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笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

時代が求める批評型アイドル

ダイノジ ダウンタウン YNN お笑い以外

昨日のダイノジのよしもとオンラインを見ました。
NON STYLEの代わりに急遽出演でしたが、「音楽裏ノジ」と題して、ジャニーズの嵐がどんなに素晴らしいかを熱く語るダイノジ。そこからPerfumeやSMAP等のJ-POP、さらにはアニメやプロレス、お笑い論にまで発展して、ダイノジらしい濃い、濃すぎる80分でした。
今回は、本題の嵐に付随して出てきた話題について印象に残ったところを書き起こしてみます。

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熱すぎるダイノジ

2009年7月7日配信の「よしもとオンライン」。ダイノジ「音楽裏ノジ」。

NON STYLEの代わりで登場したダイノジ。最初の挨拶。

大谷「さあ!本来、NON STYLEがやる時間、来ましたよ〜、今ゆっくりとパソコンを閉じた人が何人いたのか」
(スタッフ笑)
おおち「もうパソコンを閉じて、ゆっくりとメガネを外してね」
大谷「あっつ〜!あつっ、あつって、あつあつ〜!ですよ」
おおち「圧がすごい、ダイノジって〜」
大谷「そりゃそうですよね、なんにもだって、自分達で言うのもなんですけど、魅力が全く無いですからね」

こんな風にNON STYLEだと思ってパソコンを開いたファンを慮り、序盤は若手芸人のネタみせが続き、いよいよ本題へ。

Perfumeはアーティストなのか、アイドルなのか

大谷「アイドルって言うのはさぁ、その名のとおり偶像でございますよ、つまり、みんなに求めているもの、夢とかを与える、まあディズニーランドと同じようなものだと思ってください」
おおち「ほぉほぉ」
大谷「それを、求められたことをしっかりと与えることによって、少年少女、少女性を持っている女の子たちの気持ちを満たしてあげる、まあ男性にとってもそういうことを満たしてあげる」
おおち「男性もだよね」
大谷「だから、やっぱりPerfumeっていうのが、実はアーティストでなくアイドルなんだっていうのが、こないだのスキャンダルの報道が出たときに、やっぱり心乱されているやつが非常に多かった」
おおち「ほぉ〜、確かにな」
大谷「でも作品自体は、非常にもうね、中田ヤスタカさんの完璧な、あの〜クオリティの高い、ボーカルの音までエフェクトしちゃってるっていう」
おおち「みんなが言うのは、Perfumeはアイドルなの?それともミュージシャンなの?っていう立ち位置が絶対言われますよね」
大谷「Perfumeの話は後々しますんで、ちょっと取って置きますけど、だからこそPerfumeはすごいんだっていうね」
おおち「おお」
大谷「みんなが悩むからすごいんだ」
おおち「おお、おお」
大谷「いいですか、Perfumeのスキャンダルが出たことによってみんなが悩んだでしょ?これが実はすごいんだと、これは覚えておいてください」
おおち「まあ、Prefumeは一旦置いといて」

嵐の話題に戻り分析していくと、最近は批評型エンターテイメントが増えてきていて、その型にばっちりあてはまるのが嵐であって、時代が求める批評型アイドルである、と解説するダイノジ大谷さん。
それがお笑い界にも通ずる、と。

