笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

内村宏幸にとってコントとは唯一の武器

2010年9月8日水曜日、ウッチャンが座長を務めるコント番組「爆笑レッドシアター」が終了しました。
同じ時間帯にJ-WAVEで、アンジャッシュの渡部健に放送作家の内村宏幸とドランクドラゴンを加えた4人で、ひたすらコントについて語るというラジオ番組「PLATOn」が放送されていました。
私は「爆笑レッドシアター」をリアルタイムで見て、その後すぐに録音しておいた「PLATOn」を聞きましたが(レッシアも録画してるけど^^;)、この日ほどコントについて考えさせられたことは無いかもしれません。どちらの番組も心を揺さぶられまくりでしたが、今回は「PLATOn」の方をご紹介させてください。

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J-WAVE「PLATOn」でコントを語りまくり

2010年9月8日放送のJ-WAVE「PLATOn」。

テーマは「コント」。ゲストにウッチャンのいとこで放送作家の内村宏幸、ドランクドラゴン(塚地武雅・鈴木拓)。パーソナリティはアンジャッシュ渡部健。ここではウッチャンと区別するため、内村宏幸の会話の名前を「あんちゃん」と表記しています。

渡部「ちなみにこの4人は、共通点で言うと今ね、『バカヂカラ』っていうコント番組を今ね、やらせていただいてる」
鈴木「はい」
渡部「これどういう番組かって言うと、まああの、MXテレビでやってるんですけど、あの〜、定点、固定カメラ、いわゆるカメラが1箇所で、え〜、固定カメラで編集もしないでそのままコントをする、っていうことでいいですかね?内村さん」
あんちゃん「はい」
渡部「なんて説明したらいいですかね」
あんちゃん「いや、もうその通りですけど」
塚地「のぞき見的なニュアンスですよね」
あんちゃん「そうですね」
渡部「この番組は一応、人力舎芸人だから、あとはアンタッチャブルとか、おぎやはぎ、北陽、東京03なんかでやってる番組で、内村さんもえ〜と、コント作家で入っていただいてるってことなんですけども」
鈴木「はい」

内村宏幸の紹介も兼ねて、今まで関わってきた番組を挙げていきます。

内村宏幸のキャリア=コント番組の歴史

渡部「でも内村さんは本当にね〜、あの〜、それこそキャリアで言うと、『ひょうきん族』から始まって」
あんちゃん「そうですね」
渡部「『ごっつええ感じ』、それこそウンナンさんの『やるやら』があって、『夢で逢えたら』がその前にもちろんあって」
鈴木「『笑う犬』とかね」
渡部「あって、今で言うと『サラリーマンNEO』があって、もう、いわゆる内村さんのキャリアは、日本のバラエティのコント史と言ってもいいぐらい・・・」
塚地「いいですね」
鈴木「そうですね〜」
渡部「全部こう、関わって来られてるじゃないですか」
塚地「歴史ですよね」
あんちゃん「気付いたらなんか、長くやってますけど」

そんな内村宏幸に、アンジャッシュとドランクドラゴンの印象を尋ねます。

渡部「そんな内村さんから見て、僕らとかって、どう映ってるんですか?」
鈴木「いや〜!それ〜、怖いな〜」
塚地「渡部さん、よう聞いたな〜!」
鈴木「ホントだよ」
渡部「いやいや、だって、生き字引みたいな人ですよ」
塚地「まあそうですね〜」
渡部「どう映るかっていうの聞きたいじゃん」
あんちゃん「いや、あの、もちろん、もう一流の方々と思ってますし」
渡部「(恐縮して)いやいや・・・」
鈴木「ホントですか?まあ、けなす訳にもいかないですよね」
あんちゃん「あの〜、さっき打ち合わせで言ったように、特に無いです」
(スタジオ笑)
塚地「あっはっはっはっはっ!」
鈴木「あ〜もう、言っちゃったよ、それが一番ひどいですよ」
渡部「興味が無い?」
あんちゃん「いやいや、でもホント、コントをやる力のある人達だなと、思ってます」
渡部「ホントですか?」
あんちゃん「ホントそうです」
渡部「いや〜、嬉しいですよね、そう言われると」
塚地「嬉しいですね」

