笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

弱ったときに助けてくれるのは余裕がある人ではなく、同じ状況にいる人

前回は「負け顔を見せることの大切さ」について書きました。負け顔を見せていれば、「自分の弱さがどうしようもなく大きくなったときに、誰かが近くに寄り添ってくれるんです、助けてくれるんです」と。

でも疑問があります。その「誰か」とは、一体どんな人なのか。自分が弱っていた頃の体験を杉作J太郎とピースの又吉直樹がそれぞれ語っているのですが、もしかしたらそこに答えがあるのかもしれません。なぜなら2人が導き出した答えがほぼ一緒だったからです。

杉作J太郎「状態が悪いときに助けてくれるのは状態が悪い人なんです」

吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』(徳間文庫カレッジ)

取材相手は杉作J太郎。
聞き手は吉田豪。

「サブカルというか文系な有名人はだいたい四〇歳前後で一度、精神的に壊れがち」。この仮説を検証すべく、プロインタビュアーの吉田豪さんが12人の「サブカル・スーパースター」たちに話を聞いていった本です。

杉作J太郎さんの鬱の原点は、FMWというプロレス団体で仕事をしていた時期にあると言います。ディレクTVとの契約が切れてからギャラの支払いが徐々に遅れていき、ついには未払いとなり、その状態が1年以上も続いたあとに会社から「辞めてくれ」と告げられてしまったのです。

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