松本人志以降のお笑い界

大谷「あの〜、例えばお笑い、これはもうあえてフリップに書きませんでした」
おおち「ほぉ」
大谷「確実に松本人志さん以降、お笑いは批評型になってるんですよ」
おおち「あぁ」
大谷「お笑いというのは、批評するものになってるんですよ、つまり、今まで笑って面白かった、楽しかっただけだったのが、『あの笑いってこうこうこうだよね』みたいなことを飲み屋でみんなしゃべるでしょ」
おおち「うん」
大谷「なんだったら松本さんの口調の人いっぱいいるでしょ、『あれ、ないわ〜』とか、全然関西出身じゃねえくせに」
(スタッフ笑)
おおち「ふっふっ、わかる、わかる」
大谷「まあ、おおちさん、そうですけどね」
(スタッフ笑)
おおち「芸人なり始めはそうだった、ずっと腕組んで(眉間にしわ寄せて難しい顔をしながら)こうなってた」
大谷「あっはっはっはっ、でもなんにも考えてなかったんでしょ?」
おおち「なんも考えてない」
大谷「あっはっはっはっ、そうなんです、お笑いってのを批評型で見ていくってのは、明らかに、実は松本人志さん以降、お笑いってのは道化のものだった、道化だけやってればよかった」
おおち「そうか」
大谷「でも違うでしょ、『遺書』って本には全編批評しか書いてませんからね、それが売り物になるんですよ、つまり、批評を楽しむ」
おおち「そうだよね」
大谷「『あれってこうこうこうで、こういう解釈だよね、こうこうこうだよね』っていうような楽しみ方をするってのが、2000年以降、つまり、ネットの普及とともに、情報を楽しむという、まさにオンラインといっしょですよ」
おおち「ほぉ」
大谷「意見を交換しあって、『こうこうこうじゃあねえの』っていう楽しみ方に変わっていったわけですよ」
おおち「はいはいはい」
大谷「これを裏返せば、批評型に対応していないものは、今はウケないんです」
おおち「おぉ〜」
大谷「しらこいこと、わざとらしいこと、今それ言ってどうするんだよ、っていうのはウケないんです」

お笑い界からさらにグラビアアイドルにまで話は伸びていきます。

「松本」の「遺書」 (朝日文庫)

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MEGUMIや小池栄子も批評型グラビアアイドルだから生き残っているんだと。そして、嵐とともにPerfumeも批評型アイドルとしてカリスマを持っていると語ります。

Perfumeは、最先端のことをやっているアイドルっていう批評をのっけた

大谷「これがやっぱりPerfumeですね、先ほど出ました、女性型」
おおち「先ほど出た」
大谷「これは、Perfumeは、もともとは広島から出てきた下積みの非常に、スーパーの前でね、ビール瓶のケースの上でやってたような子達ですよ」
おおち「うんうん」
大谷「で、それが中田ヤスタカという天才プロデューサー、もう作品を作るのが大好きな、テクノ、ポップス、そして、アイドルのさ、普通に歌うんじゃなくて、声を全部変えられるんですよ」
おおち「そうですよね〜」
大谷「こんなことありあました?無いんですよ」
おおち「普通そこは変えちゃダメだからね、歌も商品だからね、声も」
大谷「そこで、いわゆる音楽的に、もうアイドルといったらこのぐらいの感じでやった方がいいな、じゃなくて、最先端のことをやっているアイドルっていう批評をのっけちゃったんです」
おおち「うん」
大谷「そこにダンスの上手さであったり、さっき言いました、物語性ね、これ実はすごい大事なんですよ」
おおち「ドラマ性」
大谷「GReeeNが売れているのと一緒で、今はくさい言葉や、生きる指針みたいなものがものすごく・・・」
おおち「うん、わかるわかる」
大谷「なんでかっていうと実は、時代・・・、ここが多分ね、ものすごく自殺率が50代で多い日本だからだと思うんだけど、言葉を求めてるんですよ、生きる指針みたいなものを」
おおち「確かに最近、そういう歌多いですよね、友達、仲間だとか、お母さん、お父さん」
大谷「大切な何か、とかいう曖昧な価値観をね、それは俺はどうかな〜とは思うんだけど」
おおち「うん」
大谷「Perfumeはそういう物語性を持っているね、みんなが応援したくなる、こういう物語があって語れるんですよ、飲み屋に行って語れるんですよ、で、音楽を聞いたら最先端なんですよ、いままでこんなアイドルいました?いないんですよ」
おおち「うん」
大谷「で、しゃべったら広島弁のね、素朴な田舎の子達なんですよ」
おおち「うん」
大谷「なんにも飾ってない、全部が揃ってるんですよ、商品として、それがまさに去年、爆発にいったという、で、これがまあPerfumeとやっぱり嵐、これが時代が求めたアイドルだと思うんですね」
おおち「批評型アイドル」

