笑わず嫌い』は、埋もれてる面白いね」
岡村「なんかね」
矢部「お笑いさんを」
岡村「みたいな感じの主旨やったんですけど、残念ながらちょっと、あの~、サンドウィッチマンが獲ってしまったので」
矢部「有名になってしまった」
岡村「有名になってしまったので、ちょっと出れないみたいな」
矢部「ふっふっふっふっ」
岡村「状態になってしまったんですけども」
矢部「ふっふっふっふっ」
岡村「いや~」
矢部「まあ他では出まくるからね」
岡村「まあまあ、そうですね、結局ね」

もうこのときからサンドウィッチマンに風が吹いていたってことなのでしょうね。

サンドウィッチマン以外にも「M-1グランプリ」の敗者復活と聞いたら、やっぱりオードリーは外せません。ここからオードリーの快進撃が始まったと言ってもいいかなと。

「M-1グランプリ」敗者復活から快進撃が始まったオードリー

2010年12月18日放送「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)

パーソナリティはオードリー(若林正恭・春日俊彰)。
ゲストはトータルテンボス(大村朋宏・藤田憲右)。

オードリーが敗者復活から勝ち上がったときに、トータルテンボスが会場でレポートをしていたということで、そのときの話で盛り上がります。

若林「で、僕ら敗者復活のときに、トータルさんがあの~、大井競馬場のレポート」
大村「あっ、そうだね」
藤田「そうだそうだ」
若林「ネタ終わって、全組……、あっ、ネタ終わって帰ってきたぐらいで藤田さんが、『多分、行けんじゃない?』って声掛けてくれたの覚えてるんです
藤田「あぁ、うん、絶対行ったと思ったもん」
春日「え~」
若林「結構(会場が)大きいし、意外と自分たちがウケてる感じが分かんないじゃないですか、他の人に比べて」
藤田「あ~、屋外はね」
若林「だからそれすごい覚えてて、でもなんかそのキャラ漫才だから、上がらないだろうっていう噂が結構強めにあったから、思ってなかったんですけど」
春日「うん」
若林「そういうのすごいよく覚えてます」
春日「いやいや覚えてます、私も藤田さん、私が……、なんだっけな?終わって~、コーヒーかなんか作ってたんですよ」
藤田「うん」
春日「ケータリングのところで」
藤田「うんうん」
春日「したら藤田さんが来てくれて、なんか『お前ら行ったから~、今から、今すぐ2本目のネタ決めて、もう練習しとけ』つって」
大村「うわ~」
春日「言われまして、『いやいや!そんな!行くわけ無いじゃないですか』みたいな会話で」
若林「そうですよね」
春日「『そこはちょっと早いですよ、2本目は』みたいな会話をしたのを覚えてます」
大村「なるほど、すごいイイ兄さんだと」
若林「はい」
大村「俺でもそのとき正直、『ふざけんなよ、オードリー』って思ってたからね」
(オードリー爆笑)
若林「ちょっと待ってくださいよ、大村さん」
大村「いやマジでマジで、俺思ってたよ、そんとき、オードリー行きやがるぞ!と」
若林「詳しく聞かないとマズい」
春日「わっはっはっはっはっ!」
若林「きゃっはっはっはっ、『行きやがるぞ!』って」
大村「それ話してあげるよ、それは、理由がね、理由があるし」

