笑いの飛距離

元・お笑い芸人のちょっとヒヒ話

細胞は空気を読む

「年をとると1年が短く感じる」。

よく耳にするフレーズです。そして、このフレーズを口にすると次のような説明が待っています。

1年を人生における割合で考える。10歳にとっての1年は人生の10分の1(10%)を占めるけど、50歳になったらそれが50分の1(2%)にまで減ってしまう。つまり1年の濃度が年齢を重ねるたびに薄まっていくので、「年をとると1年が短く感じる」ようになる。

これを「ジャネーの法則」と呼ぶそうです。なるほど分かりやすくて説得力があります。でもちょっと待ってください。そんなひとつの仮説で説明がついてしまう単純な現象なのでしょうか。そうとは思えません。なぜ今さらこんな疑問を抱いたのかというと、つい最近「ジャネーの法則」とは違った視点による仮説に出会ったからです。しかも連続してふたつも。

その仮説とは、島田紳助さんが唱える「待ちわびる回数減少説」と、生物学者・福岡伸一さんの「動的平衡サイクル遅延説」です。説の名前はこちらが勝手にそう呼んでいるだけです。

島田紳助による「待ちわびる回数減少説」

島田紳助・松本人志『哲学』(幻冬舎文庫)

P226の「さあ大人になった。何になろう?」。この章は、島田紳助さんが友人3人と淡路島へ行ったときのエピソードから始まります。

淡路島から帰る道中、友人が「帰りは早く感じるなあ」とつぶやいたそうです。皆で話し合った結果、子供の頃に比べて今は1年経つのが早いけど、それと似た感覚なのだろうということで意見が一致。すると別の友人が聞いてきました。「でも、それはなんでだろう?」と。この問いかけに島田紳助さんが答えます。

続きを読む