笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

TOKYO FM「よんぱち」で最後のM-1グランプリ特集

ついに明日に迫ったM-1グランプリ2010。やはり事前番組などで決勝までの過程や出場する8組、さらには敗者復活で最後のイスを争う漫才師たちについて、ちょっとでも知っておけば楽しみも増すのではないでしょうか。
ヘビーリスナーとなりつつあるTOKYO FM「よんぱち 48hours」。こちらの番組ではりけ〜んず前田さんとお笑い評論家ラリー遠田さんをゲストに迎えて、M-1グランプリ特集が放送されていましたので、今回はこちらを紹介させて下さい。

M-1戦国史 (メディアファクトリー新書)

M-1戦国史 (メディアファクトリー新書)

今年のM-1グランプリ準決勝は初の両国国技館開催

2010年12月24日放送のTOKYO FM「よんぱち 48hours」。

はりけ〜んず前田、お笑い評論家ラリー遠田がゲスト。パーソナリティは鈴木おさむ、柴田幸子。まずはM-1の発展について。

鈴木「今年、準決勝、両国国技館でしたけど、こちらも」
前田「やらさせていただきました」
鈴木「MCを」
前田「はい」
鈴木「どうでした?今年ラストだってことは分かって・・・、なかったのかな?あんときはまだ」
前田「まだ、発表されてなかったですね」
鈴木「どんな空気でした?」
前田「やっぱりね、芸人はどっかで、今年で終わるんちゃうか?っていうのがあるし」
鈴木「噂はいろいろ出てましたもんね」
前田「例年よりやっぱ一番、危機感と緊張感が伝わってきましたね」
鈴木「あ〜、なるほど」

今年で終了するM-1。発表前からそんな空気を芸人さんはなんとなく察知していたんですね。

M-1グランプリがどんどん大きな存在に

鈴木「M-1始まって、1年目というのは、前田さんはもう出場権利はなかった・・・」
前田「なかったですね、ちょうど11年目に入って、で、予選MCですね」
鈴木「まあ正直、僕、M-1始めるときって、ぶっちゃけここまで大きくなるとは、当然誰もが思ってなかったですよね」
前田「はい」
鈴木「どうでしたか?実際、MCをやられて」
前田「ここまで盛り上がるとは思ってなかったし、元々あの〜、紳助(島田紳助)さんから聞いたんですけど、こんなに続ける気持ちもなかったし、続くと思わんかった」
鈴木「うん」
前田「こんなにあの〜、いっぱいね、世に出る売れっ子作るためじゃなかったんですよ、M-1立ち上げたのは、みんなに辞めるきっかけを与えるために作った大会だったんですよ」
鈴木「うん」
前田「芸人ってあの〜、クビもないですし、定年もないですから、それで決勝に残られへんかった、10年経っても残られなかったヤツはもう辞めたほうがええで、という辞めるチャンスを与えるための大会だったんです」

この理由については、紳助さんらしい照れから生まれたものかな?とちょっと思ったりも。

鈴木「1年目、え〜、中川家、2年目がますだおかだ」
前田「はい」
鈴木「で、なんかそれまでは正直、見ても結果を聞いても、『ん〜、まあまあね〜』って感じだったんですけども、3年目あたりから、3年目はフット(フットボールアワー)でしたっけ?」
ラリー「はいはい」
鈴木「フットが優勝したあたりから、ちょっとグッとこう」
前田「そうですね」
鈴木「なんかこう、若手がチャンスをつかむためのモノに変わってきたような気がするんですけど、どうですか?ラリー遠田さん、その辺」
ラリー「そうですね、なんか毎年こう、優勝者の顔ぶれが変わってきて、例えば2年目で、ますだおかださんが優勝したことで、その〜吉本じゃない芸人さんが」
鈴木「はいはい」
ラリー「優勝したということで、『あっ、吉本の大会なんだけど、そういう事務所とか関係ないんだ』ということで、一気にみんなの注目が高まったと思うんです」
鈴木「はい」
ラリー「で、2004年にはアンタッチャブルさんで、その〜関西芸人以外の」
鈴木「あ〜」
ラリー「関東芸人から初めて優勝が出たっていうことで、そういうタイプの漫才でもいいんだと、そうものを通して段々みんなが、M-1というものを受け入れていったというか、それで盛り上がっていった感じがします」