で、そういったことはアニメーションの世界ではすでに昔から行われていたことだと、ダイノジ大谷さん力説。

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アニメはすでに批評をやっていた

大谷「で、もう一点、付け足させてください、時代が求める批評型アイドルって書いたんですけど、作品で言ったらこれですね、アニメでございます、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』」
おおち「いろんな方向性から行きますね」
(スタッフ笑)
おおち「この作品は知ってます、知ってます」
大谷「ちなみに、品川庄司の品川も大好き、はんにゃの金田も人生ベストワンに挙げている『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』、今初めて知った人は、『え、なんで?クレヨンしんちゃんの映画が人生1位なの?』って、これね、大人が大冒険するんです」
おおち「うん」
大谷「ちなみにこの年の2001年ですね、しかもミレニアム、先ほど言いました、2000年のはじまりですよ」
おおち「あ〜、そうか」
大谷「2001年の4月に公開されたんですけど、当時の映画秘宝という映画、おたく雑誌、サブカル雑誌の年間1位の作品ですよ、キネ旬アニメーション部門7位、その年のアニメの賞をほとんど獲りまくってます」
おおち「ふ〜ん」
大谷「これはのちに、河童のクゥ、という映画を撮る、原恵一さん」
おおち「原恵一さん、はいはい」
大谷「クレヨンしんちゃんという設定の中で好きなことが出来る、これ実はアニメーターの中ではよくある世界なんですよ」
おおち「うん」
大谷「例えば、パトレイバー」
おおち「押井守さんね」
大谷「押井守さんは、パトレイバーという設定だけ借りて、自分の描きたい世界を描いたんですよ」
おおち「うんうん」
大谷「もともとは、うる星やつらパート2、ですよね、俺たちの中学生のときのバイブル」
おおち「はいはい」
大谷「うる星やつらで、何この深いテーマは、人を愛するって、何これ?みたいな」
おおち「なんかちょっとシュールな感じがあって」
大谷「つまり、それは、うる星やつらの主人公を使ってそういう映画を作る、批評型の先走りなんですよ、アニメはすでに批評をやってたんですよ、だからアニメのファンが集まってさあ、昔からこそこそしゃべってたでしょ、批評を昔からやってたんですよ」
おおち「お〜、なるほどね」