CMを挟んで、話の続き。

若林「ちょっと先ほどはあの~、聞き捨てならない、ふふっ、大村さんからの」
春日「そうね~」
大村「ふざけんな発言でしょ」
若林「ふふっ、ふざけんな発言ですよ」
大村「いや、そのオードリーが嫌いってわけじゃないよ、オードリーめちゃくちゃ面白いし、その実力的には絶対行っちゃうなとは思ってたけど」
若林「はい」
大村「なんでイヤだったかと言ったらやっぱり、敗者復活の~、あの感じにすごいトラウマがあって」
若林「はいはい」
大村「その前年度、やっぱり俺たちは優勝をほぼ手中に収めたというか、もうちょっとで優勝出来るんじゃないかという空気まで行ってたのに」
若林「はい」
藤田「あのパンチドランカーと暴力団風の男にね」
大村「そうそうそう」
(オードリー笑)
若林「いや、言ってもいいじゃないですか、コンビ名」
大村「訳分かんない2人にね、かっさらわれた」
春日「あっはっはっはっはっ」
若林「サンドウィッチマンさんですよね」
大村「痛いほど、あの敗者復活の勢いっていうのを、痛いほど知ってて」
若林「はいはい」
大村「あの一致団結感すごいでしょ?」
若林「あ~」
春日「そうですね」
大村「敗者復活会場の、そっから送り出したその1組に対しての応援のあの熱」
若林「はい」
大村「あれすごいじゃん」
若林「はい」
春日「そうですね」

この年の敗者復活会場の一致団結感は、特にすごかったように思います。テレビで見た限りですが。もう一度言いますが、私も震えました。^^;

トータルテンボスに憧れて吉本へ入ったオリエンタルラジオ

そのサンドウィッチマンが駆け抜けた年の敗者復活会場に居た、オリエンタルラジオについて語り始めるトータルテンボス大村さん。

大村「俺らもそのDVDを見返して、やっぱその敗者復活会場だけにカメラを当ててる、その映像もあるわけじゃん」
若林「はいはい」
大村「それ見てたらすごいんだよ、『サンド!サンド!』みたいな、優勝したときも『ウォー!!』みたいになってて」
春日「そうですね」
大村「そのときにその、オリエンタルラジオって、その~、俺らを見て、吉本に入ってきたんだって」
若林「(初耳で驚いたように)あっ」
春日「へぇ~」
藤田「きっかけが」
若林「ライブでですか?」
藤田「そうそう」
大村「俺らが明治大学の、その学園祭に行った時に」
春日「ほぉ~」
若林「はぁ~」

その学園祭にオリエンタルラジオの2人が見に来ていたんだそうです。トータルテンボスがネタをやっている姿を見て、

大村「『あの人達面白かったな、がっつりネタやった人』っていう感じで、『あんな面白い人たちがいるんだ』つって、入ったっていうのを聞いてて」
若林「へぇ~」
大村「で、そのDVD見てたら、敗者復活会場にオリエンタルも居て、みんな『サンドー!』とかって言ってるときに、アツヒコ(中田敦彦)だけ」
若林「はい」
大村「すげ~しかめっ面してたの」
若林「あ~、そうなんですか」
春日「へ~!」
大村「『チッ!』みたいな」
若林「はいはい」
大村「で、アツヒコにそれを聞いたら、『サンドウィッチマン、やっぱ悔しいですよ』と、『俺らが目指したトータルさんが、あの~、同じ会場に居たサンドですけども、やっぱり他事務所ですし、負けてもらいたくなかったんです』って」
若林「はいはい」
春日「ほぉ~」
大村「『ありがとな』つって、で、家に帰ってもう一回見たらやっぱ、アツヒコそういう顔してて」
春日「はい」
大村「『うわ~、熱いな~』と思ったら、フッとその横見たら、シンゴ(藤森慎吾)が『サンドー!!』
(オードリー爆笑)
藤田「もう最低だよ」
春日「もぉ~」
大村「コイツなんなんだよと」
若林「きゃっはっはっはっ」
春日「くず野郎ですね!」
大村「くず野郎だよ」
(若林笑い止らず)
大村「コイツふざけんなと、すぐムードに流されるヤツだなと」
春日「単純にお祭り好きなだけじゃないですか」
大村「はっはっはっはっ」
春日「わっはっはっはっ」

このエピソードはオリエンタルラジオの魅力を十分に表していますね。しかし笑えます。^^;

M-1グランプリは2007年と2008年が、私の中では一番熱かったです。敗者復活を一番の見所として捉えていた、分かりやすい視聴者だったからかもしれません。この熱さを体験することが出来る日が、またやって来るのを願わずにはいられません。