続いて、それぞれが思う印象深い大会についての話になります。

印象深いM-1グランプリ王者

鈴木「あの〜、ちょっとお聞きしたいんですけど、個人的にですよ、今までの過去9回の中で、特に印象に残っている、見てていろんなバトルあったじゃないですか」
前田「はい」
ラリー「はい」
鈴木「誰が優勝した回が、個人的にすごく印象に残っているか聞きたいんですけども、いっぱいあると思うんですけど、あえて1個挙げるなら」
前田「1個挙げるとしたらやっぱり、敗者復活やらせていただいてるから、サンドウィッチマンですね〜」
鈴木「が優勝したときの」
前田「はい」
鈴木「あ〜、あんときにはすごい、どよめきましたもんね〜」
前田「そうですね、ホンマにM-1ドリームでしたから」
鈴木「う〜ん、どうですか?ラリーさん」
ラリー「そうですね、僕はまあ本にも書いてるんですけど、え〜、2008年大会でNON STYLEさんが優勝したときなんですけど」
鈴木「はい」
ラリー「あのときのM-1は本当に好きで」
鈴木「なんで好きなんですか?あのときの大会が」
ラリー「なんか全部がこう完璧だったんですね、勝負の流れもあるし、審査員さんのコメントひとつひとつが」
鈴木「はいはい」
ラリー「あとその〜、やっぱM-1ってこう、ちょっとウケなかった芸人さんが気まずくなるみたいなことってあるじゃないですか、でも2008年に関しては、そういう人でさえもコメントで救われたりだとか」
鈴木「あ〜」
ラリー「そこで笑いになったりとかして、全てがこう完璧だったというか、隙がない大会、一番盛り上がった大会ではないかなっていう」
鈴木「僕は、アンタッチャブルが優勝したときが、すっごい印象に残ってるんですよ」
ラリー「あ〜」
鈴木「っていうのは、前年フットで、アンタッチャブルって元々、ああいう漫才をするタイプじゃなかったんですよ、昔は」
ラリー「はい」
鈴木「なんか全然タイプ違ったんだけど、気付いたらすっごい面白くなってて、それでなんか優勝したときの会場の空気?」
ラリー「はい」
鈴木「全体の空気がグワーッとボルテージがものすごい・・・、あの年からさらにまた一気にあがり始めたって印象がなんかあるんですけどね〜」

そして、今年のM-1についての話へ。

今年のM-1グランプリ決勝進出者8組を見て

鈴木「今回のコンビ紹介しましょう、今のところ8組、カナリア、これね、正直僕びっくりしました」
前田「はい」
鈴木「カナリアが行ったっていう、元々ネタもちろん面白いですけど、漫才のイメージがなかったんで〜」
ラリー「はい」
鈴木「カナリアとジャルジャル、スリムクラブ、これ吉本東京、え〜、銀シャリ、ナイツ、笑い飯、ハライチ、ピース、この8組です、準決勝でMCをされてた前田さんからすると」
前田「はい」
鈴木「この8組どうですかね?意外なというか、そういう組もいると思うんですけど、もうみんな、この8組は爆笑を」
前田「そうですね、もうほぼ・・・、まあ自分らでびっくりしてるコンビもおるかも分かんないですけど、ほぼまあ、そない文句のないメンバーが揃ってるかな〜と思います」
鈴木「うん」
前田「でもね、ホンマにもっと、通っててもええ人らもおったような気もするんですけどね、まあこの人ら行くんちゃうか?と思ってたのも、いっぱいおったんですけど、だから審査が一番困ったんちゃうかな思いますけどね」
鈴木「どうですか?ラリーさんからすると、この8組というのは、びっくりした人いました?」
ラリー「そうですね、まあ割とスリムクラブなんかは、かなりこう特徴的な芸風なので」
鈴木「うん」
ラリー「ちょっと好き嫌い分かれるところもあるんで、どうかな?と思ったんですけど、やっぱ呼ばれたときは結構、客席からもどよめきが起こってましたね」
鈴木「お〜」
ラリー「スリムクラブが来たか〜っていう」
鈴木「ほぉ〜」

途中、歌を挟んで後半へ。さらに準決勝の様子をMCをされた前田さんに尋ねます。

鈴木「今日は『よんぱち』、はりけ〜んずの前田さんと、お笑い評論家のラリー遠田さんをお迎えして、最後のM-1グランプリを特集していますが、まず聞きたいです、前田さん」
前田「はい」
鈴木「え〜、両国で見てて、単純にですよ、前田さんの私見ではなく、笑い声の量でいくと誰が一番でしたか?」
前田「笑い声はもう、ダントツ、笑い飯がきてたかなと」
鈴木「はあ〜、なるほどなるほど」
前田「ちょっと前半、笑い飯のちょっと前ぐらいから静かな状態だったんですよ、お客さん、そっからまたドッカーンと盛り上げてくれたので」
鈴木「なるほど〜、じゃあ笑い飯はかなり・・・、なんかネタも結構隠してるとか」
前田「今年はホンマに隠してて、本気で欲しいみたいな感じなんですよ」

最後は、M-1が盛り上がった要因でもある敗者復活の話題へ。

敗者復活会場の大井競馬場に潜む魔物

鈴木「ちなみにもうひとつ聞きます、え〜、敗者復活戦」
前田「はい」
鈴木「ね、やられますけど、その敗者復活戦誰が出てくるかはもちろん分からないんですけど、今回落ちたメンバーで、笑い声デカかったぞっていう人は誰でしょう?」
前田「準々決勝を見てる限りでは、パンクブーブー、東京ダイナマイト、え〜、タイムマシーン(3号)、でまあ、ポイズン(POISON GIRL BAND)も笑いすごかったですけどね」
鈴木「ほ〜、パンクブーブーは去年とはまた違うタイプのネタを作って」
前田「はい」
鈴木「笑いをかなりとってたという噂もありますんで〜」
前田「そうですね」