アンジャッシュ渡部、本題に入る前に今年のキングオブコント(KOC)について触れます。

KOCで予選落ちしたアンジャッシュとドランクドラゴン

渡部「今、漫才と一緒で、M-1グランプリみたいなコントの大会も始まったの知ってます?」
鈴木「あ〜、やりましたね」
渡部「『キングオブコント』っていう、で、内村さんは審査員もやってて、で、僕ら(アンジャッシュ)とドランクドラゴンは見事予選落ちした2組なんです」
(スタジオ爆笑)
鈴木「そうなんですよ!あれ聞きましたよ!なんで落としたんですか〜!!」
塚地「内村さん!なんですか!ポイントは?」
渡部「力が足りないからです」
塚地「あっはっはっはっはっ」
渡部「内村さん、僕が答えます、力が足りないからです」
鈴木「渡部さんも落ちてるんですから〜」
(塚地笑)
渡部「だから今日は、コントとはもう1回考え直して、来年につなげましょうよ、ね」
あんちゃん「僕はあの〜、100点入れたんですけどね」
(スタジオ笑)
鈴木「ウソでしょ!ずるい!」
渡部「これを最初に言わないと、アイツらなんでコント語ってんだとなりますしね」
塚地「そうですね」
鈴木「はいはいはい、落ちてるからこそ」
渡部「反省の意を込めて、今日の」
塚地「イチから見つめ直しましょう」

キングオブコントで予選落ちしたアンジャッシュとドランクドラゴン、審査員をしていたあんちゃんに総ツッコミ。^^;

「バカヂカラ」の魅力

番組中盤、内村宏幸が関わってきたコント番組を深く掘り下げていき、当時の思い出や裏話で盛り上がります。ひょうきん族から始まり、夢逢え、ごっつええ感じ、ウンナン番組と。それこそアンジャッシュとドランクドラゴンが見て育ってきた番組ばかりで、このときばかりは完全にお笑いファンに戻っていた彼ら。

渡部「いや、すごい数々のね」
あんちゃん「そうですね、気付くとなんか、長いことやってたなと」
塚地「トップとばっかりですもんね」
鈴木「ず〜っとトップ」
渡部「ね〜、てなると、『バカヂカラ』って、ふふっ」
塚地「ホントやわ〜」
渡部「モチベーションをどうやって」
あんちゃん「いやいや、あの〜、でもね、ホント・・・」
鈴木「下がりっぱなしでしょう」
塚地「クソみたいな芸人たちやもん」
鈴木「ホントだよ〜」
あんちゃん「ホントにこれ、あの〜、斬新と言うか」
渡部「確かに」
あんちゃん「実験的な番組なんで」
渡部「いや、今までに無いですよね」
あんちゃん「僕も、難しいんですよ」
渡部「うん」
鈴木「いや、そうでしょうね〜」
あんちゃん「今までに無い頭の使い方をしなきゃいけないんで〜、舞台と一緒じゃないですか」
渡部「そうですね」
あんちゃん「編集もしないし、あの〜、ね、NGが出たらまたもう1回という(ことが出来ない)」
塚地「そうですよね〜」
渡部「ま、そういうことをすごく活かしたシチュエーションですもんね」
あんちゃん「そうです、そうです」
渡部「たくさんあって」
あんちゃん「全然考え方が違いましたね、今までと」
渡部「あっ、なんかちょっと違う脳みそを使ってる感じですか」
あんちゃん「はい、ものすごい今、だから楽しいですね」
塚地「おお〜」
鈴木「へえ〜」

バカヂカラを支えている人力舎のお笑い芸人たちについて、アンジャッシュ渡部が語ります。

人力舎の強み

渡部「でもホントになんかこう、僕はね、あのどっちかって言うとその、フリ役とかツッコミ役が多いですけど、僕思うに・・・、人力舎の芸人さんで、ああいう平場(ひらば)で、ちゃんと演技で笑い作れる人多いですよね」
あんちゃん「ああ、そうですね、ホントに」
渡部「まあ、塚っちゃんもちろんですけど、山崎(アンタッチャブル)もそうだし」
鈴木「はい」
渡部「小木(おぎやはぎ)さんもそうだしね〜」
あんちゃん「若い人もね」
渡部「若い人もそうですけど」
あんちゃん「準決勝勝ち抜いた人も、居ますしね〜」
渡部「キングオブコント決勝も、ラバーガールとキングオブコメディ」
鈴木「なんであれ、ウチら落としたんですか〜!あれ〜」
(スタジオ笑)
あんちゃん「(苦笑いで)いや、僕はだから100点を付けたんです」
鈴木「ウソでしょ、それ〜」
塚地「後輩が受かって嬉しいけど、どっかでスベれへんかな?と思ったり」
(スタジオ笑)
鈴木「サイテーだな」
あんちゃん「あ〜、申し訳ない」
渡部「ね〜」
あんちゃん「キングオブコメディは面白かったですね〜」