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲にある批評性

大谷「まあストーリーを簡単に言いますと、『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』っていうのは、1970年代、逆にパソコンが無い時代です、この1970年代っていうのはロックフェスが開催されて、ロック、カルチャー、ファッション、文化で世の中変わると思っていた時代なんですよ」
おおち「うん」
大谷「今ならみんな鼻で笑うでしょうね、本当に大人たちはそう思っていたんです、いわゆるヒッピーという人たちがいて」
おおち「まあ20代前半から後半ぐらいまでの人で、当時」
大谷「お金をめちゃくちゃ稼ぐんじゃないんだ、理想で生きて、理想でその象徴となったのが例えば、ジョン・レノンであって、あの、愛こそすべてだ、本当にそう思ったら世の中変わるんだ、戦争無くなるんだ、本当にそういう時代だったんです」
おおち「このまま行くって思ってましたもんね」
大谷「僕たちのちょうどお父さんの世代ですよ」
おおち「そうそうそう」
大谷「それがでも、1980年代になってレーガン政権が、まあアメリカの話になりますけど、激的な経済効果で、日本も続いて、ハリウッドの映画はそれまでニューシネマっていう現実を描いてたのが、急に全部ハッピーエンドに変えられたんです」
おおち「うん」
大谷「もうハッピーエンド以外ハリウッド映画じゃないですよ、っていう時代になっちゃったんです」
おおち「はいはいはい」
大谷「で、そういう風になったとき、みんな現実に負けたんです、みんな就職して髪の毛切って、長い髪の毛切って会社のものになったんです、これ1980年代、僕ら80年代まさにそうでしたよね」
おおち「はいはいはい」
大谷「で、バブルが日本に来まして、みんなが熱に浮かれて、90年代でもちろんバブルが崩壊していくってことなんですけど」
おおち「崩壊して、うん」
大谷「この『オトナ帝国』の今回の映画の中のテーマは、それを春日部っていうちっちゃい街でね、70年代の街をもう一回作ろうっていうやつらが出るんです、それがイエスタデイ・ワンスモアっていうグループなんですけど、で、そこにもう三丁目の夕日みたいな展示物がいっぱいあるんですよね」
おおち「はいはいはい、昔のね」
大谷「ひろし(しんちゃんの父)とおかんが通いだすんです、週何回も通いだして、そのうちだんだん子供言葉になっていくんです、つまり、大人になりたくない症候群にどんどんなっていくんです」
おおち「うん」
大谷「これ分かります?この上手さっていうのは、その理想論という設定を借りて、ひろしとおかんが子供になっていって、理想の中にもう一回、そのみんな大人になるんじゃない、お金じゃないよ世の中みたいなとこに吸い込んでいけば」
おおち「昔のあの時を思い出そうよっていうやつだよね」
大谷「お父さん、お母さんがいなくなるんですよ、つまり大人がいなくなるっていうことは、家族が崩壊するんですよ、つまり野原家が崩壊するんですよ」
おおち「うん」
大谷「このロジックの上手さ分かります?クレヨンしんちゃんという設定を借りておいて、そういうシリアスな大人が今みたくノスタルジーにかかる、三丁目の夕日みたいなことをやって、しんちゃん対オトナ帝国の戦いが始まるんです、子供達が集まってお父さんとお母さんを奪還するために、みんなが力を合わせるんですよ」
おおち「うん」
大谷「だけどこっちはこっちで理想を掲げてるんです、今の世の中おかしいよね、理想だけで生きていけるよね、これが今の大人たち胸を打つわけですよ、でもしんちゃんはしんちゃんで、お父さんとお母さんを復活させなきゃいけない・・・、さあ、どうなるかっていうのが、最後のね」
おおち「そう」
大谷「このしんちゃんが最後の走るところで、誰もが泣いてしまう、芸人もみんな泣いてしまう」
おおち「ぽろぽろと」
大谷「悲しい、悲しい、とても悲しい切ない物語になっています、これはだから、三丁目の夕日っていうのはさあ、映画よく出来てます、あれはほんとノスタルジーだけを楽しむもんだと思うんですよ、だけどこの映画は、ノスタルジーだけで楽しんでいくけど、昔はよかっただけじゃダメなんです」
おおち「うん」
大谷「昔はよかっただけで、結局今の世の中で通用しないよねっていう、本当にあり得ない現実を最後に突きつけて、終わってしまうんですよ」
おおち「うんうん」
大谷「それが本当に見ている人達にとって、涙を誘ってしまう」
おおち「う〜ん、結局、現実はつらいものっていうね」
大谷「つまりこれ言っている意味分かりますよね?批評型映画なんです、クレヨンしんちゃんというアイコンを借りて、批評しているわけですよ」
おおち「作品内で」
大谷「深いテーマが根底にありながら、でも子供が見ても楽しめますし、もちろん大人が見てもめちゃくちゃ楽しめる映画になっているというね」
おおち「う〜ん、うんうん」
大谷「僕ね、これが批評型アニメっていうか、批評型ドラマでいうと一番だと思うんですよね」

大谷さんの熱弁を聞いて、クレヨンしんちゃん見たくなっちゃいましたね。^^;

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この他にも、SMAPのアルバム「ゴールドシンガー」の凄さ、嵐よりもSMAPのほうが大衆性があるのは中居くんの存在が大きい、そこから中居正広最強論、地方はヤンキーが支配している、さらには三沢さんの死による今後のプロレス界について、でもって、マイケル・ジャクソンについて語ろうとした時点でもう時間が残っていないというほど、本当に今回も熱いダイノジのよしもとオンラインでした。