パンクブーブーは要チェックですね。

鈴木「当日はどこで見るんですか?」
ラリー「当日は、敗者復活は見ようかなと思ってるんですけど」
前田「あっ、大井競馬場」
ラリー「ええ」
鈴木「あれって想像以上に寒いですよね」
前田「順番がね、前半取るか、一番おしりのグループ取るかが一番有利ですね、で、夕方3時から4時が急に気温が下がってきますし」
鈴木「はっはっはっはっ」
前田「西日が射すので、西日がちょうどお客さんをピカーッてなるので、もうお客さんがまぶしい〜って顔で漫才を見るので、芸人が乗らないんです」
ラリー「はいはいはい」
鈴木「へぇ〜、へっへっへっ」
前田「だから時間帯もね、かなり、寒むくなる3時〜5時、かわいそうですね」
鈴木「へぇ〜」
前田「西日タイムはかわいそうですね」

前にダイノジ大地さんが言ってたことなんですが、敗者復活会場には空撮のヘリコプターがあって、どうか自分達のネタ中に来ないでくれ!と願っていたんだそうです。それを聞き、大谷さんはそういったコンビを集めて、アメトーークで「ヘリコプター芸人」としてやってあげてと。^^;

はりけ〜んず前田のM-1グランプリに対する気持ち

鈴木「前田さんとかは、ちょうど11年目になって、M-1ってものが無かったじゃないですか」
前田「はい」
鈴木「だからやっぱり正直、僕見てて、自分の周りのね芸人が、まあカリカとかいっぱいいますけど、M-1に出れなくなった瞬間、すごいそこに目指してみんな、1年に1回頑張ってると」
前田「はい」
鈴木「出れなくなった瞬間から、みんな考え方が変わったりとか、実はタカトシ(タカアンドトシ)なんかは出れなくなった後にブレイクしてるんですけど」
前田「そうですね」
鈴木「どうでしたか?自分達が11年目のときにそういうものが出来て、うらやましい!って思いはやっぱり・・・」
前田「あの〜、1回は出たかったと思います、うらやましかったですね〜」
鈴木「うん」
前田「出るんやったら1回目、2回目・・・、同世代とやりたかったですね」
鈴木「あ〜」
前田「あの、今より、1回目、2回目に出たかったですね」

同世代と一緒に戦いたかったと語る前田さん。いろんな思いを噛み締めて出た言葉に感じました。

M-1グランプリが無くなるという現実

鈴木「そうか〜、でもこれが、M-1ってものがお笑い界を変えて、スターをたくさん作りましたよね」
ラリー「そうですね」
鈴木「この本にもたくさん書かれてますけども、やっぱ、たくさんのスターを作り、文化を作りましたよね」
前田「そうですよね〜」
鈴木「これ、無くなったらどうなると思います?」
前田「はっはっはっはっ、そうですよね、来年ね〜、なんか物足りへんっていう感じになるし」
鈴木「しかもネタ番組も今年終わり・・・」
前田「そうですね」
鈴木「ついにM-1まで終わってしまい、芸人が飲むたびに『僕らはどうすればいいんだ?』っていう、ふっふっふっ」
前田「そうなんですよね、1年間の目標が立てにくいですよね」

M-1がなくなった後のお笑い界はどうなっていくのでしょうか。

今年は審査員にも注目

鈴木「あっ、そうだ!ひとつ言い忘れてた、今年審査員」
前田「はい」
鈴木「ちょっとポイントですね」
ラリー「はいはい」
鈴木「審査員、今年まだ発表になってないのかな?」
ラリー「発表されてますね」
鈴木「されてます?本当ですか、え〜と、今回新メンバーがさまぁ〜ずの大竹さん、雨上がりの宮迫さんが入ってるんですよね、ちょっと楽しみですよね、これだけ若返った、どうですか?」
ラリー「なんかもう世代が変わるので、審査傾向にちょっと変化が出てくる可能性も」
鈴木「あるかと」
ラリー「本人がもう、活躍した人と自分が、バラエティで共演する可能性があるわけじゃないですか、宮迫さん、大竹さんは」
鈴木「うん」
ラリー「そういう視点でどう審査するかってのが入ってきますから」
鈴木「あ〜、なるほど、その辺も今回かなり見所ですよね」
ラリー「そうですね」
鈴木「というわけで、あさってのM-1楽しみです、もちろん、TOKYO FMをつけながら見てちょうだいね」
(スタジオ笑)

審査員の話題もなんとかねじ込み、M-1グランプリ特集は終了。

全方位型お笑いマガジン コメ旬 comedy-junpo Vol.1 (キネマ旬報ムック)

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  • 作者: ラリー遠田,爆笑問題,とんねるず,サンドウィッチマン,デーブ・スペクター,中山功太,ますだおかだ,柳原可奈子,髭男爵,ダンディ坂野,波田陽区,囲碁将棋,キャプテン渡辺,かもめんたる,ニッチェ
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