笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

ビートたけしが無法松にした粋な計らい

「もう完全にそいつの運」。

ビートたけしは、迷うことなく答えました。弟子にする条件を問われた際に。

7か月間出待ちして、たけし軍団に入った水道橋博士

2014年8月28日放送「大谷ノブ彦キキマス!」(ニッポン放送)

パーソナリティはダイノジ大谷ノブ彦。
ゲストはビートたけし。

当時、多くの若者が「ビートたけしのオールナイトニッポン」(1981~1990年)の出待ちをしていました。もちろん弟子入りを志願するためです。多いときには100人を超えていたというのですから、顔を覚えてもらうだけでも大変だったに違いありません。

ビートたけし「浅草キッドとかは、四谷の焼肉屋まで走ってついて来たからね、パンツになって」
大谷「えっ、ニッポン放送(有楽町)からですか?」
ビートたけし「うん、目立つと思って、『何やってんだ、お前ら!』とか言って」

水道橋博士は7か月間休むことなく出待ちをして、ようやく弟子入りを認められました。ただしその粘り強さが評価されたわけではありません。「風雲!たけし城」(1986~1989年)を始めるにあたり兵隊役が必要となったので、そのとき偶然いた水道橋博士を含む10人がスカウトされたのです。

今も「情報7daysニュースキャスター」を生放送でやっているため、土曜の夜になるとTBS前に出待ちがいると言います。でも当時と違うのは、映画監督の北野武に憧れてやって来る若者がいる点。

ビートたけしの弟子になる難しさを水道橋博士の例で見てきましたが、それとは対照的に、なんの苦労もせずに気が付いたら弟子になっていた芸人がいます。ほたるゲンジの無法松です。水道橋博士がつかみ取った運とするならば、無法松は転がり込んできた運。そう言えるのではないでしょうか。

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