キングオブコントの話になると責められるあんちゃん。このやりとり面白すぎです。^^;

今だからこそコントを作り続ける

ちょうど放送中の爆笑レッドシアターが最終回ということもあってか、リスナーからコント番組が少なくなっていく現状を悲しむメールがたくさん来ていると紹介されます。

渡部「ドランクドラゴン、塚っちゃん、どうですか?こんな時代だからこそ」
塚地「うん・・・」
鈴木「言ってやれ」
塚地「なんか、こうね、この・・・、(鈴木の発言をやっぱりスルー出来ず)ふっ、お前ヒトゴトだな、どういうことだ」
(スタジオ笑)
鈴木「ああ、ごめん、ごめん」
塚地「いや、そう、だから当たり前のようにネタさせていただいてたじゃないですか」
渡部「この4、5年はね」
塚地「僕らも僕らで、例えば『エンタの神様』だったら60本ぐらいやってるわけですよ」
渡部「はい」
塚地「アンジャッシュなんてもう、100近く・・・」
渡部「僕ら95本ぐらいやりましたからね」
(スタジオ驚きの声)
塚地「そんな時代も無かったですし、それが結構当たり前になってたから、ちょっとネタ作るの大変だな〜みたいな時期がね」
鈴木「いや〜、そうだね」
塚地「やっぱりあったんですけど、そういうのがこう、パタッと無くなると、やっぱりこう焦りますよね」
渡部「そうだね〜」
塚地「その〜、なんて言うんでしょう、ネタをさせてもらえる番組が減っていくっていうのは・・・、ちょっと困ったもんなんですけど」
渡部「うんうん」
塚地「でもだからこそ・・・、やっぱ作り続けていきたいはいきたいですね」
渡部「人力舎はドランクドラゴンが声をかけて、コントライブを僕ら始めたりだとかね」
塚地「うん、ですね」
渡部「やったりとかね〜」
塚地「とにかく、なんて言うんでしょう、あの〜、鈴木じゃない人とコント出来たら一番いいのかもしれない」
鈴木「なんでだよ!それよ〜」
塚地「ツッコんでくれないんですよ、普段」
鈴木「普段?普段、分かんないんだもん、なんか台本を普段からくれりゃあ、それ言ってやるよ」
(スタジオ爆笑)
渡部「なんちゅう態度なんだ、お前ホントに」

番組も終わりに近づき、ズバリな質問。

内村宏幸にとってコントとは?

渡部「さあ、じゃあ最後にですね、ちょっと、え〜、まとめの格言いただきたいと思います、ではまず、内村さんにとってコントとは?」
あんちゃん「え〜、まあ格好よく言えばですね、あの・・・、唯一の武器」
渡部「おっ」
鈴木「お〜、格好いい〜」
塚地「うわ〜」
あんちゃん「なんかあの〜、なんにも僕は趣味とか無いんですけど、なんかそのコントを通してなら、なんかその〜、批判したりとか」
渡部「なるほど、なるほど」
あんちゃん「なんかこう、世の中の時事ネタを、あの〜パロディにしたりとか出来るんで、ほんとに、あの〜、そういう意味では、なんか武器、自分の武器だなって思うんですね」
渡部「なるほど、分かりました、ありがとうございます」

数々のコント番組が終わってしまい、「コント冬の時代」なんていう言葉が再び囁かれ始めました。しかし私は思います。内なる部分にコントに対する情熱を持っている彼らのような人達が居る限り、必ず春は訪れると。
爆笑レッドシアターを作っていた藪木健太郎さんのツイッターに、お笑い芸人さんが言葉を寄せています。アンジャッシュ渡部さんは「また次のネタブームまで頑張ってねばります!」、インスタントジョンソンじゃいさんは「僕らも新時代の波に乗れるよう頑張ります」、アルコ&ピース平子さんは「次まで緊張してのセリフ飛ばしグセ直しておきます」と。ねぎらいの言葉と共に、その先を見据えています。

元フジテレビプロデューサーで、爆笑レッドシアターにも関わっていた吉田正樹さん。その吉田さんがラジオにゲスト出演されたときに、パスツールの名言を引用してこう仰ってました。「チャンスは準備がちゃんと出来てる人のところにやってくる」と。
キングオブコントもありますし、今年も笑う犬があります。コントへの情熱の炎はこれから先も変わらず、燃え続けていくと私は思います。